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41 頼まれ事と望みの行方
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鐘の音が鳴り、周りの風景が花畑になった。
しかし、いつもと違うのは彼岸花はなく、白いフリージアのみが咲き誇っていた。
そんな花畑に座り込んでいるヨミ達の前に神様が現れ
「このばか息子が。だから言ったのだ。いくら神格化した魂とて人は欲深き生き物だと」
そう言いながら、卵に手を翳した。
すると、石化した卵が普通の白い卵に戻った。
そして、その卵をひと撫でして
「ヨミよ、礼を言う。我が息子を見つけてくれたことを。そして、その魂を救ってくれたことを」
そう言って頭を下げた。
しかし、話についていけない俺は
「頭を上げて下さい!それにあの、息子さんって?」
神様は頭を上げると、また卵を撫でて
「この卵を守っていた者だ。わしの息子は、神格化して間もない神使の教育係になり、そして意気投合し、友人になった。しかし」
神様の話を纏めると、その神使は、神様の息子という立場のみに惹かれ、友人の振りをしていたという。
そして、この世界の神になり得る存在を育てる選定者に、息子さんを巻き込み無理やりなったらしい。
そしてこの世界に降り立った瞬間、その神使は息子さんを攻撃し、あの未開の森に捨てたそうだ。
自分の親になる者を攻撃され、怒りから邪心に飲まれそうになった卵を守るため、あの結界を張って今に至る。
「ほんと、未だになぜあのような者の魂が神格化したのか不思議でならぬ。息子も、それなりに厳しく育てたつもりだったのだがな」
そう言って悲しそうな目で卵を見ていた。
「ヨミよ。その卵をよろしく頼む。無事に孵し、正しく育ててくれ」
もう一度、卵に触れようとした手を止め、卵から目を反らした。
神様は一度目を閉じ、心の整理をしてから
「では、次だな」
と言って、目を反らした方向をまっすぐ見た。
するとそこに、ルルリカ様とくまさんが現れた。
「お主の望みとは何だ?」
神様はまっすぐルルリカを見た。
ルルリカもまっすぐ神様を見て
「今一度、私は私に生まれ、人生のやり直しをしたく存じます」
その真意を確かめるように神様はルルリカを無言で見つめた後
「時間の干渉は神であっても難しい事。それをまだ神にも成りきれていない者にやらせようとしていたのか?」
と、少し呆れたように言って
「こちらの都合で巻き込んだことの詫びとして、そなたの望みを叶えよう。ただし、この一度だけだ」
「それで構いません。わがままを言えるのなら、記憶はそのままでお願いしたいです」
神様の言葉に、ホッとしたように肩の力を抜いて、もう一つお願いを口にした。
「抜け目の無いことよ。あい、わかった」
神様の言葉にルルリカは、それはそれは良い笑顔をした。
そして俺に向き直り
「余り情を持たないよう、適当な名前を付けたことは後悔していないわ。でも」
と言って、くまさんの方を見ると
「長く接していれば、やはり情は湧くものですね。こんな私の側にいてくれてありがとう、くまさん。ヨミ、くまさんを宜しくお願いしますね」
ルルリカがそう言い終わると、その体が光の粒になっていった。
俺はルルリカとくまさんの側に行き、くまさんを見て
「ベティ。それが君の新しい名前だ」
名付けたら、ベティが光に包まれ、例によって手のひらサイズになった。しかも、デフォルトされ、まんま緑の毛皮に藍色の瞳のティディベア風に
「あらまぁ、可愛らしいわ。あなた、やはりかわいいもの好きなのね」
確かに、俺の周りの神候補は小さな動物だけど、けして俺自身がかわいいもの好きな訳ではない。
「ハハハ、、、」
手のひらサイズになることは諦めていたけれど、まさかティディベア風なるなんて予想外で、乾いた笑いしか出なかった。
「ふむ。我が息子もこうなるのかのう?ちと不安だ」
神様は眉を下げて不安そうに俺と卵を見た。そして俺はそっと目を反らした。
トテトテと擬音が付きそうな歩き方で、ベティがルルリカ様の側に行くと
「リカ、貴女の第二の人生に祝福を」
ベティがそう言うと、ルルリカ様の光の粒に緑の光が混じった。
ルルリカ様はその光を見て
「くまさ、、、いえ、ベティさん。ありがとう」
と笑った。その笑顔を最後に光の粒は空に帰っていった。
「ではな。ヨミ、頼んだぞ」
そう言って神様も消え、周りの風景は未開の森に戻った。
しかし、いつもと違うのは彼岸花はなく、白いフリージアのみが咲き誇っていた。
そんな花畑に座り込んでいるヨミ達の前に神様が現れ
「このばか息子が。だから言ったのだ。いくら神格化した魂とて人は欲深き生き物だと」
そう言いながら、卵に手を翳した。
すると、石化した卵が普通の白い卵に戻った。
そして、その卵をひと撫でして
「ヨミよ、礼を言う。我が息子を見つけてくれたことを。そして、その魂を救ってくれたことを」
そう言って頭を下げた。
しかし、話についていけない俺は
「頭を上げて下さい!それにあの、息子さんって?」
神様は頭を上げると、また卵を撫でて
「この卵を守っていた者だ。わしの息子は、神格化して間もない神使の教育係になり、そして意気投合し、友人になった。しかし」
神様の話を纏めると、その神使は、神様の息子という立場のみに惹かれ、友人の振りをしていたという。
そして、この世界の神になり得る存在を育てる選定者に、息子さんを巻き込み無理やりなったらしい。
そしてこの世界に降り立った瞬間、その神使は息子さんを攻撃し、あの未開の森に捨てたそうだ。
自分の親になる者を攻撃され、怒りから邪心に飲まれそうになった卵を守るため、あの結界を張って今に至る。
「ほんと、未だになぜあのような者の魂が神格化したのか不思議でならぬ。息子も、それなりに厳しく育てたつもりだったのだがな」
そう言って悲しそうな目で卵を見ていた。
「ヨミよ。その卵をよろしく頼む。無事に孵し、正しく育ててくれ」
もう一度、卵に触れようとした手を止め、卵から目を反らした。
神様は一度目を閉じ、心の整理をしてから
「では、次だな」
と言って、目を反らした方向をまっすぐ見た。
するとそこに、ルルリカ様とくまさんが現れた。
「お主の望みとは何だ?」
神様はまっすぐルルリカを見た。
ルルリカもまっすぐ神様を見て
「今一度、私は私に生まれ、人生のやり直しをしたく存じます」
その真意を確かめるように神様はルルリカを無言で見つめた後
「時間の干渉は神であっても難しい事。それをまだ神にも成りきれていない者にやらせようとしていたのか?」
と、少し呆れたように言って
「こちらの都合で巻き込んだことの詫びとして、そなたの望みを叶えよう。ただし、この一度だけだ」
「それで構いません。わがままを言えるのなら、記憶はそのままでお願いしたいです」
神様の言葉に、ホッとしたように肩の力を抜いて、もう一つお願いを口にした。
「抜け目の無いことよ。あい、わかった」
神様の言葉にルルリカは、それはそれは良い笑顔をした。
そして俺に向き直り
「余り情を持たないよう、適当な名前を付けたことは後悔していないわ。でも」
と言って、くまさんの方を見ると
「長く接していれば、やはり情は湧くものですね。こんな私の側にいてくれてありがとう、くまさん。ヨミ、くまさんを宜しくお願いしますね」
ルルリカがそう言い終わると、その体が光の粒になっていった。
俺はルルリカとくまさんの側に行き、くまさんを見て
「ベティ。それが君の新しい名前だ」
名付けたら、ベティが光に包まれ、例によって手のひらサイズになった。しかも、デフォルトされ、まんま緑の毛皮に藍色の瞳のティディベア風に
「あらまぁ、可愛らしいわ。あなた、やはりかわいいもの好きなのね」
確かに、俺の周りの神候補は小さな動物だけど、けして俺自身がかわいいもの好きな訳ではない。
「ハハハ、、、」
手のひらサイズになることは諦めていたけれど、まさかティディベア風なるなんて予想外で、乾いた笑いしか出なかった。
「ふむ。我が息子もこうなるのかのう?ちと不安だ」
神様は眉を下げて不安そうに俺と卵を見た。そして俺はそっと目を反らした。
トテトテと擬音が付きそうな歩き方で、ベティがルルリカ様の側に行くと
「リカ、貴女の第二の人生に祝福を」
ベティがそう言うと、ルルリカ様の光の粒に緑の光が混じった。
ルルリカ様はその光を見て
「くまさ、、、いえ、ベティさん。ありがとう」
と笑った。その笑顔を最後に光の粒は空に帰っていった。
「ではな。ヨミ、頼んだぞ」
そう言って神様も消え、周りの風景は未開の森に戻った。
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