一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います

菻莅❝りんり❞

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4 おいていかれた!

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時は戻り、辺境の領地の邸宅。

空腹で目が覚めたぼくは、まだ眠い目を擦りながら起き上がり、周りを見た。服に埋もれて寝てたのか、何枚か体に服がかかっていた。

「りりー?」

メイドのリリーを呼んだけど返事がない。まだお手伝い中なのかな?とトテトテと歩いた。
今自分が何処に居るのかを忘れていたぼくは、微かに明るい光が差している場所に向かった。

でもそこは、上の方にある小窓から差している光だっただけで、外に出れるわけでは無かった。

しかし、光のお陰で自分のいる場所が分かった。

(ここ、くろーじぇっとのにゃか)

キョロキョロと周りを見て、クローゼットの取っ手を見つけた。

「とどかにゃい。りりー!いないでしゅか?りりー!」

手のひらでパンパンと扉を叩きながら叫んだけど、返事は無かった。

「うー、おてて、いたいいたいよ。りりー、、おかしゃま、、」

叩きすぎて手が痛くなり、騒ぎ疲れてまた眠くなったぼくは、そのまままた寝てしまった。

寝ている時に、おとしゃまやおかしゃま。ににしゃまにねねしゃま。りりーやたくさんの人の声が聞こえた気がした。

「おと、、ま。おか、、ま」

皆の声がなんだか悲しそうで、ぼくもなんだか泣きたくなった。そんなぼくの頭を撫でてくれる手があった。

『皆に愛されている子よ。少しだけ手助けします。後は己の力だけで生き延びなさい』

そんな声が聞こえたと思った時、カタッとした音に目が覚めた。

目を開けると、すっかり周りは暗かった。そして、閉じていた扉が少しだけ開いているのに気づき、手を伸ばした。すると、扉はゆっくりと開いた。

ぼくはハイハイで扉から出ると、周りを見渡した。明かりの無い真っ暗な闇の中、ぼくの中の誰かが叫んだ。

「おいていかれてるー!」

自分の叫び声をきっかけに、ぼくの知らない記憶が一気に脳内を駆け巡った。



大学を卒業して、さぁ、新社会人だ!と意気揚々と内定した職場に行った。インターバルも面接をした時も、ホワイトな職場だと思った。だけど、現実は違った。

入社以降、休みは無かった。大学の友達から休日に連絡が来るけど、ほぼ未読スルー状態。
親からも連絡があるけど、出れないし、おり返せない。

体力も精神も限界に近づいた時、ふとスマホが目に入った。そこには数え切れないほどのラインや着信が並んでいた。

俺はスマホに手をかけ、ラインを開き、一言送った。

【つかれた】

と。誰に送ったか分からない。一番上にあったラインに送っただけだから。
送ったラインが既読になったのを見て、そこで俺の意識は途切れた。


「あれがかろうしか。しょくばのしぇんたくをまちがえちゃにゃ」

と遠い目をした。その時、くぅ~と可愛らしい音がなった。

「そういえば、あしゃからにゃにもたべてにゃいにゃ」

ぼくは、ハイハイで部屋の扉の前まで行くと、扉の下の方に筒状の出っ張りがある。その中には緊急用の明かりの魔道具が入っている。

形は前世のキャンプでお馴染みのランプだ。
ランプの取っ手を持ち、つまみを回すとあら不思議。光がついた。

「まんまらんぷだね」

ランプを引きずらないように、頭の上に乗せ、両手で支えた。

「うん。まずはとびらをあけにゃいとだね」

いったんランプを床に置き、なぜか扉の横に立てかけてあるステッキでドアノブを下げた。

「まわす、たいぷじゃにゃきゅて、よかった」

扉を開けて、ランプを頭の上に乗せ、改めて食材探しに向かった。

まだ幼いので、ぼくの部屋は一階にある。元々は二階だったけど、よくメイドの目を盗んでは部屋を抜け出し、階段で落ちそうになっていたので、一階に部屋を移された。

「まえのぼくは、やんちゃだね」

と思い、ふと思い出した。あのステッキはまえの自分が置いたものだった。勿論、脱走の為に

「まえのぼくは、やんちゃだね」

もう一度同じセリフを言って、無かったことにした。
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