一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います

菻莅❝りんり❞

文字の大きさ
38 / 65

37 わるいのは、わるいおとな!

しおりを挟む
ぼくがあの子たちの居る部屋に入ると、まだ寝ている兄にしがみついて震えている弟がいた。

「だいじょーぶ?」

幼い声にびっくりしたのか、兄にしがみついていた弟がバッ!と振り向いた。すごい勢いだったので、少しビクッと肩が震えた。

「そんな、、、どうしょう、、、ちっちゃい子が、ゴーレムにつかまってる、、にぃちゃん、起きてよう、、」

どうやら弟の中でぼくは、ディアに捕まっている事になったようだ。

「おちついて?でぃあたちは、わるいごーれむじゃ、ないよ?」

うん。どこかで聞いたようなセリフになってしまった。

「このごーれむは、でぃあ。あっちが、れい。ぼくがつくった、ごーれむだから、こわくないよ」

弟に視線を合わせて、落ち着かせるようにそう言った。そのまま視線を合わせていると

《弟
 微弱恐慌状態・肉体衰弱・精神衰弱》

《兄
 後2日で目覚める。肉体衰弱・精神衰弱》

・・・・鑑定ってこんな感じだっけ?まぁ、与えてくれたのが、あのエメリアだからなぁ。
変わり種鑑定らしく、音声案内だったらもっと良かったんだけど、そこまで求めるのは欲張りかな?

「うそ、だ。ちっちゃい子は、まだ、まほう、使えない、ごほっ」

「れい。かじつすい」

ここまで体が弱っていると、逆にエクサリーでは強すぎる。

寝ていて、栄養も水分も取れない状況なら仕方ないけど、起きていて自力で栄養が取れるなら、エクサリーは逆に毒になる。

用意されていたエクサリーを飲まそうとしていたレイにそう言うと、トロワが果実水を持ってきた。レイが伝達で伝えたのだろう。

トロワが近づこうとすると怖がるので、トロワからコップを受け取り、ディアに抱っこされたままベッドに近づく。
僕だけじゃ、ベッドの上まで持っていけないからね。

「はい。だいじょーぶ、おいしいよ?」

少しだけぼくが先に飲み、出来るだけ手を伸ばした。

ディアを怖がっているけれど、喉の渇きに恐る恐る近づき、ぼくからコップを受け取ると、ごくごくと飲みはじめた。

「ゆっくり、ゆっくりだよ。とろわ、もういっぱい、もってきて」

急いで飲んだせいでむせたので、ぼくはそうかけ声をかけ、トロワにもう一杯持ってくるように伝えた。

レイもトロワもディアも、ぼくの言う事を聞くので、目を見開いて驚いていた弟は

「ほんとうに?ほんとうにきみが、作ったの?」

ディアの腕の中でぼくは胸を張って、元気よく頷いた。

「そうだよ!」

そして

「ぼくはりっく。おなまえ、おしえて」

弟の気持ちが落ち着いているようだったので、話し合いが出来ないかとまず、名乗ってみた。

弟は兄の服をキュッと掴むと

「僕はアロード。こっちは僕の兄で、アルード」

「うん。あろーどと、あるーど!よろしくね」

そして、なんで魔物達に襲われていたのか聞いた。レイが

アロードは戸惑いながらも答えてくれた。それによると

アロード達は隣国の人で、街で人さらいにあったようだ。連れられた所には、同じように攫われたと思う子供達が数人いた。

そして、奴隷用の腕輪を嵌められて馬車に乗せられたんだって。向かったのは、隣国の象徴の霊峰キホーテイ。

霊峰キホーテイには、あるドラゴンの番が住み着いていて、数年前に子供が産まれた。

その子ドラゴンは好奇心旺盛でなつっこい性格なのか、よく姿を現すんだって

人さらいの目的は、その子ドラゴン。大人が大人数で行けば、親ドラゴンが警戒をするかもと、数人の監視役だけで、あとは奴隷用の腕輪をした子供達で霊峰を登った。

すると、すぐに子ドラゴンが目の前に現れた。
監視役の人さらいに促され、恐恐とながら子ドラゴンと遊ぶことになった。

満足するまで遊んだ子ドラゴンは、警戒することなくその場で寝た。眠った子ドラゴンに人さらいは、睡眠薬も重ねて打ち、特殊な紐で子ドラゴンを縛り、馬車に乗せて霊峰を後にした。

簡単に子ドラゴンを確保したと喜んでいた人さらい達。だけど、ドラゴンはそんなに甘くない。

子供を攫われた親ドラゴンが怒り、追ってきたのだ。

人さらいは残酷なことに、攫ってきた子供達を次々と馬車から落とし、親ドラゴンの目を逸らそうとした。

だけど、親ドラゴンは真っ直ぐ馬車だけを追ってくる。
そうすると、今度はスタンピード真っ只中のヤオイの森に方向を変えた。

そのヤオイの森の中腹に、子ドラゴンと残りの子供達を置き去りにして、自分たちはサッサと逃げたんだって。

だけど、森の魔物に襲われたのか、はたまた親ドラゴンの報復に遭ったのか、馬のいななきと共に人さらい達の悲鳴がすぐに聞こえてきたらしい。

森の魔物達はいきなりの子ドラゴンに余計にパニックになって、ダクシナ方面に向かって走っていたけど、子ドラゴンを避けるためか、隣国の方面にも走り去って行った。

そんなパニックになっている魔物達に、アロード兄弟の他にも居た子供達もパニックになり、帰ろうと隣国側に走り出した。

兄であるアルードが待ったをかけたけど、アルードの声が聞こえなかったのか、そのまま走り去り魔物達の暴走に巻き込まれてしまったらしい。アロードは、アルードの咄嗟の判断で目を覆われたから惨状は見ていないけど、子供達の悲鳴は聞こえたと言っていた。

そんな中、子ドラゴンが目を覚ます兆候があったため、無意識に子ドラゴンから距離を取った時、後ろから衝撃があり2人とも気を失って気がついたらここに居たと

アルードはいっぱい話したからか、トロワが持ってきてくれた果実水飲んでいた。

その時、何かが打ちつける音がした。
不思議に思い、ディアに窓まで寄ってもらうと、ドームの天上に大粒の雨が打ち付けられていた。

「あめ?あっ!でぃあ、そとのみんなに、どーむのなかに、はいるよう、でんたつ!」

「?コノクライノアメナラ、ダイジョウブデスヨ?」

「いいから!」

ぼくの慌てようから、ディアは伝達をしてくれた。
なぜぼくが慌てかと言うと

《水風の子ドラゴンの嘆き。
 水風の子ドラゴンが親を呼ぶ叫び。
 水風の子ドラゴンの魔力が込められた雨は敵を全て溶かす。
 敵味方の区別の付いていない今は、アダマンタイトのゴーレムですら溶かす恐れあり。
 ドーム内に避難をさせることを推奨します》

と言う鑑定結果が出たからだ。しかもすぐに追加の鑑定が現れて、ぼくは頭を抱えた。

《このままでは、ここに親ドラゴンが来るでしょう。親ドラゴンは子ドラゴンを攫った人間の匂いを覚えています。
兄弟の匂いを追ってここへ来れば、さすがのアダマンタイトの壁でも、親ドラゴン2体のブレスには耐えられないので終わります》

どーしろと?兄弟を見捨てろと言うのか?そんな後味の悪いこと出来るか!
それにこの兄弟は、兄弟だけではなく、他に居た子供達も人さらいの被害者だ!

悪いのは兄弟達子供を攫った人さらいの大人達で、その子供達はやりたくて子ドラゴンを攫ったわけじゃないのに!

でもこのままじゃこの町は壊されちゃうし、ぼくも死んじゃう、、、どーしよー
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

【完結済】悪役令嬢の妹様

ファンタジー
 星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。  そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。  ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。  やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。  ―――アイシアお姉様は私が守る!  最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する! ※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>  既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

【完結】パパ、私は犯人じゃないよ ~処刑予定の私、冷徹公爵(パパ)に溺愛されるまで~

チャビューヘ
ファンタジー
※タイトル変更しました。 「掃除(処分)しろ」と私を捨てた冷徹な父。生き残るために「心を無」にして媚びを売ったら。 「……お前の声だけが、うるさくない」 心の声が聞こえるパパと、それを知らずに生存戦略を練る娘の物語。 ----- 感想送っていただいている皆様へ たくさんの嬉しい言葉や厳しい意見も届いており一つ一つがすごく嬉しいのと頑張ろうと感じています。ご意見を元に修正必要な部分は随時更新していきます。 成長のため感想欄を閉じませんが公開はする予定ありません。ですが必ず全て目を通しています。拙作にお時間を頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...