一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います

菻莅❝りんり❞

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61 ぼくのおよめさんは、こけっけ?

父達がお城に行った。しかもお泊りで

泊まってまでなんのお仕事か聞いても誰も教えてくれなかった。兄と姉も知らないらしく、ぼくと一緒に聞いていた。

「いづれ分かるわ。でも、今はあなた達が知らなくてもいいことよ」

と、優しい声で言った母だったけど、なんとなくこれ以上聞くな!という圧があり、ぼく達は無言で頷いた。

そうそう、ダクシナからコケッケとその雛を数匹連れてきた。

というか、帰る時にいつの間にか馬車の中に居た。
しかも当然のように座席の上で寛いでいたのだ。
ぼくが首から下げている巾着袋のマジックバックの口を開けると、嬉々として入っていった。

そして、コケッケの為に裏庭の一角に小屋を作った。
使用人の皆さん、お仕事増やしてごめんなさい。
でも、コケッケの卵は普通の卵より美味しいので皆に好評なのだが、コケッケの雛はなぜか女の人やぼくには見向きもしない。

だけど、イケメンの男の人や鍛え上げられた体の騎士団の人達には嬉々としてすり寄っていく。

ぼくはイケメンに群がる雛を凝視した。
ぼくの鑑定は、そんなぼくの意志をくみ取り雛を鑑定してくれた。

《コケッケの雛
  自分が可愛いのを分かっているので、自分より可愛いものや子供や女性には興味がない。そして、魔物としての本能で強いものには媚びる。かっこいいものも好物なので媚びる。

コケッケ
 成長すると雌雄個体なので、自分好みのものや人(魔物や魔獣、動物でも可)を視界に入れることで有精卵の卵を産む。それ以外に定期的に産む卵は無精卵である》

雛を鑑定していたら、目の前に現れたコケッケの鑑定もついでにのようにしてくれた。

相変わらずの目つきに、後ろにいたディアの足にしがみついた。

それでも、じぃーとぼくを見ているコケッケから目線を外せなく、ぼくも負けじとじぃーと見ていたら、不意にぼくの方にお尻を向けた。

すると、お尻から赤い卵が出てきた。

「あれ?あかいたまごって、こけっけのあかちゃん?あれ?」

ぼくはさっきの鑑定の内容を思い出した。

《自分好みのものや人を視界に入れることで有精卵を産む》

《自分好みの人を視界に入れると、、、、有精卵を産む》

「ひっ、やあ~ぁぁぁ!でぃ、でぃあ!ここ、ここから、はなれるの!はやく!」

ディアはパニックになってるぼくを抱っこすると、コケッケの小屋をあとにすると、母の執務室に来た。

「あら?ディア、どうしたの?リック?」

ぼくはディアから降ろしてもらったら、一目散に母に抱きつき

「ぼ、ぼくは、こけっけの、ぱぱに、なっちゃった。こけっけを、にんしん、させちゃった!ふぇ、うあ~ぁ~」

パニックになり過ぎて自分でも何を言ってるのか分からないまま母に訴えた。

母や母の仕事を手伝っていた人達も、ぼくが何を言っているのか分からなく、事情を知っているだろうディアを見た。

「ディア。説明してくれる?」

そしてディアの説明に、母達は笑い出した。
ぼくは泣きながらも母達に笑わないでと訴えた。

泣いて少し冷静になった事で自分の失言に気づき、涙の意味が恥ずかしさに変化した。

「ふふふ。どうやらリックも落ち着いてきたようね。ふふ。まさかリックの魅力にいち早く気づいたのがコケッケだなんて、ふふっ。見る目のあるコケッケね、そのコケッケは」

どうやら母の笑いのツボに入ったらしく、中々笑いが止まらないみたいだ。

こうして、❝リックのコケッケ妊娠事件❞は、しばらく公爵家の笑いのネタになった。

そして、リックを見て産まれた卵から孵った雛は、妖精と妖精王が面白がって加護与えた為に、加護を持つコケッケになった。

そしてこのコケッケは、通常のコケッケと違いいつの間にかリックの従魔になっており、リックと共にダクシナで暮らし、リックの死と共にこのコケッケも一生を終えた。

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