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ゆなお

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if終章【終点】

if最終話 その繋がりは永遠に

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 ザントに見送られて城を出た二人。ヴィッツはグレイに
「なぁ、せっかく城での生活なら何も困らないのに、街に家借りて住んでんだ? 軽くザントから聞いてるけど」
 と聞く。グレイは
「あ、ああ。確かに研究所への行き来を考えると城住まいが楽なんだが……。その、なんというか……。ディア様の過保護ぶりに少し困っていてな」
 と苦笑いする。すると
「ははっ。命懸けで助けた子供だったもんな。過保護になるのは分からんでもない。でも、グレイにとってはあんまり干渉されたくない部分だったってとこか」
 とヴィッツが言い
「まぁそう言うことだ。ちゃんと許可をもらって、城に通いやすい空き家があったから、そこで暮らしてる。料理は俺はあまり上手くないから買うことが多い」
 グレイはそう返した。それを聞いて
「お前は基本働きっぱなしか?」
 と聞く。
「三日働いたら二日休み、が基本だな。研究の状況によっては長引いたり、その分連休が増えたりする」
 グレイの話を聞いたヴィッツは
「ほえー。農業なんて二十四時間一年中働きっぱなしだぞ。お前、本当待遇良いんだな。そんなんで給料足りるのか?」
 と聞くが、月の給料を聞かされ驚愕した。
「見習いから一ランク上がっただけでその給料……。やべぇエリートコースなんだな……」
 ヴィッツが感心していると
「そう言えば、お前から貰ったこの紙包みは……」
 とグレイが開けようとすると
「それは家に帰ってから開けろ。今、開けるもんじゃねーよ」
 とヴィッツは笑う。そして
「一応調理器具揃ってるよな? 今日の夕飯は俺が作るよ」
 と言う。グレイは
「お前、料理出来たのか……」
 と眉をひそめるも
「そりゃあ、兄さんと二人暮らしだ。料理もハーミルの母さんに教えてもらった。だからずっとお互いで空いてる方が料理作ってる。家事も一通りできるようになった」
 とヴィッツは笑顔を見せた。こうして二人はグレイの食べたいものを聞いてから食材を買って、グレイの家に帰る。こじんまりとした家。一軒家なので二階に部屋が二つあるようだ。グレイの家の中を見たヴィッツは
「あちこち埃や汚れがあるな。お前、まともに掃除してねーだろ」
 と言うと
「俺は生活力が低すぎるから、その、すまん……」
 としょんぼりとした顔をする。そんなグレイを見てヴィッツは
「まあ、今日からは大丈夫だ! 俺が一緒に暮らすから、お前は仕事に専念しろ。家事全般俺がする。家のことは任せろ!」
 と言う。そして
「紙包み、開けてみな」
 とヴィッツが言う。グレイは紙包みを開けると小さな箱が入っていた。さらに箱を開けるとそこには玩具のような指輪が入っていた。
「なんだ、これ……」
 グレイは玩具の指輪を取り出し指に入れようとするもどの指にも入らなかった。それを見てヴィッツは
「ははっ。やっぱ安もんだしサイズも測ってねーから合わねーな!」
 と笑い、続けて
「その、ちゃんとしたものは後で渡す。お前が言ってた『待ってる』っての、ただ俺が会いに来るって意味じゃねーだろ。結婚しようぜ」
 と言う。グレイは最後の言葉で思わず持っていたものを全部落とした。グレイが落としたものをヴィッツは拾い、グレイの前に立つ。そして
「お前、俺との合言葉的に古代語使うけどさ。あの言葉、もう取り消せねーぞ? お前はもう一生俺のもんになっちまうぞ? っていうか、あの時点でもうなっちまったぞ?」
 と笑う。しかし
「あーでも、同性婚って出来んのかな。ザルド大陸じゃあんまいい目に見られないから……」
 とヴィッツが言うとグレイは
「サウザントは同性婚は可能だ」
 と答える。そしてこのサウザント特有の結婚制度を説明した。一通り聞き終えて
「同性だけじゃなく準結婚制度なんてのもあんのか。すっげー自由な国だな」
 と感心する。改めて結婚制度を知ったヴィッツは
「グレイ。お前には俺と結婚する覚悟があるんだな?」
 と確認する。それにグレイは
「お前以外を選ぶつもりはない」
 そうはっきりと答えた。グレイの答えを聞いて
「そっか! じゃあお前が休みの日にでも手続き行くか! まずは晩飯食うぞ!」
 とヴィッツは料理を始めた。食事を終え風呂も終わって寝る時間になり、ヴィッツはもう一つの部屋で寝ようとしたが、グレイがこの家を借りてから一度も掃除がされてないため仕方なくグレイの部屋で一緒に寝ることになった。

 翌日、グレイが仕事で城へ行った間に、ヴィッツは全ての部屋を掃除する。終わるころには昼を過ぎ、昨日の残りの食材で軽く料理を作る。昼過ぎには再度サウザント城へと行き、謁見の間でカルロとザントにグレイとの結婚の話をした。二人は特に茶化すことなく
「まぁ、兄貴とヴィッツのことだからそうだとは思ったよ。俺が許可出すから結婚式は城でするといいさ。あと手続きに関してはザント、役所でどうするか説明してくれるか?」
 カルロの隣にいたザントは
「そうだね。グレイが一応分かってると思うけど、ヴィッツにきちんと説明しておくよ」
 と言ってヴィッツはザントに手続きの手順を教えてもらう。そんなカルロとザントを見て
「お前ら、俺とグレイのことからかわねーんだな」
 ヴィッツがそう言うと
「ま、一緒に旅した仲だ。傍から見てても兄貴の気持ちは駄々もれだったからな!」
 とカルロは豪快に笑う。そして
「あとは、やっぱ結婚に関して自由な国で育ったってのもあるから、同性婚だろうがあんま気にしねぇからな。他国だと禁じられてたりもするが、ここはそういう意味でも自由な国だよ。その国を護るのが俺の仕事だ」
 と言った。一方ザントは
「グレイの出勤表を確認したけど、手続きは次の休みにして、式は来週が良いかもしれないね。衣装は城で用意するし、指輪も二人のサイズが分かればデザインも希望のものをすぐ作れるよ」
 と言う。
「何から何まで手伝ってもらってありがてぇ」
 ヴィッツの礼に対して
「俺たち仲間だろ?」
「仲間を祝福するのはとても嬉しいことだもの」
 とカルロとザントは言う。こうして役所での婚姻届も完了し、着々と結婚式の準備が行われた。

 結婚式当日。ヴィッツとグレイはそれぞれ別の部屋で衣装を着せてもらう。部屋から出てきた二人は互いに純白のタキシードだった。ヴィッツが
「お前、今まで黒い服ばっかだったから、白い服だとなんか不思議な感じだな」
 と笑う。グレイも
「俺には合わない色だな」
 と肩をすくめた。しかし
「でもせっかくの記念日だ。白も悪くない」
 とグレイは言った。事前に式の手順は教えてもらっている。会場は礼拝堂ではなくその横の裏庭の一角だった。沢山の花が飾られた祭壇にはザントがいる。そしてカルロとディアが見守り、他には誰もいなかった。二人はザントの前に向かう。ザントは祈りの言葉を捧げる。
「世界のすべての精霊よ。この二人に加護を、祝福を与えたまえ。永遠のつながりを、永遠の愛を、永遠の未来を……」
 こうしてしばしザントの祈りを聞く。祈りが終わった後
「それでは誓いの抱擁と意思の交換を」
 とザントは二人に向かい合うように言う。ヴィッツとグレイは向かい合い、まずはお互いを抱擁する。そして一度離れ、今度はお互いの額をそっと引っ付ける。お互いの考えを合わせることで「ずっと添い遂げる」という意味を持つ、この世界での共有儀式とされる結婚式である。こうして無事結婚式を終えた二人。
「兄貴ー! ヴィッツー! 本当におめでとうだな! きっと二人が出会った時からこうなることになってたんだろうなぁ」
 とカルロは感慨深く目じりに涙を浮かべてうなずく。
「ヴィッツもグレイもおめでとう。僕らが出来ることはしたよ。これからの二人の生活、大事にしてね」
 とザントはニコっと笑って二人を祝う。
「グレイ。ようやく一人ではなくなったな。ヴィッツ君、グレイのことを頼んだよ」
 ディアはそう言った。
「年下の俺だけど、グレイのこと支えていきます」
 ディアの言葉にヴィッツはそう言い
「ディア様。やっと俺にも本当に護りたい人が出来ました」
 グレイの言葉にディアはうなずいた。こうしてヴィッツとグレイの二人の生活が始まる。

 数年後、二人が街中を歩いているときに、一人の水色の髪の少女とすれ違う。少女は二人の指輪を見て、微笑みながら通り過ぎるのであった。
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