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戦いの余韻、次なる依頼
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旧帝国軍と怪物たちの潰しあいの結果、生き残ったのは――怪物たちだった。
残ったのはたった一機。酷く損傷し、動きも鈍い。
そして、それを見逃すほど、俺たちは馬鹿じゃない。
ヘッジホッグから放たれた一筋の光が、見事に怪物を撃ち抜き、爆散する。
「これで三機、報酬もがっぽりだな」
「抜け目ありませんね、艦長」
戦いが終わる。するとオープン回線で通信が入ってくる。
『機体がおしゃかだ。拾ってくれ』
『俺も頼む』
『俺も』
どうやら海賊たちは墜とされはしたものの、死んではいないようだ。
このしぶとさも、Aランクたる所以なんだろう。
ヘッジホッグ艦橋には、静かだが確かな安堵の空気が漂う。
長く続いた戦闘の緊張感が、ようやく解けた瞬間だった――。
オープン回線の向こうからは、軽口と安堵の声が入り交じる。
『いやー、マジで死ぬかと思ったぜ』
『生きてて良かった……ふぅ』
「無事でなによりだな。戦力はどうだ?」
『半数以上は損傷してるけど、帰還可能っす』
『俺もドローンで応急整備済みだ』
マリナは肩をすくめながら、ヘッジホッグの艦橋に座り込む。
「いやー、きっつかったねぇ……でも、面白かったじゃん」
マリナは酒パックをポケットから取り出し、ちゅーっと吸う。
「お前は……いつも通りだな」
俺は残骸を確認しつつ、損傷艦の数を計算する。幸い、大きな損害は避けられた。だが、この戦闘でわかったことがある。ゴーストリンクの正体、それはただの兵器ではない。旧帝国の遺産か、それとも誰かの実験か――いずれにせよ、次に戦うことがあれば、危険なのは変わりない。
「アイカ、残骸やデータを回収して解析にかけろ」
「了解です。即座に分析を開始します」
「……解析終わったら、また私たちの仕事増えるんじゃない?」
「そうなるだろうな。でも、今回は生き延びた。それで十分だ」
艦内に一瞬静寂が訪れる。戦いの余韻、そして生還の安堵。それが混ざり合う微妙な空気だ。
「さて……これで補給も済ませたし、次の行動を決めようか」
マリナはドローンの補助でシートから立ち上がり、笑みを浮かべる。
「次はどこへ行くのかな」
「……行き先は決まっている。旧帝国の動きも把握しなきゃならん。ゴーストリンクの正体を探るために、な」
海のように広がる宇宙の前で、俺たちは次の戦いを静かに見据えた。
マリア・クレスト宙域帝国軍駐屯地――
「星間海賊ギルド所属、コウキ艦長だ。入っていいか?」
「入れ」
リサ提督の執務室を、俺は訪れていた。
「ゴーストリンク機体の解析結果だ。そっちでもやってると思うが、一応持ってきた」
「助かる。ずいぶん早いな。私たちはまだ途中だぞ?」
「うちのクルーは優秀でね。ずいぶんと楽しかったみたいでな」
思い出すリズの顔。最高のおもちゃを見つけたみたいなテンションだった。
「しっかし、あの機体に使われていた素材は何だ?うちの変態は金属生命体!新種だ!って叫んでたけど」
「そうだな。私もそう聞いている。未知の生命体だとな」
「旧帝国の方はどうなった?」
「今回の作戦で旧帝国の主力は壊滅。メルセデスも同様だ。これでしばらくは問題ないだろう。だが……」
「まだ旧帝国が完全に消えたわけじゃない……と」
「そうだ。旧帝国軍はいまだ潰えていない。それに、あの装甲はアスカロン計画には存在しなかったものだ。何者かが、背後にいる。確実にな」
「何者か……か。拠点の方は?」
「もぬけの殻だったよ。だが、そうとう慌てて逃げたようでな。いろいろとデータは抜き取れた。」
「そうか」
「今回も十二分に働いてくれたな。また、よろしく頼む」
「報酬しだいだけどな」
俺たちは笑い合う。
「ついでだ。一つ頼みたい仕事がある」
「なんだ?」
「旧帝国軍の仮拠点の情報が入ってきた。こっちは手いっぱいでな。調査を頼みたい」
「俺は構わないが、クルーに相談させてくれ。今日中には返事をする」
「わかった。待っている」
旧帝国軍の仮拠点、何があるんだろうな。
ヘッジホッグ艦橋――
「旧帝国軍の仮拠点か……」
マリナが腕組みし、眉をひそめる。
「またあの連中か。面倒くさそうじゃん」
「でも、ちょっとワクワクするだろう?」
リズは目を輝かせ、艦橋のモニターを覗き込みながら小さく笑った。
「……油断するなよ。あそこには何があるか、全くわからん」
俺は艦橋全体を見渡しながら慎重に言う。
「それじゃあ、受けるってことでいいな?」
「異議なし」
マリナが肩をすくめながら、笑みを浮かべる。
「問題ない」
リズも軽くうなずく。
「はーい」
キョウカはいつも通り。
「了解です」
アイカも変わらない。
「準備は整ったな?」
俺は艦橋のブリッジ全体に目を配りながら、全員の確認を取る。
「はい、全艦システムチェック完了。出発可能です」
アイカの声が、無言の安心感を艦内に満たす。
俺たちは次の任務に向け、ヘッジホッグのブースターを点火した。
赤く光るゴーストリンク機体との戦いの傷跡はまだ艦内に残る。
だが、その戦いの余韻を味わう暇もなく、宇宙は次なる謎を待っている。
ヘッジホッグは、再び漆黒の宇宙へと滑り出した――。
残ったのはたった一機。酷く損傷し、動きも鈍い。
そして、それを見逃すほど、俺たちは馬鹿じゃない。
ヘッジホッグから放たれた一筋の光が、見事に怪物を撃ち抜き、爆散する。
「これで三機、報酬もがっぽりだな」
「抜け目ありませんね、艦長」
戦いが終わる。するとオープン回線で通信が入ってくる。
『機体がおしゃかだ。拾ってくれ』
『俺も頼む』
『俺も』
どうやら海賊たちは墜とされはしたものの、死んではいないようだ。
このしぶとさも、Aランクたる所以なんだろう。
ヘッジホッグ艦橋には、静かだが確かな安堵の空気が漂う。
長く続いた戦闘の緊張感が、ようやく解けた瞬間だった――。
オープン回線の向こうからは、軽口と安堵の声が入り交じる。
『いやー、マジで死ぬかと思ったぜ』
『生きてて良かった……ふぅ』
「無事でなによりだな。戦力はどうだ?」
『半数以上は損傷してるけど、帰還可能っす』
『俺もドローンで応急整備済みだ』
マリナは肩をすくめながら、ヘッジホッグの艦橋に座り込む。
「いやー、きっつかったねぇ……でも、面白かったじゃん」
マリナは酒パックをポケットから取り出し、ちゅーっと吸う。
「お前は……いつも通りだな」
俺は残骸を確認しつつ、損傷艦の数を計算する。幸い、大きな損害は避けられた。だが、この戦闘でわかったことがある。ゴーストリンクの正体、それはただの兵器ではない。旧帝国の遺産か、それとも誰かの実験か――いずれにせよ、次に戦うことがあれば、危険なのは変わりない。
「アイカ、残骸やデータを回収して解析にかけろ」
「了解です。即座に分析を開始します」
「……解析終わったら、また私たちの仕事増えるんじゃない?」
「そうなるだろうな。でも、今回は生き延びた。それで十分だ」
艦内に一瞬静寂が訪れる。戦いの余韻、そして生還の安堵。それが混ざり合う微妙な空気だ。
「さて……これで補給も済ませたし、次の行動を決めようか」
マリナはドローンの補助でシートから立ち上がり、笑みを浮かべる。
「次はどこへ行くのかな」
「……行き先は決まっている。旧帝国の動きも把握しなきゃならん。ゴーストリンクの正体を探るために、な」
海のように広がる宇宙の前で、俺たちは次の戦いを静かに見据えた。
マリア・クレスト宙域帝国軍駐屯地――
「星間海賊ギルド所属、コウキ艦長だ。入っていいか?」
「入れ」
リサ提督の執務室を、俺は訪れていた。
「ゴーストリンク機体の解析結果だ。そっちでもやってると思うが、一応持ってきた」
「助かる。ずいぶん早いな。私たちはまだ途中だぞ?」
「うちのクルーは優秀でね。ずいぶんと楽しかったみたいでな」
思い出すリズの顔。最高のおもちゃを見つけたみたいなテンションだった。
「しっかし、あの機体に使われていた素材は何だ?うちの変態は金属生命体!新種だ!って叫んでたけど」
「そうだな。私もそう聞いている。未知の生命体だとな」
「旧帝国の方はどうなった?」
「今回の作戦で旧帝国の主力は壊滅。メルセデスも同様だ。これでしばらくは問題ないだろう。だが……」
「まだ旧帝国が完全に消えたわけじゃない……と」
「そうだ。旧帝国軍はいまだ潰えていない。それに、あの装甲はアスカロン計画には存在しなかったものだ。何者かが、背後にいる。確実にな」
「何者か……か。拠点の方は?」
「もぬけの殻だったよ。だが、そうとう慌てて逃げたようでな。いろいろとデータは抜き取れた。」
「そうか」
「今回も十二分に働いてくれたな。また、よろしく頼む」
「報酬しだいだけどな」
俺たちは笑い合う。
「ついでだ。一つ頼みたい仕事がある」
「なんだ?」
「旧帝国軍の仮拠点の情報が入ってきた。こっちは手いっぱいでな。調査を頼みたい」
「俺は構わないが、クルーに相談させてくれ。今日中には返事をする」
「わかった。待っている」
旧帝国軍の仮拠点、何があるんだろうな。
ヘッジホッグ艦橋――
「旧帝国軍の仮拠点か……」
マリナが腕組みし、眉をひそめる。
「またあの連中か。面倒くさそうじゃん」
「でも、ちょっとワクワクするだろう?」
リズは目を輝かせ、艦橋のモニターを覗き込みながら小さく笑った。
「……油断するなよ。あそこには何があるか、全くわからん」
俺は艦橋全体を見渡しながら慎重に言う。
「それじゃあ、受けるってことでいいな?」
「異議なし」
マリナが肩をすくめながら、笑みを浮かべる。
「問題ない」
リズも軽くうなずく。
「はーい」
キョウカはいつも通り。
「了解です」
アイカも変わらない。
「準備は整ったな?」
俺は艦橋のブリッジ全体に目を配りながら、全員の確認を取る。
「はい、全艦システムチェック完了。出発可能です」
アイカの声が、無言の安心感を艦内に満たす。
俺たちは次の任務に向け、ヘッジホッグのブースターを点火した。
赤く光るゴーストリンク機体との戦いの傷跡はまだ艦内に残る。
だが、その戦いの余韻を味わう暇もなく、宇宙は次なる謎を待っている。
ヘッジホッグは、再び漆黒の宇宙へと滑り出した――。
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