気が付いたら異世界で孤児だったけど、立派な宇宙海賊になってみせます~貧民惑星から始める転生成り上がり銀河無双~

渋谷千立

文字の大きさ
16 / 68

“プリンセス納屋”改め“ヘッジホッグ”、最初の咆哮

しおりを挟む


怒涛の改装地獄に、俺はもう疲れ果てていた。


「もう、何もないよな?」


「はい。“プリンセス納屋(仮)”、改装完了です。お疲れさまでした。艦長」


「疲れさせたのお前たちだよな! おい!」


「えへへ~、でもでも、超快適になったよねっ?」


マリナが得意げにソファでくつろぎながら、冷えたパック酒を片手に笑っている。


「艦長、CPUの発熱は問題ありませんでした。室温はわずかに上昇しましたが、ジェットバスの湯温と調整済みです」


「そんな連動システム誰が頼んだ! お前ほんとにAIか!?」


「私は高性能AIです。ラウンジ業務にも対応しています。カラオケ、マッサージ、占い等のサブ機能もございます」


「戦艦とは……???」


マリナとポンコツAIがくつろぐ中、俺だけが疲弊している。

おかしい。これは俺の艦のはずなのに。


「……もう、依頼受けよう。働いてる方がマシだ……」


「え~? せっかく艦が快適になったのに~」


「仕事するぞ! 出撃準備!」


「は~い、出撃モード! あっ、でもカクテル飲んでからね~♪」


「酒下げろ!一回、全員落ち着け!」


──こうして、“プリンセス納屋(仮)”は、未だスナック寄りの母艦のまま、再び宇宙へ旅立つのだった。




「武装はちゃんとつけてあるんだよな? 忘れてたは通らないぞ?」


「問題ありません。高出力レーザー砲8門、機関銃座2門、ミサイルターレット10門、新型レールキャノンを4門を装備しております。脳波コントロールシステムも搭載済みです」


「……ハリネズミか何かか?」


「この改装により、戦艦とも直接やり合える火力を実現しました。理論上は、単騎で敵艦隊への突入も可能です」


「理論上は、な……」


「なお、艦内各所にはシールド自動展開装置を設置済み。酒瓶や家具を破損から守ります」


「そっち優先すんな!!!」


 


マリナが嬉しそうにソファで伸びをする。


「いいじゃんいいじゃん、うちの“納屋”最強説じゃん~!」


「プリンセス納屋、な……名前に似合わねぇんだよ火力が!!」


「でもそれがいいんでしょ~? 外見倉庫、中身バケモン。ギャップって大事だよねっ☆」


「どこの乙女ゲーだよここは……」


──とはいえ、性能は確かだ。


スナックもホログラムもミサイルも全部乗せ。

俺たちのプリンセス納屋は、今日も爆走準備万端である。




「というか、プリンセス納屋でいいのか? そろそろ正式に名前、決めたいんだけど」


「じゃあ、プリンセス・マリナ!」


「俺の艦だぞ。却下だ」


「では、“アイカ・Mk-III”でどうでしょうか」


「だから俺の艦だってんだろ! 却下!!」


「じゃあもう、コウキがさっさと決めてよ~」


「艦長、艦名命名はギルド登録に必要です。早急に申請を」


「うるせえな……じゃあ、“ヘッジホッグ”で」


「どういう意味?」


「地球で“ハリネズミ”って意味だよ。装備モリモリのうちの艦にちょうどいいだろ」


「地球とか、ずいぶんマニアックな惑星知ってるね。もしかして……オタク?」


「うっせーよ。艦長命令。この艦は“ヘッジホッグ”で決定だ。終了」




依頼を受けて近隣宙域に来たんだが、ナニこれ?

「なぁ、俺受けたの近隣宙域の違法海賊探索と排除だよな?この辺りほとんど狩りつくしたから歩合制の、残党いなかったら赤字になるやつ」


「そうですが」


「そうですが、じゃねぇんだよ!なんだよこの反応の多さはよ!」


「熱源反応51、距離20000、データ識別……違法海賊船団、ジャンカーラビットと認定。敵艦です」


「あはは~。凄い数だね。こりゃ」


「笑ってんじゃねーよ!どうすんだこの数!」


「問題ありません。この距離ではまだ敵艦はこちらを把握しておりません。サーバールームを増設したかいがありました」


「大ありだよ畜生!マジでどうすんだ!?」


「問題ありません。こちらからの先制攻撃で7割排除できる計算です。もし近づかれたとしてもヘッジホッグの装甲であれば対処可能です」


こうなったら腹をくくるしかないか。

「よし、先制攻撃だ。アイカ、脳波コントロールシステム作動!砲門開け!」


視界が広がる。艦のすべてが俺の頭の中に入ってくる。


「つっ」


「どうかしましたか、艦長」


「ちょっと頭痛がしただけだ。問題ない」


「艦が大型化したことで脳の処理が追いついていないのでしょう。無理をなさらず」


「大丈夫だ。レーザー準備」


「了解。主砲レーザー、発射準備完了。ミサイルターレット、全開放。」


「マリナ、ハイペリオンでサポート頼む!」


「任せて!敵を分断して叩き潰す!」


轟音と共に、ヘッジホッグの高出力レーザー砲が夜空を切り裂き、敵艦のシールドが一斉に閃光を放っては消える。


「敵反応、6割減。残存艦は混乱状態だ。ミサイル集中砲火、続け!」


敵の砲撃が迫るが、重厚な装甲がビリビリと振動を伝えるだけで被弾をものともせず。


「まだまだ!迎撃態勢を崩すな!」


マリナの鋭い指示と、アイカの完璧な戦闘支援により、ヘッジホッグは宙域を縦横無尽に動きながら敵を圧倒。


「敵旗艦、前方25キロ。シールド依然健在。」


「全砲門一斉射撃!目標撃破!」


レーザーとミサイルが旗艦を一斉に襲い、シールドがついに崩壊。


「衝撃波、発生!」


旗艦は爆炎に包まれて爆散し、残存の敵艦も混乱し一斉に後退。


「敵艦隊壊滅。戦闘終了。全艦生存率100%。」


「やったな、これがヘッジホッグの力だ。」




「しかしなんでこんなとこにあんな数がいたんだ?」


「この宙域の違法海賊がいなくなったので、空いたシマを横取りに来たのでしょう。結果はご覧の通りですが」


「一網打尽……ってわけだな」


「でも逆に言えば、今後も似たような連中が来るってことじゃない?」


「その通りです。シマを空けたままにすれば、また別のゴミが湧いてくる可能性があります」


「じゃあいっそ、うちらで“ここ”を管理しちゃう? いわゆる、縄張り化ってやつ?」


「俺はそこまでする気はないぞ。そもそも稼ぎが悪くなってきたから別の宙域へって話だったじゃないか。後は自警団にでも任せとけ」


「でもさー、あの人たちじゃ無理でしょ? あっち、こっち、戦える艦もろくにないし」


「それはそれ。うちはもう十分やっただろ」


「……まぁ、たしかに。それもそうか」


マリナが肩をすくめ、俺は操縦席にもたれて大きく息をつく。


「じゃあ、次の宙域に行く準備をしよう。補給して、整備して──あと酒は控えろ」


「むー。じゃあ、冷凍庫もう一台増やしてもいい?」


「だめだ」


 


──こうして俺たちは、次の“稼げる戦場”を目指して、また宇宙を流れる。


“ヘッジホッグ”とともに。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成
ファンタジー
「異世界転生して天下を統一したら元の世界に戻してあげる」 大学生の明彦(あきひこ)は火事で死亡した後、転生の女神にそう言われて異世界転生する。 だが転生したのはなんと14歳の女の子。しかも筋力1&武器装備不可! 降り立った場所は国は三国が争う中心地の激戦区で、頼みの綱のスキルは『相手の情報を調べる本』という攻撃力が皆無のサーチスキルというありさま。 とにかく生き延びるため、知識と口先で超弱小国オムカ王国に取り入り安全を確保。 そして知力と魅力を駆使――知力の天才軍師『諸葛孔明』&魅力の救国の乙女『ジャンヌ・ダルク』となり元の世界に戻るために、兵を率いたり謀略調略なんでもして大陸制覇を目指す!! ……のはずが、女の子同士でいちゃいちゃしたり、襲われたり、恥ずかしい目にあわされたり、脱がされたり、揉まれたり、コスプレしたり、男性相手にときめいたり、元カノ(?)とすれ違ったりと全然関係ないことを色々やってたり。 お風呂回か水着回はなぜか1章に1話以上存在したりします。もちろんシリアスな場面もそれなりに。 毎日更新予定。 ※過去に別サイトで展開していたものの加筆修正版となります。

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜

咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。 そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。 「アランくん。今日も来てくれたのね」 そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。 そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。 「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」 と相談すれば、 「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。 そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。 興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。 ようやく俺は気づいたんだ。 リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

処理中です...