気が付いたら異世界で孤児だったけど、立派な宇宙海賊になってみせます~貧民惑星から始める転生成り上がり銀河無双~

渋谷千立

文字の大きさ
31 / 68

勝負だ!お魚お肉杯!

しおりを挟む
砂浜にはターフが張られ、長机とパイプ椅子が用意されている。ご丁寧にマイク付きだ。
いったいなぜこんなものがあるかと言うと──

「さあ始まりました、“メインディッシュ・お魚お肉杯”! 実況は私アイカと、解説はコウキ艦長でお送りします!」

「なんでこんなことに……」

 

事の始まりは、一時間前。海で楽しく遊んでいた時のことだ。

「今日の晩ご飯は新鮮な海の幸! これは外せないよね!」

「わたしはおにくがいい!」

「いやいやキョウカちゃん、せっかく海に来たんだから海鮮でしょ。これは当然の判断だよ」

「いや! おにくたべたいの!」

「私はどちらでもかまいません」

「それぞれ好きなもん食えばいいだろ……」

「お魚!」

「おにく!」

「よし、じゃあ勝負で決めようじゃん!」

「まけない!」

──こうして、夕飯のメインディッシュを決めるための戦いが幕を開けたのだった。



「第一回戦、ビーチフラッグ対決の開幕です! どう見ますか、艦長?」

「はぁ……アルコールが入ってる分、マリナが劣勢だろうな。あれ、まっすぐ走れるのか?てかお前テンション高くないか?」

「現在実況モード、起動中です。ノイズを排除しつつ最大出力でお届けします。解説ありがとうございます、艦長。それでは両者、位置について──スタート!」

パンッ!

アイカが小型の信号銃を鳴らしたその瞬間、突風が吹き荒れる。

次の瞬間には──

「はいっ!」

すでにキョウカがフラッグを掲げていた。

「……速すぎじゃねぇか?」

「キョウカさんは強化個体ですから。普段は出力を制御していますが、現在はテンション上昇によりオーバーフロー状態のようです」

「浮かれて制御不能って、怖すぎだろ……」

「ふらっ……ぬわっ……うえぇぇ……」

対するマリナは、砂浜に突っ伏していた。すでに酔いとの戦いに入っているようだ。

「第一回戦、勝者はキョウカさん! 肉派が一歩リードです!」

「……まあ、こうなると思ってた」



「それでは第二回戦──かき氷早食い対決です!」

「これならフェアな戦いになりそうだな」

「では、スタート!」

アイカの合図とともに、二人は目の前のかき氷に一気にかぶりついた。
……が、案の定というべきか──

「あ゛づっ……!」

「うぐっ、あたまが……!」

「おっと、両者とも見事にアイスクリーム頭痛を発症した模様です」

「そりゃ一気に食おうとしたら、そうなるわな……」

「いち早く復帰したのはマリナさん! これは速い、快調なピッチ! このまま逃げ切れるか?」

「お、キョウカも復帰したみたいだな。巻き返せるか?」

「猛追するキョウカさん。両者一歩も譲らない展開です!」

ラストスパート。かき氷をかきこむスプーンの速度が、加速度的に上がっていく。

「よっしゃ~!」

「先に完食したのは──マリナさん! これで1勝1敗、勝負は振り出しに戻りました!」



「少し休憩をはさんで──第三回戦、水鉄砲バトルのお時間です!」

「まだやるのかよ……って、マリナ、顔赤くなってないか?」

「休憩中にまた飲んだようです。もはや正気とは思えませんね」

「おい……」

ルールは単純。砂浜に設けられたミニ障害物コース内で、互いに水鉄砲を構えて撃ち合い、先に三発命中させたほうの勝ち。
まさかの水着姿でのガチバトルが幕を開ける。

「現在のスコアは1対1。この勝負を取ったほうが、メインディッシュを決定する最終局面に王手です!」

「つまりここで勝てば──“お魚orお肉晩飯”に大きく近づくわけか……どうでもいいけど疲れてきたぞ」

 

「いくよ、キョウカちゃん!」

「うんっ! おにくのためにぜったいまけない!」

「それでは第三回戦──スタートです!」

 

──パンッ!

アイカの号砲とともに、マリナとキョウカが勢いよく飛び出す。
砂浜に設置されたバルーンやパラソル、即席の砂の壁に身を隠しながら、互いに水鉄砲を撃ち合う。

「おっと、マリナさん、開幕一発命中! 素早く飛び出しての側面攻撃が冴えています!」

「お、酔っ払いの割には動けてるじゃねぇか……って、あれ?」

その瞬間、マリナの足がもつれ、前のめりに転倒。派手に砂に突っ込んだ。

「うわっ、しまっ!? 目に砂があぁぁぁぁ!」

「いまだよっ!」

チャンスを逃さなかったキョウカの水鉄砲が炸裂。立て続けに二発、マリナの胴に命中する。

「くっそ……目が、目があぁぁぁぁ……」

「マリナさん、完全に後退! しかし──あっと、これで勝負あり!」

 

「決まったー! 三発目の命中で、キョウカさんの勝利です!」

「またやられたか……」

「強化個体の反応速度に、子供特有のスタミナと反射神経。もはや暴力です。艦長、解説を」

「俺に振るな」

 

「やった~! おにく~! ステーキ~! ハンバーグ~!」

「うぅ……もう、負けられない……あと2勝、全部とってやる……」

 

──第三回戦は、肉派・キョウカの勝利!
これでスコアは2対1。お魚派・マリナ、後がない!



「第四回戦、スイカ割りです」

「……お前も疲れてきてねぇか?」

「気のせいです」

 

ルールはこうだ。

    目隠しした状態で、その場で10秒回る

    砂浜に置かれたスイカに向かって棒を振り下ろす

    制限時間は30秒、アドバイスは禁止

    より見事に割れたほうが勝ち

「現在のスコアは2対1。マリナさんが負ければ、その時点で勝負終了です!」

「マジで負けらんねぇ……ここで一本返す!」

「ではまずはキョウカさんから。目隠しをどうぞ」

「は~い!」

 

キョウカが棒を持ち、くるくるとその場で回る。

「10秒経過、どうぞ」

「いきまーす!」

まっすぐ、まったく迷わずスイカの前に進み、棒を振り下ろす。

バゴンッ!

「うわ……」

「スイカ、四散しました。あれはもう……ジュースですね」

「正確すぎて逆に怖ぇよ」

「どうやら足音と風の流れから、正確な位置を割り出したようです」

「それもうスイカ割りじゃねぇよ。精密誘導爆撃だよ」

 

「マリナの勝ちはもうなくなったわけだが……続けるのか?」

「やる! 引き分けにして、次勝って、そんでサドンデスで大逆転! 諦めたらそこで試合終了ってやつよ!」

「そうか。さっさとやってくれ」

「むむ~。ぐるぐるぐるぐる……うわ、目まわる……」

「10秒経過。どうぞ」

「う~ん……こっちか? いや、ちょっと右? 左?」

「おっと、マリナさん、明後日の方向に向かってます!」

「静かにしろ……こういうのは野生の感ってやつで……よし、ここだっ!」

バスッ!!

棒が地面に突き刺さり、砂煙が舞う。

「はい終了。スイカにかすりもしていません。勝者、キョウカさん」

「うぅ……くやしいぃ……!」

 
──こうして第四回戦もキョウカの勝利。スコアは3対1!

夕飯争奪戦、いよいよ最終ラウンドへ──!?

 

「いや、もう勝敗決まったろ。終了だ終了」

「ぐぬぬ……残念だけど、仕方ない。勝負だからね。夕飯は──お肉にしますっ!」

「やった~! おにく~! いっぱいたべる~!」

「……まあ、私も肉は嫌いじゃないし、いっか。お魚は明日ね」

「たのしかったね!」

 

笑い声が波音に混ざる。

──そんなバカンスの一日も、そろそろ夕暮れ時だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成
ファンタジー
「異世界転生して天下を統一したら元の世界に戻してあげる」 大学生の明彦(あきひこ)は火事で死亡した後、転生の女神にそう言われて異世界転生する。 だが転生したのはなんと14歳の女の子。しかも筋力1&武器装備不可! 降り立った場所は国は三国が争う中心地の激戦区で、頼みの綱のスキルは『相手の情報を調べる本』という攻撃力が皆無のサーチスキルというありさま。 とにかく生き延びるため、知識と口先で超弱小国オムカ王国に取り入り安全を確保。 そして知力と魅力を駆使――知力の天才軍師『諸葛孔明』&魅力の救国の乙女『ジャンヌ・ダルク』となり元の世界に戻るために、兵を率いたり謀略調略なんでもして大陸制覇を目指す!! ……のはずが、女の子同士でいちゃいちゃしたり、襲われたり、恥ずかしい目にあわされたり、脱がされたり、揉まれたり、コスプレしたり、男性相手にときめいたり、元カノ(?)とすれ違ったりと全然関係ないことを色々やってたり。 お風呂回か水着回はなぜか1章に1話以上存在したりします。もちろんシリアスな場面もそれなりに。 毎日更新予定。 ※過去に別サイトで展開していたものの加筆修正版となります。

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜

咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。 そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。 「アランくん。今日も来てくれたのね」 そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。 そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。 「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」 と相談すれば、 「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。 そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。 興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。 ようやく俺は気づいたんだ。 リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

処理中です...