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マリ・シンジュ

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土曜日・ローターと新城💝

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新城の言葉を聞いた羽生は、それがタトゥーの「安全確認」であると同時に、新城の張り詰めていた理性の糸が緩んだサインであると即座に理解した。

羽生は、新城に背後から抱きつく体勢のまま、耳元に顔を寄せる。

羽生:「ね、先生。まだ足りないでしょ? 僕の身体じゃ、まだ満たせてない」

羽生の甘えたような声は、新城の隠された深い願いを鋭く突き刺した。新城は息を詰まらせ、羽生を見つめ返す。

羽生:「お願い、先生。僕が満足させてあげる。あんたの奥底にある、その願いごと……管理なら僕にもできるんだよ」

羽生はサイドテーブルの奥から、楕円形をしたピンクの小型のローターを、新城の視界に入るように手に取った。

新城の瞳が一瞬、強い羞恥に焼かれたように揺れた。そのローターは、かつて新城自身が「自分の衝動が制御できなくなる」ことを恐れて、使用を禁じた道具だった。

新城:「……ッ、羽生。それだけは……ダメだ」​(ダメだ。また理性を失う。だが、この渇きはもう抑えられない)  

​羽生は、新城の抵抗が弱いことを見極め、その頬に熱い口づけを落とし、静かに囁いた。

​羽生:「嘘つき。 先生が一番、これで僕に壊されるのを待ってるんでしょ? 今回は逃げないで。僕との誓いなんだから、先生の全部を僕に預けて」

​よみがえる過去の記憶と、目の前にいる羽生の切実な熱にあてられ、新城の身体はこわばった。太腿に刻まれた「赤いリボン」の誓約が、じりじりと焼けるような重みで、逃れられない現実を突きつけてくる。

新城は、深く息を飲み込み、羽生から視線を逸らさないよう、必死に理性をつなぎ止めた。 

​新城:「……わかった。ただし、約束だ、羽生。これを使った後の手入れは、すべて俺の指示に従うこと。 感染予防は絶対だ」

​羽生は、新城が抵抗をやめたという本音を漏らしたことに、満面の笑みを浮かべた。

​羽生:「もちろんだよ。先生の言うことは、全部聞くから」

羽生は、手にした冷たい塊にたっぷりと潤滑剤を纏わせた。横向きに伏した新城の窄まりへ、その滑らかな異物を、なぞるようにゆっくりと押し込んでいく。

​密着した二人の下腹部の隙間からは、機械へと繋がる細いコードが、頼りなく覗いていた。新城は喉の奥でひきつった息を漏らす。内側を割り入ってくる、熱と冷たさが混ざり合った異質な感覚。それを拒絶しながらも、どこかで待ち望んでいた自分に、新城はさらに身を震わせた。

​新城:「ッ……あ、ああ……冷たい、……んっ! ッ、はぁ……っ」

​耳元に寄せられた羽生の唇は、鼓膜を震わせるほど近く、その囁きはどこまでも優しく逃げ場を塞いでいく。

​羽生:「さあ、先生。僕に見せて。あんたの理性じゃ、もう隠しきれない……本当の気持ちを」

​羽生の指先が、リモコンのラバーボタンを深く押し込んだ。物理的な音はしない。ただ、わずかな指先の沈み込みだけが、新城に「終わり」の始まりを告げる。

その瞬間、ローターから低く、粘着質な唸りが室内に響いた。新城の背中に抱きつく体勢のままの羽生にも、肉体を通じてその振動が伝わってくる。新城は、体内から広がる異質な震動に、全身の筋肉がびくりと硬直するのを感じた。

新城:(これは、ただの道具だ。流されるな……っ)

​崩れそうな理性を必死に繋ぎ止め、荒くなる呼吸を強引に整えようと腹部に力を込める。けれどそれは、羽生にとって「獲物が網にかかった」ことを知らせる合図でしかなかった。

​新城:「ッ……はぁ……っ。まだ、……だいじょうぶ、だ……っ」

​羽生:「ふふ。本当に? 先生……皮膚の奥が、こんなに可愛く震えてるのに」

​耳たぶに熱い吐息を注ぎ込み、羽生は無慈悲に振動を一段階上げた。低い唸りに、「ウィーン」という悲鳴のような甲高い音がわずかに混ざり始める。体内をかき乱す衝撃に、強張っていた筋肉がふっと瓦解した。内側から意識を突き破られ、支えていた腕から力が抜けて、新城はシーツへと顔を埋める。

​新城:「ッ、ああ……っ! 止めろ、息が……乱れる……ッ。お願いだ、羽生……っ!」

​溢れた拒絶はもはや意味を成さず、理性を失う恐怖からくる、情けないほど甘い懇願へと変わっていた。羽生はその訴えを掬い取るように無視し、首筋に熱い舌を滑らせて、抗う力を削ぎ落していく。

​羽生:「深呼吸なんて、しなくていいよ。……ほら、腰のあたりがすごく熱くなってきた。先生のこの熱は、全部僕だけのものなんだから」

羽生は、ローターの震えをランダムに強めたり弱めたりして、快感ともどかしさの波で新城を弄(もてあそ)んだ。体内の奥深くで熱い塊が強く押し付けられるたび、新城は反射的に喉の奥で声を詰まらせる。

​身をよじる腰の動きに合わせて、肛門から覗く細いコードが、シーツの上でわずかに滑った。脳を焼くような快感と、不意に断ち切られるもどかしさ。その繰り返しに、新城の理性はもう悲鳴を上げている。新城は羽生の腕を掴み、情けない声で訴え続けた。

​新城:「ッ、あああ……ッ、頼む……もう、無理だ……ッ、止めろ……!」

​羽生は、新城の理性が限界に達したのを悟ると、一気にレベル8まで引き上げた。「ウィーン」という無機質な音が新城の身体に響きわたり、逃げ場のない快感を突きつける。

​震動が前立腺を直撃した瞬間、新城の全身に熱が奔(はし)り、理性の壁がガラガラと音を立てて崩れ落ちていく。新城はベッドの上で情けなく身をよじらせ、足の指を丸めて、濡れたシーツを深く掴んだ。羽生の指先へと伸びるコードは、新城のすべてが、その指一本でコントロールされている現実を突きつけていた。

​新城:「ッ……あああッ、く……ッ。これは、ただの反射だ! ただの、前立腺反射……ッ、制御、しろ……っ!」

​羽生は、新城が快感の極限でそんな「専門用語」を口にする、ひどい自己否定の姿に魅入られた。必死に理屈を並べるほど、その身体が快感に屈しているのが際立って見える。

​羽生:「知識で僕の愛を否定しないで。これは反射なんかじゃない。あんたの身体が、僕の愛を全身で受けてるんだ」

​新城の抵抗は、もはや悲鳴すら形にならなかった。羽生の肩に顔を埋める新城の身体は、あられもないほど激しく震え、限界まで弓なりに反り返る。

​新城:「あああッ……! ひゅ、ひゅっ、くっ……うぅあ……! ん、んんん……!」

​刺激から逃れようと反射的に腰を引くが、すぐさま羽生に強く抱き締められ、ローターを埋め込まれたまま身体を固定された。
​羽生は、新城の抵抗がこの快感の前ではいかに無力かを確信し、その耳元に逃げ場のない熱い息を吹き込んだ。

羽生:「成功だよ、先生。見てごらん、心臓がこんなに跳ねてる。……これで証明できたね、僕の勝ちだ。もう、嘘はつけないよ?」
羽生は、手のひらに伝わる新城の激しい鼓動を愉しむように、容赦のない震えを押し付け続けた。

新城は、ローターの震えだけに突き動かされ、ついに、コンドーム内へ熱い精液を解き放った。身体を大きく跳ねさせ、羽生の腕の中で硬直したまま、呼吸の仕方も忘れたように動けなくなる。

絶頂の余韻が引いたあとも、新城の全身は細かく震え、呼吸は乱れたままだった。けれど、その瞳はもう、何事もなかったかのように冷えている。新城はすべてを感情の届かない場所へ追いやるように、荒い息の下で冷淡に告げた。

新城:「……ッ、すぐ、抜き取れ。ゆっくりだ」

羽生はコードをたぐり寄せ、体内からローターを優しく引き抜いた。新城がまだ震える手で身なりを整え、安堵の息を漏らした、その直後。羽生は、体内の熱を吸って温まったローターを、新城の手のひらに握らせた。新城はその熱い異物を拒むこともできず、ただ力なく指を絡める。

羽生:「分かったよ。最後まで賢いね、先生」

羽生は、逃げようとする新城の目を見つめ、静かに、けれど切実に囁(ささや)いた。

羽生:「ね、先生。これが、僕たちの秘密の鍵だよ。……次は、先生が僕にもっと深く愛されたいって思ったときに、これを使って」

抗っていた理性が溶けて、甘い快感の余韻だけが残っている。新城にとって、この若く強引な愛こそが、一番深く自分を満たしてくれる場所だった。新城は羽生の背中に回した腕にぐっと力を込め、その首筋に顔を埋めた。そして、隠しようのない甘い吐息を、ひとつだけ漏らした。


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