魂替(たまがえ)の主

雨門ゆうき

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裕介と大地

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 「裕介―、心理のコマのレポートどんな感じ?まさかもう終わってるー?」場所は○○大学のキャンパス内。季節は秋。十月の中頃だ。中庭のベンチに腰掛けてパンをぱくつきながら講義の資料をみている三年の田所裕介に、友人の神谷大地が声をかけた。

 「いやー、今まさにその資料みながらどうしようか考えているところだよ。お前は?」「どうするって、まさか迷ってるって、やるかやらないか迷ってんのか??これ落としたらお前結構単位やばいんじゃないのー?」大地もコーラを片手に隣に腰掛けた。二人共どちらかと言うとチャラついたような恰好をしていて、ベンチに並んで座っている様子はいかにも大学生を満喫しています、といった風情だ。ちなみに二人が通う大学はお世辞にも偏差値が高いとは言えなかった。「うーん、まさにそれだな。もう心理とか正直どうでもいいわ。単位は意外と大丈夫だぞ。最低限卒業する分には、な。それよりお前の進展はどうなんだよ??あっちのほうは。」にやつきながらパンの最後の一口を口に放り込み裕介は言った。

 「あっち…なあ。それがさー、難しいよね。みんなで飲みに行く分にはいいんだけど、あの娘正直お前と仲いいだろ??個人的に誘うの勇気いるんだよ、ほんと。」大地が好意を寄せているのは学部の同期の佐藤友里。彼女は裕介と同じ高校の同級生だった。「なんだったら俺から誘ってもいいぞ、それでお前が行けばいいよ。お前は男から見ても男前だし、代わりに行っても大丈夫だろ。」裕介が提案すると今度は大地の方がにやついた。

 「それは正直有難いけどな、お前は希だろ?いいのか、そっちは??」「はあ…お前嫌味かよ、わかってて言いやがって。あの娘はこの間の学部の飲み会の時、お前のことタイプだってみんなの前で言ってただろうが。まじでふざけんな…。」図星だった。裕介は希こと早川希のことが一年の頃から気になっていた。「それだけどなー、正直俺はあの娘なんとも思ってないしなあ。お互いかみ合わないな…。あ、そういえば。」何かを思い出したかのように大地が立ちあがった。

 「お前、群馬行ったことあるか??今週末空けとけよ。行くぞ、群馬。俺は場所詳しく調べとくから。」「いや急だな、群馬に何があるんだよ。別にいいけど。」裕介が答えると、そそくさとその場を離れながら大地が言った。「土曜日にお前のアパート迎えに行くから、多少動きやすい服装で待ってろよー。」「オーケー。ジャージで待ってるわー。」そう言って眺めていた資料をバッグにしまうとあくびをかみころし、裕介も立ち上がった。

 群馬かあ、行ったことないけど結構山多いよな。恋愛となんか関係あんのか??恋愛成就のお参りとかだったら、あまりにしょうもないな。そんなことを考えながら裕介はその日家路についた。
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