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デートかと思いきやフラれた土曜日

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『ごめん、やっぱ今日ナシで』
「えー。今言われても困るんだけど」
『ごめんって』
「…いいよ。次はいつ…」
『ごめんな。また後で連絡するわ』
「ちょ、亮…」

切れた電話のスマホ画面を、整えられた爪が撫でる。
今日は何回リスケしたデートの日だったか。
待ち合わせ時間から30分経ってからの電話だった。

完全に馬鹿にされている。
これはもう100%ナメられている。
むしろ何で今までで「忙しそうだな。邪魔しちゃ悪いな」とか思っていたんだろうか。

怒りなのか悲しみなのか、土曜日の午前11時に待ち合わせ場所のカフェテラスで俯いて涙を堪えているのが私です。

自分が情けない。やっと会えると信じてメイクしてヘアスタイルを整えアイツの好きな格好に洋服を揃え、待ち合わせ場所に10分前からドキドキ待っていた自分が可哀想で情けない。

「お姉さん」
「はい…」

今、私に話しかけるのは危険だぜ…
尖ったナイフより尖っているからな…!

「予定無くなったんなら、ちょっと俺に付き合ってくれない?」
「は?」

顔を上げると、そこには軽そうでチャラそうな今時なイケメンお兄さんがこちらを見ていた。
驚きで涙も引っ込んだ。

「私?」
「そう。俺もドタキャンされちゃって困ってたんだ。ドタキャン仲間だし、一緒に楽しいことしない?」

なんだ。ナンパか。
はー。

運命の人との出会いは突然に!?とか思っちゃったわ

「このテーマパークのチケット、有効期限が今日までなんだよね。よかったー無駄にならなくて」

テーマパークと聞いて、無視しようと下げ直していた顔を再び上げる。

んな!!!これは!某有名テーマパークのプレミアムチケット!!!え?ナンパじゃなくて、あなたは福の神だったの?もしかして、毎年初詣で50円玉を投げている御利益が今ここに具現化したの!?

「で、一緒に行く?」
「ええ。行きましょう。ドタキャン仲間として放っておけないわ…!」

神様…今まで存在を疑っていました。ごめんなさい。
来年は500円にします。ガラガラも両手でやります…!

そうと決まればこんなところで尖ったナイフになっている場合では無い。
心を入れ替え、福の神の化身を伴い意気揚々とテーマパークへと出陣したのだった。



「福の神さん!次はあのアトラクションに乗るよ!」

頭にキャラクターの耳のついた帽子を被り、マップ片手に福の神を引率する。たぶん、今年一番はしゃいでいる。

元々、ここのテーマパークが好きなのだが
ドタキャン野郎のアイツはこういう子どもっぽいところは苦手なのだそうだ。

私は好きになると相手の好みに合わせてしまうところがある。デートの場所もだ。アイツと来たかったなぁ…

「福の神じゃなくて名前呼んでほしいなぁー」

あぁいけない。福の神の存在を忘れてた。
ここに来てまで、ついアイツのことを考えちゃうなんて私も意外と乙女ね。

福の神こと、ナンパチャライケメンの頭の上にも私とお揃いのキャラクターの帽子が乗っている。
さすが顔が良いだけあって、キャラクターの帽子が映える。

「名前は聞かない。教えない。お互いに今日だけのドタキャン仲間なんだから。情が移っちゃうでしょ」

「冷たいなー」

福の神はカラッと笑いながら、今季限定のポップコーンを1つつまむと私の口に放り込んだ。

美味しい。

「飼えないペットは拾わない主義なの」

「ペットって。
…今日だけなら、恋人っぽくしようよ。今日だけ」

「はぁ?」

また1つポップコーンを口に入れられた時に、福の神の指が私の唇に触れた。
福の神は慣れたようにその指を軽く舐めると、私の方に視線を戻し蠱惑的に微笑んだ。

「せっかくテーマパークに来たのにドタキャン仲間ってだけじゃつまんないでしょ?恋人っぽくしたら寂しくないかも」

あぁ。そっか、そっか
そうだった。

福の神も、どこかの誰かと約束してたんだ。
このテーマパークを私と今いるみたいに一緒に歩く人がいて、私は今その人の代わりをしているんだ。

危なかった。
一瞬、勘違いしそうになってたわ。

「…今日だけだからね」

一瞬でも、このナンパチャライケメン福の神にドキッとしてしまった自分に勘違いするなよと
ちゃーんと言い含めた。

大丈夫。今日だけの恋人ごっこなのだから。



さっそく、恋人っぽく指を絡ませ手を繋いで歩いた。

福の神は雰囲気作りが匠の技で、愛しそうに熱っぽい目で見られると演技だとわかっていてもドキドキしてしまった。

ドキドキフラフラしてしまった私が誰かにぶつからないようにエスコートしてくれる福の神。

と、徳が高すぎますって…!

そんな徳も高けりゃ彼氏力も高い福の神に後からハグされながら、夜空に打ち上げられる花火を二人で見上げている。

花火を見ていてもスッポリ包まれる温もりに気を取られてしまう。

後ろを少し見上げたら、私の視線に気付いたのか軽くニコッとしながらキスを落としてきた。え、好き。

ポーッとなる私の顔に気付いたのか、微笑みを深くして…深いキスが降ってきた。

完全に雰囲気に流されている。
でも、流されるのも悪くないと思えるほどの雰囲気だった。



パーク内のホテル付きプランだったようで、流れるようにホテルまでついてきてしまった。

せっかくのパーク内のホテルなのに、それを楽しむ余裕が無いほど性急に求められた。
こんな熱量を向けられて、いつの間にか呼応するように私も相手を求めていた。

大きなベッドに引き倒され、キスを受けながらトップスを上に持上げられる。
胸より上に、顎より上に、頭の上に、腕の中ほどでまとまって止まってしまって手を下ろせない。

モゾモゾ動かそうとした両腕を上で抑えられ、拘束される。支配された感覚に背筋がゾクゾクする。自分にこんなMっ気があったなんて知らなかった。

口の中を舌が這い、私の舌に甘く絡める。
二人の間に銀糸を残したまま顔が離れて行く。

私の上に馬乗りになったまま、私を見下ろす顔はゾクッとするほど雄の顔だった。

鋭い視線と、指先が、胸の稜線をなぞる。

赤い舌がその軌跡を追うように這い、私を押し上げる。

「あー…ごめん。興奮しすぎてやばい。ゆっくりしようと思ったのに無理。ごめんね」

そう言うが早いか、下着をずらされ指が入ってきた。

「あっ、いきなり…っ」
「ごめんね、せっかちで…でもお姉さんのここは大丈夫そうだね?たくさん濡れてる。ほら、聞こえる?」

話しながらも中を探る指は止まらななかった。指が動くたび、水音が聞こえてきていた。

「ん、もぅ、…っあ、」

快感が膨らみ、今にも弾けそうになる。
クチクチという音が羞恥心をさらに煽った。

「あぁ。ここも、だね」

ヌルリと敏感な尖りを親指で擦りあげられ、びくりと体が跳ねてしまった。

「あ、あっ、そこ…っ、は」
「きもちいい?…やばい。かわいい」

顔を下ろすと乳首を同時になぶられ、すぐ達してしまった。

たゆたう快感の波に流されていると、すぐ指の代わりに太く熱いものが隘路を掻き分け侵入してきた。

押し広げるような感覚がゾワゾワと背筋を駆け上がる。
溶けてしまいそうなほど気持ちがいい。

「あー…やばい。やっとだ…」
「ん、うぅ…っ」
「溶けそうなぐらい気持ちいい」

そういう彼の顔は本当に蕩けそうな顔をしていて、愛しさが込上がってくるようだった。

「はぁ、あつっ…」

彼は中を確かめるように腰を回しながら上体を起こした。着ていたシャツを脱ぎ、そのまま放り投げると私の中途半端に脱げていた服も脱がし始めた。

合間に贈られるキスが本当に愛されているかのような気分にさせられた。

「…っ、…こーら。」

パンッと大きく腰を打ち付けられた。

「んや、あっ、あっ、」

そのまま奥を突かれ、喘がされる。

「急にキュッて締まったから驚いちゃったよ。何がよかったの?」

甘く問いながらも腰の動きは止まらない。私は喘ぐばかりで答えることが出来ない。

そんな淫靡な空間に、スマホのバイブ音が鳴った。ベッドの上に投げられたカバンの中からだ。彼がそのまま私のスマホを持ち上げる。

「亮、から電話だよ?」

彼は蠱惑的な笑みでスマホを耳に当てると、また腰を動かし始めた。

「もしもし。」

私にかかってきた電話なのに!
抗議しようにも声を抑えるのに必死で声を出すことが出来ない。

自分でも彼をキュッキュッと締め付けてしまったのがわかった。

彼はニヤリと笑うと、結合部に手を這わせ
先程擦りあげられ達してしまった淫芽をクルクルと撫で始めた。

「あぁ。…いや?違うけど」

声は涼しいものだけれど、彼の表情は
獲物を喰らう前の雄の顔だった。

「…アスカは俺が貰うから。兄さん」

「え?」

電話を切ったのか、スマホをポンと戻すと
私の耳に唇を寄せ囁いた。

「俺の名前はリュウジだよ。名前呼んで。俺の。」

ね?と耳を舐めあげられながら、気持ちのいいところを突かれわけがわからなくなってきた。

「あ、もう、イクの」

「名前、呼んで」

「~~ひぁ、リュ、ウジっ!リュウジっ、」

よくできました、と言われた気がしたが
私は聞いていなかった。

少し気が飛んでいたのか、気付くとリュウジがこちらを見て微笑んでいた。

「名前呼んだんだから、最後まで責任とって飼うんだよね?アスカちゃん?」

どうやら私はとんでもないものを拾ってしまったらしい。










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