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第5章:家族を問う者たち
第44話「レンタル拒否者の村」
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山道を抜けた先に、外界との通信が届かない“影”のような集落があった。
ここには、レンタル制度を拒んだ人々が隠れるように暮らしている。
「ここが、“拒否者の村”?」
ヒカルは緊張した面持ちで周囲を見回す。
手入れのされていない畑。掘っ立て小屋のような家。
どの家にも“家族認証プレート”はついていない。
「制度に登録していない=存在していない人間ってことか」
リョウがつぶやく。
そんな彼らを、村の長のような老婆が迎えた。
名を「タエ」と言った。
「……また子供かい。よう来なすったね」
老婆の顔はしわだらけで、目だけが異様に澄んでいた。
「おれたち……“母”を探してて」
ヒカルが事情を話すと、タエは頷いた。
「探してどうすんだい? 母が見つかったら、それで終わりかい?」
その問いに、ヒカルは黙った。
「ここにいる連中は皆、家族に“選ばれなかった”か、“捨てられた”者ばかりさ。
『制度は正しい』って教えられて育った人間にとっちゃ、
うちらは“欠陥人種”さね」
リョウが思わず反論する。「違う。制度の方が間違ってる」
「間違いでも、“幸せっぽく見えるもの”のほうが選ばれる。
あんたら、幸せってのがどういうもんだと思ってんのかい?」
老婆は続ける。
「この村には、“本物の母”が一度だけ来たことがあるよ。
制度に逆らって、自分の子を取り戻そうとしてね。
……でも叶わなかった。制度はね、感情を許さないんだよ」
ヒカルは息を呑んだ。「その母の名前、覚えてますか?」
「……名前なんざ、もう残っとらん。だが――」
タエは、おもちに視線を向けた。
「そのペット、“おもち”って呼んだね?
その子を見て思い出したよ。あの母親、最後にこう言ってた。
“この子の心を記録する存在が、唯一の証人になる”って」
ヒカルとリョウは、おもちを見つめた。
「じゃあ……おもちの中に、“母”の痕跡が残ってるってこと?」
おもちは小さく頷いた。
「うん。記憶の鍵は、ある“特定の場所”でしか開けられないようにされてる。
それは……“母のいた場所”――」
「それはどこだ……?」ヒカルが問う。
タエは、ゆっくりと指をさした。
「この村の裏手に、崩れた祠がある。そこが“母”が最後に祈った場所だよ」
外では風が吹いていた。
この世界のどこかで、“家族”という名の制度が音を立てて揺れている気がした。
ヒカルは言う。
「行こう。終わらせるために、“母の痕跡”に会いに」
村人たちは黙って見送った。
誰も信じてはいない。
でも――少年の瞳の中にだけ、“信じるもの”が、確かに灯っていた。
ここには、レンタル制度を拒んだ人々が隠れるように暮らしている。
「ここが、“拒否者の村”?」
ヒカルは緊張した面持ちで周囲を見回す。
手入れのされていない畑。掘っ立て小屋のような家。
どの家にも“家族認証プレート”はついていない。
「制度に登録していない=存在していない人間ってことか」
リョウがつぶやく。
そんな彼らを、村の長のような老婆が迎えた。
名を「タエ」と言った。
「……また子供かい。よう来なすったね」
老婆の顔はしわだらけで、目だけが異様に澄んでいた。
「おれたち……“母”を探してて」
ヒカルが事情を話すと、タエは頷いた。
「探してどうすんだい? 母が見つかったら、それで終わりかい?」
その問いに、ヒカルは黙った。
「ここにいる連中は皆、家族に“選ばれなかった”か、“捨てられた”者ばかりさ。
『制度は正しい』って教えられて育った人間にとっちゃ、
うちらは“欠陥人種”さね」
リョウが思わず反論する。「違う。制度の方が間違ってる」
「間違いでも、“幸せっぽく見えるもの”のほうが選ばれる。
あんたら、幸せってのがどういうもんだと思ってんのかい?」
老婆は続ける。
「この村には、“本物の母”が一度だけ来たことがあるよ。
制度に逆らって、自分の子を取り戻そうとしてね。
……でも叶わなかった。制度はね、感情を許さないんだよ」
ヒカルは息を呑んだ。「その母の名前、覚えてますか?」
「……名前なんざ、もう残っとらん。だが――」
タエは、おもちに視線を向けた。
「そのペット、“おもち”って呼んだね?
その子を見て思い出したよ。あの母親、最後にこう言ってた。
“この子の心を記録する存在が、唯一の証人になる”って」
ヒカルとリョウは、おもちを見つめた。
「じゃあ……おもちの中に、“母”の痕跡が残ってるってこと?」
おもちは小さく頷いた。
「うん。記憶の鍵は、ある“特定の場所”でしか開けられないようにされてる。
それは……“母のいた場所”――」
「それはどこだ……?」ヒカルが問う。
タエは、ゆっくりと指をさした。
「この村の裏手に、崩れた祠がある。そこが“母”が最後に祈った場所だよ」
外では風が吹いていた。
この世界のどこかで、“家族”という名の制度が音を立てて揺れている気がした。
ヒカルは言う。
「行こう。終わらせるために、“母の痕跡”に会いに」
村人たちは黙って見送った。
誰も信じてはいない。
でも――少年の瞳の中にだけ、“信じるもの”が、確かに灯っていた。
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