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第9章:それでも世界は終わる
第85話「妹の祈り」
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ミオは、今もまだ祈っていた。
誰にともなく。
どこにともなく。
机の上に並べた折り紙は、千羽に届く勢いだった。
羽のない鳥たちが、空も知らぬまま積み重なっている。
「……願えば、叶うって。昔、母さんが言ってた」
ミオはひとり呟く。
けれど、母はもういない。
レンタルで来た“母のようなもの”は、二日前から一言も喋らなくなった。
父も――何も言わずにいなくなった。
けれど、ミオは泣かなかった。泣くのは、ヒカルの方だったから。
その夜、ミオの部屋にヒカルが入ってくる。
おもちが、ミオのベッドの上で丸くなっていた。
「調子どう?」
「……おもちがね、今日は何も食べないの」
ミオは無理に笑った。
「でもね、私、決めたの。
ヒカルお兄ちゃんが泣かないようにするのが、私の仕事。
だから、わたし、家族のままでいたいの」
ヒカルは、ミオの前に座り込んだ。
そして折り紙の山を見つめる。
「祈ってるの?」
「うん」
「何を?」
ミオは少しだけ考えたあと、ぽつりと言った。
「“終わりがちゃんと終われますように”」
ヒカルは目を見開いた。
「今の家族が、偽物でもいいの。
だって、わたしにとっては本物だったから。
でも、壊れるなら……ちゃんと見届けたい。
知らないうちに終わるのはイヤなの」
ミオの手の中の折り紙は、まだ小さくて不格好だった。
「バカだな、お前……」
そう言って、ヒカルはミオの頭を撫でる。
「俺が守るよ、全部。
偽物でも、終わりでも、
お前がそうやって祈ってくれるなら、
俺も、ちゃんと向き合うよ」
その夜、ヒカルはミオの部屋に一緒に寝た。
おもちは、ヒカルの腕に小さく寄り添い、
まるで昔の母のように、小さな声で言った。
「ヒカル……おかえり」
「……ただいま」
その言葉を聞いたミオが、布団の中で小さく笑った。
それは、誰にも届かない祈りだったかもしれない。
けれど、その祈りが、世界をもう一度つなぎ直す鍵になることを、
ヒカルはまだ知らなかった。
――カウントゼロまで、あと25日。
誰にともなく。
どこにともなく。
机の上に並べた折り紙は、千羽に届く勢いだった。
羽のない鳥たちが、空も知らぬまま積み重なっている。
「……願えば、叶うって。昔、母さんが言ってた」
ミオはひとり呟く。
けれど、母はもういない。
レンタルで来た“母のようなもの”は、二日前から一言も喋らなくなった。
父も――何も言わずにいなくなった。
けれど、ミオは泣かなかった。泣くのは、ヒカルの方だったから。
その夜、ミオの部屋にヒカルが入ってくる。
おもちが、ミオのベッドの上で丸くなっていた。
「調子どう?」
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ミオは無理に笑った。
「でもね、私、決めたの。
ヒカルお兄ちゃんが泣かないようにするのが、私の仕事。
だから、わたし、家族のままでいたいの」
ヒカルは、ミオの前に座り込んだ。
そして折り紙の山を見つめる。
「祈ってるの?」
「うん」
「何を?」
ミオは少しだけ考えたあと、ぽつりと言った。
「“終わりがちゃんと終われますように”」
ヒカルは目を見開いた。
「今の家族が、偽物でもいいの。
だって、わたしにとっては本物だったから。
でも、壊れるなら……ちゃんと見届けたい。
知らないうちに終わるのはイヤなの」
ミオの手の中の折り紙は、まだ小さくて不格好だった。
「バカだな、お前……」
そう言って、ヒカルはミオの頭を撫でる。
「俺が守るよ、全部。
偽物でも、終わりでも、
お前がそうやって祈ってくれるなら、
俺も、ちゃんと向き合うよ」
その夜、ヒカルはミオの部屋に一緒に寝た。
おもちは、ヒカルの腕に小さく寄り添い、
まるで昔の母のように、小さな声で言った。
「ヒカル……おかえり」
「……ただいま」
その言葉を聞いたミオが、布団の中で小さく笑った。
それは、誰にも届かない祈りだったかもしれない。
けれど、その祈りが、世界をもう一度つなぎ直す鍵になることを、
ヒカルはまだ知らなかった。
――カウントゼロまで、あと25日。
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