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第6章 異変
4.異変
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気がつくと俺は、見知らぬ家のベットに寝かされていた。
いつの間にか、夜になっていたらしい。
窓辺に置かれたランプの炎が優しく揺らめいているのをぼんやりと見ていたら、そばにいたらしいリオンが、俺を心配そうに覗き込んできた。
一瞬ぎょっとするが、その顔にも服にも血はついてない。
俺の服にも。
夢だったんだ……。
そう思ってほっとした時、部屋の隅でお互いをかばうように折り重なって死んでいる、親子四人の亡骸が目に入った。
子供二人は、俺とリオンぐらいの年だ。
待てよ、今着てるこの服、俺のじゃない。
リオンが着てる服もだ。
じゃあ、これは一体誰の服なのだ?
そして此処は、誰の家なのだ?
まさか……!!
「うわああああああああああああああ!!」
再び錯乱する俺を、リオンはぎゅっと抱きしめた。
その髪からは、隠しきれない濃厚な血の匂いがする。
「離せ!! 離してくれこの化け物!! 俺に、触るなぁぁぁ!!!!」
言ってから、ハッとした。
弟の大きな瞳からみるみる涙が盛り上がり、細い顎を伝って床に落ちていった。
「……酷いです……兄様……」
抑揚の無いその声には、ゾッとするものがあった。
「僕は兄様を守ろうとしただけなのに、兄様は僕を『化け物』と呼ぶのですね……」
流れ続ける涙とは裏腹に、その瞳には狂気が宿っているように見えた。
「待て……違っ……」
抵抗する気力を失った兵士まで、皆殺しにした凄惨な光景……そしてリオンを育てたクロスⅦをためらわず殺した激しさを思い出して、思わず後ずさる。
この少年は、俺が思っていたような、可愛らしく弱いだけの存在ではない。
その気になれば、俺の命を奪うことだってたやすいだろう。
リオンの朱金の瞳は、俺をじっと見つめている。
「僕は、地下のあの神殿で、兄様のために祈りを捧げる毎日でも良かった。
クロスⅦの言うとおり、兄様のために魔力を使い、心を捧げ、一生陽の当たらぬ地下で暮らしても良かった。
でも、兄様が一緒に行こうとおっしゃって下さったから、僕は大好きな兄様の言うことをきいた。
…………兄様だけを信じて、ここまで来たのに……」
すらりとエラジーが、引き抜かれる。
百数十人もの血を吸ったであろうその刀は、どこまでも澄んでいて、刃こぼれ一つ無く鋭い光を宿している。
……ああ、俺はもう逃げられない。
俺の腕ではこの弟に、到底届かない。
今から俺は弟に殺されて、ここで死ぬのだ。
そう思ってごくりと喉を鳴らしたとき、リオンは刃を自分の方に向けた。
いつの間にか、夜になっていたらしい。
窓辺に置かれたランプの炎が優しく揺らめいているのをぼんやりと見ていたら、そばにいたらしいリオンが、俺を心配そうに覗き込んできた。
一瞬ぎょっとするが、その顔にも服にも血はついてない。
俺の服にも。
夢だったんだ……。
そう思ってほっとした時、部屋の隅でお互いをかばうように折り重なって死んでいる、親子四人の亡骸が目に入った。
子供二人は、俺とリオンぐらいの年だ。
待てよ、今着てるこの服、俺のじゃない。
リオンが着てる服もだ。
じゃあ、これは一体誰の服なのだ?
そして此処は、誰の家なのだ?
まさか……!!
「うわああああああああああああああ!!」
再び錯乱する俺を、リオンはぎゅっと抱きしめた。
その髪からは、隠しきれない濃厚な血の匂いがする。
「離せ!! 離してくれこの化け物!! 俺に、触るなぁぁぁ!!!!」
言ってから、ハッとした。
弟の大きな瞳からみるみる涙が盛り上がり、細い顎を伝って床に落ちていった。
「……酷いです……兄様……」
抑揚の無いその声には、ゾッとするものがあった。
「僕は兄様を守ろうとしただけなのに、兄様は僕を『化け物』と呼ぶのですね……」
流れ続ける涙とは裏腹に、その瞳には狂気が宿っているように見えた。
「待て……違っ……」
抵抗する気力を失った兵士まで、皆殺しにした凄惨な光景……そしてリオンを育てたクロスⅦをためらわず殺した激しさを思い出して、思わず後ずさる。
この少年は、俺が思っていたような、可愛らしく弱いだけの存在ではない。
その気になれば、俺の命を奪うことだってたやすいだろう。
リオンの朱金の瞳は、俺をじっと見つめている。
「僕は、地下のあの神殿で、兄様のために祈りを捧げる毎日でも良かった。
クロスⅦの言うとおり、兄様のために魔力を使い、心を捧げ、一生陽の当たらぬ地下で暮らしても良かった。
でも、兄様が一緒に行こうとおっしゃって下さったから、僕は大好きな兄様の言うことをきいた。
…………兄様だけを信じて、ここまで来たのに……」
すらりとエラジーが、引き抜かれる。
百数十人もの血を吸ったであろうその刀は、どこまでも澄んでいて、刃こぼれ一つ無く鋭い光を宿している。
……ああ、俺はもう逃げられない。
俺の腕ではこの弟に、到底届かない。
今から俺は弟に殺されて、ここで死ぬのだ。
そう思ってごくりと喉を鳴らしたとき、リオンは刃を自分の方に向けた。
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