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リオン編 兄
リオン編 兄1
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最悪の出会いから早2年がたった。
初めの頃は時々しか来てくださらなかった兄様だけど、この頃は毎日のようにいらっしゃる。
僕の方は、相変わらず『馬鹿』だった。
兄様の口からこぼれる高度な会話についていけなくて、己の未熟さを実感する。
だけど少しでも兄に賢く見られようと、いつも精一杯わかっている振りをした。
……まあ、バレバレだったとは思うけどね。
でも兄様は、どんな時でもお優しい。
僕が、どんなに『馬鹿』でもお優しい。
クロスⅦのように「ハァ……」とため息をついたりもしないし、ガミガミ怒ったりもしない。
いつもニコニコしながら僕に肉親の『アイ』というものを下さり、なにやら難しい意味の名前までいただいた。
名前か……。
そんなものが必要だなんて、今までは考えた事もなかった。
普段はクロスⅦと二人きりであるため「おい」とか「お前」とか「ちょっと」とか呼ばれ、それでこと足りる。
でもよく考えてみれば、兄様にも父様にも名はあるし、僕より幼いはずの妹姫や頂いた『ぷれぜんと』にさえ名前がある。
そっかぁ。僕にだって『名前』があっても良いんだ。
自分に『名』があるというのは最初は奇妙にも思えたが、名を呼ばれるたびに何故か胸が暖かくなる。それが不思議でたまらない。
兄様は名前やアイジョウ以外にも、僕に外界の色々な物体を与えようとなさった。
けれど僕は断った。
断りたくなかったけど、心の中で血の涙を流しながら断った。
本当は欲しかったんだよぉぉぉっ!!
兄様の下さるものなら、髪の毛一本だって宝物なのに。
アレとかソレとか、見たことも聞いたことも無い凄いものだったのに……しくしく。
クロスⅦは優秀な神官魔道士だが、それ以上に掃除大好き人間だ。
だからちょっとした変化も見逃すことはない。
せめてズボラだったという先代のクロスⅥなら誤魔化せたと思うのだけど、先代がズボラ過ぎたため、一時期神殿内に黒くてひらべったい虫が大発生したらしい。
まだ幼かったクロスⅦは僕同様目隠しをしていた時、靴の中に気配を消して潜んでいたソレを踏んだ。
以来、クロスⅦは恐ろしくキレイ好きとなり、机の整頓などにも当然チェックが入る。
物証など残すわけにはいかないのだ。
でも食べれば無くなる『オカシ』というものだけは喜んで頂いた。
食べたことの無いそれらは僕の舌を魅了したけれど、その『オカシ』より僕は、兄様の来訪のほうが嬉しく感じられる。
あの扉を開けて会いにくる兄様も、いつもとても嬉しそうだった。
初めの頃は時々しか来てくださらなかった兄様だけど、この頃は毎日のようにいらっしゃる。
僕の方は、相変わらず『馬鹿』だった。
兄様の口からこぼれる高度な会話についていけなくて、己の未熟さを実感する。
だけど少しでも兄に賢く見られようと、いつも精一杯わかっている振りをした。
……まあ、バレバレだったとは思うけどね。
でも兄様は、どんな時でもお優しい。
僕が、どんなに『馬鹿』でもお優しい。
クロスⅦのように「ハァ……」とため息をついたりもしないし、ガミガミ怒ったりもしない。
いつもニコニコしながら僕に肉親の『アイ』というものを下さり、なにやら難しい意味の名前までいただいた。
名前か……。
そんなものが必要だなんて、今までは考えた事もなかった。
普段はクロスⅦと二人きりであるため「おい」とか「お前」とか「ちょっと」とか呼ばれ、それでこと足りる。
でもよく考えてみれば、兄様にも父様にも名はあるし、僕より幼いはずの妹姫や頂いた『ぷれぜんと』にさえ名前がある。
そっかぁ。僕にだって『名前』があっても良いんだ。
自分に『名』があるというのは最初は奇妙にも思えたが、名を呼ばれるたびに何故か胸が暖かくなる。それが不思議でたまらない。
兄様は名前やアイジョウ以外にも、僕に外界の色々な物体を与えようとなさった。
けれど僕は断った。
断りたくなかったけど、心の中で血の涙を流しながら断った。
本当は欲しかったんだよぉぉぉっ!!
兄様の下さるものなら、髪の毛一本だって宝物なのに。
アレとかソレとか、見たことも聞いたことも無い凄いものだったのに……しくしく。
クロスⅦは優秀な神官魔道士だが、それ以上に掃除大好き人間だ。
だからちょっとした変化も見逃すことはない。
せめてズボラだったという先代のクロスⅥなら誤魔化せたと思うのだけど、先代がズボラ過ぎたため、一時期神殿内に黒くてひらべったい虫が大発生したらしい。
まだ幼かったクロスⅦは僕同様目隠しをしていた時、靴の中に気配を消して潜んでいたソレを踏んだ。
以来、クロスⅦは恐ろしくキレイ好きとなり、机の整頓などにも当然チェックが入る。
物証など残すわけにはいかないのだ。
でも食べれば無くなる『オカシ』というものだけは喜んで頂いた。
食べたことの無いそれらは僕の舌を魅了したけれど、その『オカシ』より僕は、兄様の来訪のほうが嬉しく感じられる。
あの扉を開けて会いにくる兄様も、いつもとても嬉しそうだった。
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