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第八章 女帝
第八章 女帝 二
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今なお、かんばせ麗しい異母姉に手を取られ、独孤陀は赤面した。
呪術を使う家系であるがゆえに、独孤陀は他の子供たちや街の者から忌まれることが多々あった。
ところが、この姉だけは度々文をくれ、館に呼んでは一緒に遊んでくれたものである。
しかも長じても忘れ去ったりはせず、下位のものとはいえ官に推薦し、明るい世に導いてくれた。
独孤陀はこの美しい異母姉に、恋にも似た感情を抱いていた。
それはよこしまなものではなかったが、幼き日の思い出は甘く、さっそく異母姉を屋敷の中へといざなったのである。
さて、伽羅は異母弟に座を勧められたが、中々顔を上げることができなかった。
しかし促されてやっと細く声を漏らす。
「そなた、呪術の方は……まだやっておるのでしょうか?」
「いえ最近はまったく。仕事に精を出し真っ当に暮らしておりまする。
これも姉上のお取り計らいのおかげでございます。
御恩に報いるべく、わたくしは、姉上のために粉骨砕身する所存にございます」
それを聞いて、伽羅はまた黙った。
異母弟は、今、幸せに暮らしている。人間らしく暮らしている。
それを蛇の道に引き戻してよいものか。
しかし異母弟は、何かを察したようである。
「姉上、この愚弟で良ろしければ何なりとお力になります。
見れば何かご事情がお有りなご様子。
秘密は洩らしません。どうぞ腹を割ってお話し下さいませ」
そう言うのだ。
彼の母や祖母はもうすでに亡くなっていて、彼が家を継いだのは十七歳の時だ。
家を継ぐ。
普通であれば、財や領民、地位のことを差すのだが、この場合は違う。
独孤陀の母方は術師の家系であったので、彼は『術』を継いでいる。
蠱毒の一種『猫鬼』を使うことができるのだ。
ちなみに『猫鬼』の術は次の『隋』代に流行し、大勢が投獄されたことが史書に明記されている。
伽羅にとって、呪術は忌まわしい行為であった。
異母弟を推薦して官職に就けたのは、この『呪術』から引き離すためであった。
『猫鬼』を標的とする人間にとり憑かせると、その標的の臓腑の『気』を喰らって対象を病殺し、さらにはその人間の財を術者の家に人知れず運ぶという。
まったく、天の理に反した忌まわしい邪技である。
しかし、それにすがらざるを得ない人間も、確かに存在するのだろう。
そう……今の、伽羅のように。
悪皇帝を標的としたなら、どうなるのだろう? と、伽羅は考えた。
『猫鬼』が皇帝の臓腑の『気』を喰くらって殺し、自分のもとに人知れず帝位を運んでくれるのでは?
清廉に生きてきた伽羅にとって、それは恐ろしい考えであった。
弟にも再び罪を犯させることとなる。
でも、いまや怪しの術にすがるしか『娘を助ける方法』はないのだ。
「そなた、『術』の腕は確かなのかえ?」
小さく口にする異母姉に、弟はうなずいた。
「これはと思った相手を仕留めそこなったことはございませぬ。
我が家は少々他家とは違う方法を取りまするが、それだけに効果は絶大です。
最後に術を使ったのは、二年程前にございまする。
母を無頼に殺された娘の依頼でありましたが、あまりにも哀れで引き受けてしまいました。
ただし、私はいまや官職のある身。表ざたにはしておりませぬし、金銭なども受け取ってはおりませぬ」
「そう……そなたらしいこと」
この弟の母親もそういえば、『善人不殺』を掲げていた。
もちろん、生きていかなばならぬので、伽羅の父と出会うまではかなりの高額料金を示していたようだが。
伽羅はしばらく逡巡したが、青年となった独孤陀にすべてを話すことにした。
もはや、頼れるのはこの異母弟しかいない。
夫である楊堅は、以前の伽羅同様、呪術は忌まわしいものと考えている。
まして『人を呪い殺す術』などもってのほかだ。
庶民間のいんちき呪術などは『実際の効力』が無きに等しいので、役人に訴えても笑い飛ばされて終わることが多い。
しかし、呪う相手が『貴人』であればそうはゆかぬ。
女人の最高位に座する皇后ですら、貴人を呪ったことが表に出れば廃位される。
実際、前漢の皇后である『陳皇后』は呪術を行ったことが漏れ出て廃位され、『衛皇后』に至っては廃位されたばかりでなく自殺を強いられている。
このように穢れた罪有る計画を『清廉な夫』に打ち明けることなど到底出来なかった。
また、発覚した場合に『夫を巻き込むこと』も避けねばならぬ。
罪は自分ひとりの頭上に。
いざとなれば、自分が責任を取って自害する。
連座を防ぐにはその方法しかない。
夫や親族、揚家に仕える者たちのためにも揚家に迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
もちろん、いざとなったら手の者に頼み、この異母弟もどこかに落ち延びさせるつもりだった。
腹をくくった伽羅の表情はもう、彼女自身がすでに鬼女であるかのようだった。
何としてでも、悪皇帝を仕留めねばならぬのだ。
独孤陀の方はどうだろう。鬼女となった姉に怯んだろうか。
『皇帝を呪殺する』という大罪を犯すことに怯んだろうか。
いや、独孤陀も年若いとはいえ術師のはしくれ。ひるむ様子はまったく見られなかった。
話を聞き終えたこの異母弟は、むしろ穏やかな微笑を浮かべたのである。
「姉上はほんにお優しい。
穢れた呪術士の私にも、いつも優しくして下さいましたね。
そして、此度は大罪を犯してまで愛娘を助けようとする『慈母の心意気』まことに感服いたしました。
ほかならぬ姉上の望みです。この愚弟が何としてでも叶えて差し上げたいと思います」
そこまでは微笑んだが、以後は一転して表情を厳しくした。
「しかしながら、常人を狙うなら、通常の術でも十分通用いたしますが、皇帝―――つまり天子は文字通り天の申し子。
あの行いであれば『天帝様』からの寵はすでに失っておりましょうが、それでも確実に仕留めるには、それ相応の対価が必要となるのです」
「対価であれば、何でも良きように。財は惜しみませぬ。
それがわたくしの『命』であっても文句は言いますまい」
伽羅の申し出に青年はうなずいた。
「まさしく、命でございます。
それも、誰のものでも良いというわけには参りませぬ。
そこまで思い詰めていらっしゃるのなら、私も腹を割って打ち明けましょう。
姉上の徳高き命が必要でございます。娘を思う、その一途な心が必要にございます。
なれど、姉上の寿命は、その徳の高さに比例するように長く、私が視るところによりますと、七十八歳までは生きられましょう。
そのうちの二十年をこの愚弟に預けては下さらないでしょうか?
私はまだ若輩の身ではありますが、まずは術をかけて早急に皇帝を呪殺し、姉上のご息女をお救い申し上げたいと思っておりまする。
術を行っても姉上の命が尽きるまでには十分な時間がございますゆえ、その間に、姉上の寿命を取り戻すすべを何とかして得たいと思っておりまする。
ですが、確実に見つかるという保証はないのです。それでもよろしいでしょうか?」
伽羅は少し考え込んだが、すぐにうなずいた。
「そなたの良きように」
そうして伽羅は、己の寿命をかけて『皇帝の呪殺』を図ったのである。
呪術を使う家系であるがゆえに、独孤陀は他の子供たちや街の者から忌まれることが多々あった。
ところが、この姉だけは度々文をくれ、館に呼んでは一緒に遊んでくれたものである。
しかも長じても忘れ去ったりはせず、下位のものとはいえ官に推薦し、明るい世に導いてくれた。
独孤陀はこの美しい異母姉に、恋にも似た感情を抱いていた。
それはよこしまなものではなかったが、幼き日の思い出は甘く、さっそく異母姉を屋敷の中へといざなったのである。
さて、伽羅は異母弟に座を勧められたが、中々顔を上げることができなかった。
しかし促されてやっと細く声を漏らす。
「そなた、呪術の方は……まだやっておるのでしょうか?」
「いえ最近はまったく。仕事に精を出し真っ当に暮らしておりまする。
これも姉上のお取り計らいのおかげでございます。
御恩に報いるべく、わたくしは、姉上のために粉骨砕身する所存にございます」
それを聞いて、伽羅はまた黙った。
異母弟は、今、幸せに暮らしている。人間らしく暮らしている。
それを蛇の道に引き戻してよいものか。
しかし異母弟は、何かを察したようである。
「姉上、この愚弟で良ろしければ何なりとお力になります。
見れば何かご事情がお有りなご様子。
秘密は洩らしません。どうぞ腹を割ってお話し下さいませ」
そう言うのだ。
彼の母や祖母はもうすでに亡くなっていて、彼が家を継いだのは十七歳の時だ。
家を継ぐ。
普通であれば、財や領民、地位のことを差すのだが、この場合は違う。
独孤陀の母方は術師の家系であったので、彼は『術』を継いでいる。
蠱毒の一種『猫鬼』を使うことができるのだ。
ちなみに『猫鬼』の術は次の『隋』代に流行し、大勢が投獄されたことが史書に明記されている。
伽羅にとって、呪術は忌まわしい行為であった。
異母弟を推薦して官職に就けたのは、この『呪術』から引き離すためであった。
『猫鬼』を標的とする人間にとり憑かせると、その標的の臓腑の『気』を喰らって対象を病殺し、さらにはその人間の財を術者の家に人知れず運ぶという。
まったく、天の理に反した忌まわしい邪技である。
しかし、それにすがらざるを得ない人間も、確かに存在するのだろう。
そう……今の、伽羅のように。
悪皇帝を標的としたなら、どうなるのだろう? と、伽羅は考えた。
『猫鬼』が皇帝の臓腑の『気』を喰くらって殺し、自分のもとに人知れず帝位を運んでくれるのでは?
清廉に生きてきた伽羅にとって、それは恐ろしい考えであった。
弟にも再び罪を犯させることとなる。
でも、いまや怪しの術にすがるしか『娘を助ける方法』はないのだ。
「そなた、『術』の腕は確かなのかえ?」
小さく口にする異母姉に、弟はうなずいた。
「これはと思った相手を仕留めそこなったことはございませぬ。
我が家は少々他家とは違う方法を取りまするが、それだけに効果は絶大です。
最後に術を使ったのは、二年程前にございまする。
母を無頼に殺された娘の依頼でありましたが、あまりにも哀れで引き受けてしまいました。
ただし、私はいまや官職のある身。表ざたにはしておりませぬし、金銭なども受け取ってはおりませぬ」
「そう……そなたらしいこと」
この弟の母親もそういえば、『善人不殺』を掲げていた。
もちろん、生きていかなばならぬので、伽羅の父と出会うまではかなりの高額料金を示していたようだが。
伽羅はしばらく逡巡したが、青年となった独孤陀にすべてを話すことにした。
もはや、頼れるのはこの異母弟しかいない。
夫である楊堅は、以前の伽羅同様、呪術は忌まわしいものと考えている。
まして『人を呪い殺す術』などもってのほかだ。
庶民間のいんちき呪術などは『実際の効力』が無きに等しいので、役人に訴えても笑い飛ばされて終わることが多い。
しかし、呪う相手が『貴人』であればそうはゆかぬ。
女人の最高位に座する皇后ですら、貴人を呪ったことが表に出れば廃位される。
実際、前漢の皇后である『陳皇后』は呪術を行ったことが漏れ出て廃位され、『衛皇后』に至っては廃位されたばかりでなく自殺を強いられている。
このように穢れた罪有る計画を『清廉な夫』に打ち明けることなど到底出来なかった。
また、発覚した場合に『夫を巻き込むこと』も避けねばならぬ。
罪は自分ひとりの頭上に。
いざとなれば、自分が責任を取って自害する。
連座を防ぐにはその方法しかない。
夫や親族、揚家に仕える者たちのためにも揚家に迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
もちろん、いざとなったら手の者に頼み、この異母弟もどこかに落ち延びさせるつもりだった。
腹をくくった伽羅の表情はもう、彼女自身がすでに鬼女であるかのようだった。
何としてでも、悪皇帝を仕留めねばならぬのだ。
独孤陀の方はどうだろう。鬼女となった姉に怯んだろうか。
『皇帝を呪殺する』という大罪を犯すことに怯んだろうか。
いや、独孤陀も年若いとはいえ術師のはしくれ。ひるむ様子はまったく見られなかった。
話を聞き終えたこの異母弟は、むしろ穏やかな微笑を浮かべたのである。
「姉上はほんにお優しい。
穢れた呪術士の私にも、いつも優しくして下さいましたね。
そして、此度は大罪を犯してまで愛娘を助けようとする『慈母の心意気』まことに感服いたしました。
ほかならぬ姉上の望みです。この愚弟が何としてでも叶えて差し上げたいと思います」
そこまでは微笑んだが、以後は一転して表情を厳しくした。
「しかしながら、常人を狙うなら、通常の術でも十分通用いたしますが、皇帝―――つまり天子は文字通り天の申し子。
あの行いであれば『天帝様』からの寵はすでに失っておりましょうが、それでも確実に仕留めるには、それ相応の対価が必要となるのです」
「対価であれば、何でも良きように。財は惜しみませぬ。
それがわたくしの『命』であっても文句は言いますまい」
伽羅の申し出に青年はうなずいた。
「まさしく、命でございます。
それも、誰のものでも良いというわけには参りませぬ。
そこまで思い詰めていらっしゃるのなら、私も腹を割って打ち明けましょう。
姉上の徳高き命が必要でございます。娘を思う、その一途な心が必要にございます。
なれど、姉上の寿命は、その徳の高さに比例するように長く、私が視るところによりますと、七十八歳までは生きられましょう。
そのうちの二十年をこの愚弟に預けては下さらないでしょうか?
私はまだ若輩の身ではありますが、まずは術をかけて早急に皇帝を呪殺し、姉上のご息女をお救い申し上げたいと思っておりまする。
術を行っても姉上の命が尽きるまでには十分な時間がございますゆえ、その間に、姉上の寿命を取り戻すすべを何とかして得たいと思っておりまする。
ですが、確実に見つかるという保証はないのです。それでもよろしいでしょうか?」
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