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たった一人の為の王子様であればいい
しおりを挟む「え、じゃ何?結局お互い様ってこと?」
「莉乃……そこまではっきり言わないでください」
「ひゃはは!毒舌姫も形無しね!」
「奈緒子ちゃん、千花ちゃん、沈んでるから」
「いえ、有希、奈緒子のおっしゃる通りです……」
定例となった大学同期四人との飲み会で、気がついたら洗いざらい喋らされ、千花の話は酒の肴にされていた。ざわざわと相変わらず騒がしい大衆居酒屋だが、 焼き鳥や刺身などもっといい肴があるにも関わらず。
「好きも言えないとか、お前ら中学生かっ!」
ぐいっと、ジョッキを三人同時に煽るのを横目にしつつ、千花はウーロン茶を口にした。残念王子、残念王子と何度も口にする友人たちに、以前の様な怒りは浮かんでこなかった。そんな千花に気がついた三人はジョッキ片手に絡んでくる。
「なぁに?また飲まないの?」
「……直哉くんに止められた」
「え!なんでなんで!?」
「……いいたく、ない」
「えーー!言えよぉ!」
三人に引っ掴まれてガクガク揺さぶられたが、千花は決して口を割ることは無かった。
言えません。絶対に。
「どうせ、ヤれないから飲んでくんなってことでしょ?!」
「げ、マジで!超残念なんだけど!マジ残念王子!」
「へー。千花、そうなの?」
酔っ払い三人の攻撃が激しくなって来た所で千花はいつものセリフを三人に向かって投げつける。そうすることで、全員が黙ると言うことを確信して。
「……残念王子って言うけれど、直哉君以上の王子様見つけて来てから文句言ってね?」
はい!いつものセリフいただきましたー!とそれを合図に四人で乾杯し、その後はそれぞれのプライベートの悩みや愚痴などに発展していき、その話題はお終いとなった。
一次会で切り上げた千花が、自宅にただいま、と帰って、おかえり、と直哉に迎えられる。そして連れてこられたのは寝室だった。
「は、っ……ぁん、ちょ……っ」
「かわいい。千花ちゃん。好きだよ」
コートを脱ぐ暇も与えられず、ベッドの上に押し倒され、ちゅ、と音を立てて千花の頬に唇が落とされる。それだけならば、こんな艶かしい声が出るはずはない。何故なら、それと同時に直哉の手は千花の薄い背中を明らかに欲を持って触れていたからだ。
「ん、なおや、く……っ!」
「何?もう生理終わったでしょ?これ以上我慢できないよ。飲み会もいれちゃうし」
頬に触れていた唇が耳元に寄せられ、耳朶を柔らかく喰まれる。有無を言わさない懇願が、千花の耳元で囁かれた。それはまるで甘い媚薬を注がれるようで、千花の身体を熱くさせる。
「ひ、んんっ!」
「千花……。好きだよ。愛してる」
明らかな情欲を持って背中や腹を撫でる手に千花は翻弄される。そして千花の鼓膜を犯すかのように、直哉は愛の言葉を注ぎ続ける。一週間前のあの日、お互いの気持ちを再確認したあとに持たれた話し合い。それ以降直哉は隠すことなく『好き』だの『愛している』だのを口にするようになった。それは千花がもういいです!と断りたくなる程の甘い甘い誘惑。
「っ…はぁ、っ」
背中を這っていた手がブラジャーに触れると、何の躊躇いもなく直哉はそのホックを外す。独特の拘束感から解放され、揺れる乳房と千花の隠微な声がリンクした。
二人の暮らすいつも通りの部屋。それに直哉の甘い言葉が加味されるだけで何処か特別で、違う場所のように千花は感じていた。鼓動が早鐘を打ち、落ち着かない。拒否しようにも、直哉のチョコレート色の瞳に見つめられるだけで心も身体も囚われてしまう。
「……おとなしいね」
着ていたシャツのボタンは全て外され、ぶら下がっているだけのブラジャーをたくし上げられる。決して大きくない乳房がふるりと揺れ、共に主張する小さな花蕾の側で、直哉は態と息を吹きかけるように千花に話しかける。
「あんっ!」
上がる嬌声に満足そうな笑みを浮かべた直哉と目が合う。千花の胸に埋めていた顔が、段々と千花に近づいてくる。
「千花は?」
「……え?」
「千花は、俺の事どう思ってる?」
あの話し合いの日から二人の関係はより一層深いものになった事は間違いない。そして、直哉だけでなく、千花も素直に気持ちを伝えるようになっていた。
「すき、直哉くん、大好き……」
腕を伸ばして、キスを強請るように左に首を傾ける。勝手を知ったその合図に、直哉は素早く反応した。最初は触れるだけ。ちゅ、とリップ音を鳴らすのは千花のほうだった。唇が離れて、ほんの数ミリ隙間が出来ると、吐息に紛れた小さな声が行き来する。
「俺も」
「……うん」
そうして気持ちを確かめ合い、再び互いの唇が重なる。性急に着ているものを取り払いお互いの素肌に触れる。直哉の手は千花の敏感な所、悦ぶ所を全て知り尽くしていて、それらを重点的に責め立ててくる。
「首筋」
「ひ、ぁ……っ!」
「胸は、左より右のほうが感じるよね」
「ん、んんっ!」
「脇腹と、足の付け根……」
口に出すってそう言うところまで!?と突っ込みを入れたいところだが千花の口から出るのは嬌声のみ。直哉は、少しだけ意地悪な口調と優しい手つきで千花を快楽の渦へ引き寄せる。
「あ、ぁぁ……」
腿の内側に触れていた手がゆっくりと秘肉に添えられる。
「……ん、」
「濡れてる」
流石に恥ずかしくなって、あほ!と罵ろうと千花が口を開いたと同時に、直哉の長い指が中に挿入される。
「あぁっ!」
千花が悦びの声をあげたのを見て、直哉は嬉しそうに表情を緩めた。そんな嬉しそうな直哉を見てしまった千花は、もう何も言えなくなってしまう。
「……かわいー」
「あ、ひゃ、やだぁ……!」
一本では物足りない。口では拒否しておきながら、強請るように千花は直哉の手を掴む。たったそれだけだったが、直哉は全て理解したように指の数を増やし、千花の悦びを引き出すように抽送を始めた。
「や、やぁ、ぁぁん、あっ!」
待ち望んで居たはずなのに、いざそれが始まると辛いほどの快楽が千花を襲う。水音を大きく立てて責める直哉は、千花に態とその音を聞かせているようにも見えた。痴態を晒す千花の全てを焼き付けるに直哉はじっと千花を見つめて、口元に笑みを浮かべる。そして身体を起こし、埋めていた二本の指を一気に引き抜いた。
「ーーんっ!!!」
その刺激で、千花は軽く達する。けれどもそれだけでは足りなくて、千花は懇願するように体を起こした直哉を見つめる。
「舐めて、イかしてあげる」
そう言いながら直哉は、起こした身体を屈める。そして千花の足の間に顔を埋め、剥き出しになった小さな蕾に舌を立てた。
「んんっーー!」
小さな刺激でも、蕩けきった千花の身体には過ぎた快楽となり身体中を駆け巡る。そして、千花を再度責め立てるよう花蕾を嬲り続ける。その度ビリビリとした刺激が千花の身体を犯し、刺激から逃れようと背中を仰け反らせた。
「や、やだ、ぁ……っぁっあー!」
「イヤなの?」
「ふ、ふぅ……や、」
舌の刺激だけでなく、唇を使って甘噛みをされれば、言葉など発せられるはずもない。それを見越して直哉は責めをどんどんと激しくしていく。千花は恥部を惜しげもなく晒し、足を大きく広げて直哉を受け入れるしかなかった。直哉の柔らかな髪を掴み、快楽に飲まれまいと千花は声を上げる。何度達したか分からなくなったところで、直哉の責めが止んだ。
「っは、は、っ……」
荒い息を整えていると、身体に触れる熱が去っていく。何故?と思い、その動きを目で追う。直也が向かったのはクローゼット。何かを探しあて、戻ってきた直哉の手にはしばらく見なかった避妊具があった。
「……な、んで」
暫く着けなかったのに。飲み込みそうになった言葉を口に出すと、きょとん、とした表情が返ってくる。
「今の時期は、妊娠の可能性があるでしょ?最近生理前とか比較的安全な時しかしてなかったし」
「……」
「ま、百パーセント安全な事は無いけど」
「……中に出して、ごめんって」
「前に同じ事したら垂れてくるからって怒られたから謝ったんだけど……」
何だそれーー!と罵っても誰も怒らないと思う。
そう思った千花は、ゆっくり身体を起こし、服を着る。
「え!?千花ちゃん!?」
「もー!なによーー!悩んだ私がバカみたい!もーもーー!何よー!」
今日はもうしない!と宣言する千花を、ぽかんと見つめる直哉。思わず笑ってしまいそうになるが、それを千花はぐっと堪える。
「私も流されてたし、文句言えない立場だけど。もしそれで妊娠とかしちゃってたら」
「うーん……俺は、別にそれでもいいかなぁって」
「は?」
「千花ちゃんと俺の子供なら可愛いと思わない?」
「へ、あ、まぁ」
「……ちゃんと、未来だって考えてるよ?」
その言葉に、一週間前に出し切ったはずの涙が堰を切ったように千花の瞳から溢れ出る。ずっとあやふやだったこれからの事が、直哉のその一言で光で照らされたようだ。千花自身も単純だと分かっているが、直哉の言葉には千花を信じさせる力があった。
「まずは、俺が仕事で手がけている海見に行きたいな」
「……う、ん」
「千花ちゃんのお家に挨拶にも行かないとね」
「う、ん」
「……それから、続きもしないと」
「うん……」
しまった!と思った時にはもう遅かった。マウントポジションを取られ、潤んだ蜜壺に準備万端の直哉の陰茎が押し付けられる。くぷ、と音を立てて先端が吸い込まれるように千花の中に埋まる。
「あぁあん!」
「……っ!す、げ」
「も、う」
馬鹿、と声には出さずに口を動かせば、直様直哉のもので塞がれる。舌が絡んだと同時に、ゆっくりと直哉が動き始め、くぐもった声が部屋に響いた。
ちょっと人には理解されにくいところもあるけれど、私はやっぱりこの人が好き。
改めて理解した気持ちと向き合い、千花は直哉の背中に腕を回す。例え、周りが『残念王子』と揶揄う事があっても、直哉は千花にとってだだ一人の王子様。
「なおやくん、大好き」
「……俺も」
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