年下幼馴染から逃げられない

南ひかり

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26話 初夜

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◆◆◆

気付けば、悠の自宅へ来ていた。
この前来た時は、生活感のない寂しい自宅だったのに、いつのまにかふかふかのダブルベッドが寝室に置かれている。

「ちーちゃんが俺のものになってくれるなんて、夢みたい……」

悠は幸せそうに微笑むと、ゆっくりと私の身体をベッドへと横たえる。
 手が震えている。まだ現実を受け止めきれなくて恐怖が拭えない。
すると不安になっている私に気付いたのか、悠が宥めるように優しく髪を撫でた。

「大丈夫、怖くないよ」

 そのまま私に覆い被さると、口付けを落とした。

「んっ……」

 魔法にかかったように、身体の力が抜けていく。
 唇を塞いだまま悠の指先が肌を滑り、シャツの釦を外していく。冷たい指先にピクッと腰が跳ねる。触れられたところが熱くなっていくのを感じて身を委ねた。
背中に手を伸ばして、器用に下着を外されてしまう。

「可愛い、ちーちゃん……」

いつもとは違う低い声に、耳がおかしくなってしまいそうだった。咄嗟に耳を塞いでしまおうと手を伸ばしたが、あっけなく悠に手を奪われてしまった。手を重ねてそっとシーツに押しつけられると、耳たぶに舌を這わせる。

「やっ……」
「耳、弱いんだ」

 ニヤリと嗜虐的な笑みを浮かべて、執拗に耳を責められる。舌をねじこまれてしまい、びくんっと腰が跳ね上がった。触れる吐息と熱に頭がおかしくなってしまいそうだ。逃げ出そうと身を捩るが、その腕に苛まれて身動きが取れない。

「もっ、だめ……」

恥ずかしくて死んでしまいそうだ。ようやく悠の唇が離れていくと、くすくすと悪戯に笑う悠と目が合った。
 反論する余裕もなくキスが降ってくる。そのままゆっくりと首筋を這っていくと鎖骨をなぞるように舌を滑らせ、胸元に痛みを感じた。

「きれい」
「あんまり、しゃべらないでっ……」
「だって可愛いんだもん」

 子どものように駄々をこねながら、するりと悠の手が素肌に触れる。ぞくぞくと全身が震え上がり、思わず身を捩った。

「だめだよ……逃がさないから」

 色気を含みながらもどこか執着を感じる声色だった。口元はしっかり笑みを浮かべているのに、目が笑っていない。きっと途中で止めたいと言っても、本当に逃がしてはくれないだろう。羊を被った狼とはまさにこのことだ。

「大丈夫。絶対に泣かせたりしない」

 肌をすべる指先が熱い。身体が無意識に逃げようとしてしまうが、体の熱は高まっていくばかりで、じわじわともどかしい感覚が侵食していく。
思わず、ぎゅっと目を閉じた。これ以上は自分の羞恥に耐え切れない。

「ぁっ……!」
「かわいい」

 胸のふくらみを優しく揉んで、撫でるように突起に触れた。まだ尖りを持っていないそれを人差し指の腹でくりくりと撫で回され、ぴりっとした小さな電流が走る。

「ねぇ分かる? ちーちゃんのココぷっくりしてきたよ……」

 悠がうっとりと恍惚の表情を浮かべる。
 ――だから何も言わないで!
 頬が朱色に染まり、口をぱくぱくと動かす。
 悠は指で髪を梳かし、怯える私を落ち着かせようとする。だが動揺は酷くなるばかりで、どうしようもない羞恥心が襲い掛かる。

「ほんと、恥ずかしいのっ……!」
「ごめんね、つい意地悪したくなるんだ」

 必死だった。悠が桃色の突起に舌を伸ばし口に含む。
 生温かい感触に驚き、漏れてしまいそうになる声を、ぐっと飲み込んだ。

「お願い、声聞かせて?」

 舌先で突起を転がし、甘く歯を立てられる。噛み千切られるのではないかと一瞬身体が強張った。
 大丈夫だと分かっているのに、経験したことのない不安が心の奥底で消え去らずにいる。

「あっ……!」

 突起を甘く噛まれ、我慢していた声が漏れた。
 その反応に気を良くした悠は、空いていた手でもう片方の突起を指でこねくり回した。

「ちーちゃんはオレのものだ。オレだけの」

 子どもの頃の面影などない。すっかり男の顔だった。
 同じ声なのに、まるで違う。
 悠の舌が身体の中心へと下がっていく。
 身体を捻ろうとしたが、指先ひとつ動かせなかった。それどころか手を抑え付けられてしまい、身動きが取れない。

「だめだよ、逃げないで」
「ゆうっ……」

 恐怖に身が竦み、怯えたように目を伏せる。だが悠はその手を止めなかった。
悠の手がスカートに伸びた。タイトスカートのチャックを下ろし、そのままするりと脱がせると両足の間に身体を割り込ませる。

「やっ……!?」

 ここまでされて分からないはずがない。悠の指先が太ももをなぞり、全身に電流が駆け巡る。あまりの衝撃に思わず悲鳴が漏れた。下着の上からわずかに濡れた秘部をなぞられ、恥ずかしくて死んでしまいそうだった。

「大丈夫。だから言う事聞いて?」

 カタカタと震える私を落ち着かせるように、悠は柔らかく微笑む。
 わずかに垣間見える男の表情を隠そうともせずに。

「ひぁ、っ……!」

 下着の上からなぞられ、頭が真っ白になる。
 足を閉じようとしてもその手に阻まれてしまい、どうすることもできない。
 息をするのが精一杯だった。身体が急激に熱を持ち、下半身がとけてしまいそうだ。

「ひっ……ぁ、っ……」

 声が止まらず、涙が頬を伝う。悠はそんな反応に満足すると、追い打ちをかけるようにクリクリと突起を撫で回した。

「や、だぁっ……そこっ……!」
「こんなにはしたない蜜をこぼして説得力ないよ。ほら、もう濡れてる」

 ふるふると力なく首を振って訴えるが、悠は可愛さの欠片もない、嗜虐的な笑みを浮かべて追い詰めてくる。
 耳を塞いでしまいたかった。抵抗するだけの力が残っていないと分かると、ゆっくりと下着に手をかける。

「待ってっ……!」
「だめ。もう待てない」

 抵抗もむなしく、悠は容赦なく快楽に落としていく。
 そのまま焦らすように下着をずらすと、静かに床に落とした。

「悠っ……」
「怖くないよ。綺麗だから」

 このままではおかしくなってしまう。ぐずぐずと泣きながら、何度も悠に助けを求めた。
 けれど悠は優しい言葉をかけるだけで、絶対に手は止めてくれない。
 甘い蜜を絡め取り、悠の指先が直に触れる。

「ぁ……あ、っ……!」
「可愛い声。もっと聞かせて?」
「ひゃ、ぁ……あっ……!」

 溢れる密を絡ませて、形の整えられた爪先が狭いナカへ入ってくる。悠の指だと分かっていても、身体は恐怖を隠し切れていなかったようで、ぐっと力が入ってしまう。悠は私の様子を見ながら、ゆっくり指を奥へと進めていく。

「怖くない、怖くないからね……」

 身体が小刻みに震え、肩に力が入る。自分の身体じゃないみたいだった。どうすることもできない事が情けなくて仕方がない。なんとか抑制しようとしても、身体の奥底から迫り上がってくる熱はもう止められなかった。

「悠、こわい……っ……」

 情けない声色だった。唇が震え、きゅっと噛み締める。

「だいじょーぶ。俺に全部任せて?」
 悠はそんな私を見て嬉しそうに微笑むと、額にキスを落とされる。
 気遣いながらも、悠はそのまま引きずり込むように手の動きを速める。 

「ひぁ、っ、あっ……あっ……!」

 ようやく恐怖が薄れると、指先が奥を掠めた瞬間、悲鳴をあげてしまう。

「すごい締め付け。もっと欲しい?」
「ち、違うっ……!」

ムキになって睨みつけると、悠が眉を垂れ下げる。

「否定されると、ちょっと傷ついちゃうな」

 寂しそうな声色に困惑する。別に悠を嫌っているわけではないけれど、恥ずかしくて口から漏れる言葉は止めることができないのだ。
 どうしたらいいか分からくなって、きゅっと唇を噛む。黙っていれば悠を傷つけることはないだろう。ただ本能に身を任せて、ひとつになればいい。けれどその考えすらも駄目だったようで、悠は少し困ったような表情を見せた。

「ごめんね、可愛いくてつい意地悪したくなっちゃうんだ」
「んっ……ぁ、あ……そんなっ……」
「お願い、俺を嫌いにならないで」

 縋るように潤んだ瞳で見つめられてしまえば、もう何も言い返せなくなる。
 返事の代わりにぎゅっと手のひらを握り返した。するとふわりと笑って、触れたところから体温が伝わる。

「全部俺に任せて。楽にしてあげるから」

ナカで指が動いて、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が鼓膜を犯す。

「ぁ、あっ……、ぁあっ……!」

 はしたない声を張り上げながら必死になってもがくが、意思とは反して身体は徐々に熱を持ち始めていく。

「ぁっ……ぁあっ……」

 荒い呼吸を繰り返しながら、必死で酸素を求める。
 涙の滲んだ瞳でぼうっと天井を見上げれば、視界に悠が映り込んだ。

「ちーちゃん可愛い……もっと俺のこと見て?」

 ちゅっと唇に口付けが落とされる。快楽の波に飲みこまれて、段々と頭がぼうっとして何も考えられなくなってしまう。悠は指を二本に増やすと、ぐるぐるとかき混ぜながらナカを広げていった。

「痛くない? 大丈夫?」

 心配そうな声で顔を覗きこんでくる。違和感はあるが痛みはない。
 こくこくと小さく頷くと、ほっと安堵の息を漏らした。
 自分の声がどこか遠くから聞こえた。その指先から伝わる独占欲に次第に心も支配されていく。
 堕ちたら戻れないと思った。火照った身体が悠を求めて離さない。指が触れただけなのに、そこから伝わる熱が全身へと駆けめぐる。こんなことでは、この先耐えられるのか心配だ。
 ――どうなってしまうんだろう。
 恐怖と期待が入り交じり、不安げに悠を見上げる。悠はそんな気持ちを察すると、宥めるようにシーツに広がった髪を掬った。

「絶対に傷つけたりしない」

 低く掠れた余裕のない声が、やけに耳に残った。身体の中埋め込まれた二本の指が動き回り、びくんっと腰が飛び跳ねた。一瞬、チカチカと視界が揺れ脳が震盪する。まずいと思ったときにはもう遅かった。あまりにも強烈な快楽に眩暈を起こしそうになる。

「ココがいいんだ」

 ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべ、執拗にそこを引っかき回した。渦の中に引きずり込まれていく感覚に手を伸ばして必死にもがく。だが助けなどあるはずもなく、そのままどぼんと大きな音を立てて沈められてしまった。

「ぁ、ああっ、……! やだっ、そこっ……!」
「うん、分かってるよ。もっと気持ちよくしてあげる」

 形を覚えるように悠の指をきゅっと締め付けた。体内に感じるその熱に頭がおかしくなってしまいそうだった。

「やっ、ぁ、あっー……ひっ、あぁっ」
「すっかりトロけちゃって。本当に可愛いなあ……」

 悪戯に笑う悠を睨みつける余裕もなかった。悠は嬉しそうに口元に笑みを浮かべ、そのまま唇に深く口付けて、口内を快楽で支配していく。

「ん……いい子……」

 ちゅっと小さなリップ音が響くと同時に、ゆっくりと悠の指が引き抜かれていくのを感じた。締め付けるものを失い、物足りないとばかりにヒクヒクと秘部が伸縮を繰り返す。全身に巡る欲望の熱が行き場を失い、ぐるぐると体内をさまよっていた。

「挿れるよ……いい?」
「……うん」

 悠の欲望がぴたりと押し当てられた。恐怖はなかった。
 ただ今は、二人でひとつつになりたい。両手を重ね、伝わる体温から愛を感じる。

「っ……!」
「ゆっくり息吐いて。力抜いて」

 背中へと回された手のひらがトントンと撫でるようにあやす。まるで赤子になったような気分だ。
 痛みに顔をしかめる。このまま身体を真っ二つに引き裂かれてしまいそうだ。苦痛に顔をしかめると、悠の動きが途中で止まった。心配そうな目でこちらの様子を伺い、瞳が揺らぐ。

「だいじょうぶ、だからっ……」

悠がそう言って慰めてくれたように、ふわりと笑って悠を安心させる。
 本当は痛くて逃げ出してしまいそうだ。けれど今は、この痛みですらも愛おしくて仕方がない。愛されているということを何よりも実感できる。
 悠の欲望が最奥へと埋め込まれ、ほっと息をつく。私が痛みに慣れたことを分かると、悠はゆっくりと腰を上下に動かし始める。最初は指と同じで違和感しかなかったが、我慢できなくなった甘い声が漏れてしまう。

「んっ……ぁ、あっ……ひゃ、ぁ、あっ」
「ちーちゃんっ……好き、大好きだよ」
「悠っ……!」

 互いの名前を呼びながら、唇を絡めて必死に求め合う。
ぐちゅりと卑猥な水音が響き渡り、その音でさえも二人を高めていく。
 止められるはずがなかった。悠の動きは激しさを増し、弱いところを突き上げる。その動きに合わせて悠を求め、その愛を最奥まで深く受け入れた。

「ぁ、ああっ、ぁ、あっー!」
「離さない、もう二度と」

 悠の想いが全身に流れ込んでくる。
 自分のねじ曲がったプライドのせいで、どれだけ辛い思いをさせてしまっただろう。愛しい存在に触れることもできず、見守ることしかできない事がどれだけ苦しかっただろうか。

「ずっと……傍に、いるからっ……」
「……ちーちゃん」
「もうっ……二度とっ……離れないからっ……!」

 だからもういい。
 もう悠が、そんな苦しい思いをする必要はない。

「……ありがとう」

 まるで憑き物が落ちたように悠の表情が柔らかくなった。
 こんな私の言葉で、救われてくれたのだろうか。そうだったら嬉しい。
安心すると、自分もまた身体の力が抜けていくのが分かった。
 ラストスパートを駆け上がるように悠の律動が早くなる。弱いところを掠めながら、最奥を突き上げる。激しい動きに再び甲高い悲鳴があがった。

「ぁ、ああっ、ひっ、ぁ、あっ……!」
「ちーちゃんっ……!」

 互いを刻みつけるように身体がぶつかり合う。夢中で腰を振り、蜜をこぼしながら必死になって悠の名前を呼んだ。限界が近い。身体の奥から欲がせり上がってくるのを感じ、ぶるりと身を震わせる。悠の額には汗が滲み、彼もまた限界が近いようだった。

「悠っ……!」
「ちーちゃんっ……!」

 最奥を突かれ、一際甲高い悲鳴があがった。経験したことのない絶頂に、頭が真っ白になっていったあまりの体力の消耗に全身で息をする。悠の欲望を締め付けると、そのカタチを奥ではっきりと感じ取ってしまった。締め付けに耐え切れず、熱い吐息を漏らした悠はいつの間にか装着していたゴムの中に欲を吐きだした。

「は、ぁっ……」

こんなにも幸せでいいのだろうか。このまま深い愛の海へと沈んでいきたい。とろけるまで互いを求めて、愛し合い、永遠に溺れてゆくのだ。そんな世界があったら、どれだけ幸せだろうか。
注いだ熱を逃がさないように、ぎゅっと抱きしめられる。
 呼吸が整わない。肩を揺らしながら滲んだ視界で悠を見上げる。

「眠い……?」

 急激に意識が遠のいていく。
 まだ起きていたいのに抗えない。身体が限界を迎えて、瞼が少しずつ閉じていく。

「愛してるよ、ちーちゃん」

 応えるように悠の背中に両手を回す。
 幸せを感じたのは、いつ以来だろうか。
 誰かが傍にいる幸せを。
 ぬくもりに包まれて、そっと眠りの奥深くへ身を委ねた。


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