いつまでアイドルを続けられますか?

terasu2022

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3,ライブに向けて

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2日目の練習も大変だった。今の私はおかっぱっぽい髪型なのだがポニーテールに結んだ。他の子が私の髪型だったら面白いんだろうなと思う。それにしても講師として招かれたアメリカ人の男性は日本語が流暢だがあまりどうすればよいかということを教えてくれない。それは教えるよりもこちらが盗み取るということを狙いにしているらしい。よくわかります。でも私たちにはあまり時間がないのです。手本から真似ていく器用さもないのです。全員がダンス経験者ではないんです。メンバー全員の一体感を整えるすべもないんです。
3日目は違う女の人が講師になった。違う人が教えることでこちらのダンス力の欠点が浮き彫りになるらしい。私の踊りながら歌う力が劣っていることもわかってきた。最初からわかってはいたのだがただやはりできる人から教えてもらった方がいいに決まっている。山に登ることはできたのだがその山は通路も何もなく、進んでいるのかどうかも自分にはわからない。他のメンバー、藤沢恭子ちゃんが歌唱力があるというのは分かった。他のメンバーも踊る力がずば抜けているのだ。というか私が劣っているだけか・・・。私もアスリートのはしくれだし体力には自信があったんだけどね。休憩中にマネージャーの赤崎さんが何か持ってきた。「これ、岡田さんに」バッグを持ってきた。どうやら兄のものだと思った。「誰が持ってきたんですか?」「バイクに乗った男の人が持ってきたの。桜田門凱とか名乗っていたわ」心臓の鼓動が荒くなる。バッグの中にはケーキが入っていた。あとで食べよう。「それ、食べていいの?」「いいよ。あげる」曲がりなりにも高校生同士の会話とは思えない。「岡田さん、あ、岡さんでいい?」「いいよ」「岡さんの父さんはお酒を飲む?」「うん、飲むよ」「じゃあお酒の券あげるねー」
 大変なレッスンだけどそのあとの不二家行きはなんだか楽しい。他のメンバーはいろんな世界を生きてきたんだな、私みたいに学校行っているだけの人は少ない。
 
 4日目の練習はスペインの女性ダンサーが先生だった。どうしてこんなに講師が豪華なのだろうか。どこをどうすれば動きが良くなるかというのを的確に教えてくださる。これならいける。名コーチはどこまでも人間の可能性を伸ばしていけるものだなあと実感した。でも周りのメンバーから見るとやっと私がスタートラインについたような感じ、私の基準で言えばようやくバレーボールのユニフォームの着方を覚えたような感じなんだろう。ついでに言うと兄が今まで私に教えてくれたことが生きているような気がする。兄の知識が私を最短距離で進ませてくれるのだ。5日目スペインの先生はどうして個人の能力を伸ばす力にたけているのだろう。副社長の谷口さんもいい人だが話が長い。小山さんもそうだがいろんなコネクションを持っているらしいのだ。残念なことに私はその著名人の名前を聞いてもわからない。人気タレントや声優、著名映画監督、脚本家の名前を聞いても3割ぐらいしか、頑張って3割なのだ。オセロットメンバーの鈴岡さん、鈴岡文さんはそういうの詳しいみたい。副社長、私なんだか会社員気取りだな。別室で谷口さんがアイドルライターの人、面接のときにいた人と話していた。「俺たちアイドルどころかタレントの売り出しなんてやったことないわけだよ」「だな」「彼女たち楽しそうでよかったよ。こういうのは俺たちじゃどうにもならん」練習に集中しているとまた話が聞こえた。「だからブラジル・・・」「リオ…」一体何の話なんだろう。


6日目にようやく休みが来た。長時間寝ても疲れが取れない。メールで知らされたがメンバーの愛称を作るという提案があった。こういうのは自然発生的にできるのかと思っていたんだけど違うんだ。それはメンバーの愛称についてだった。藤沢さんのフジキョンというニックネームはどうかと思ったが覚えやすいのでとりあえずそう呼ぶことにした。7日目もほぼ休み。ほぼというのは教頭先生に呼び出されたからだ。芸能活動と学業の両立について問いただされた。怖かったけれど話せばわかってくれる先生なので何とか認めてもらえた。芸能活動の例として今テレビに出ているタレントの名前が出た。3人くらいの有名なドラマや映画に主演しているタレントや大物アイドル、人気女優。残念だけど私がそのタレントのレベルに到達することはどんな奇跡が起きてもファンが応援してくれても事務所の人が頑張ってくれてもあり得ないし第一そういうスキルが私自身にない。教頭先生もそのことはわかっていると思うけど。少しでも体を休めたかったんだけどなあ。これから鬼のように忙しい日々が続くから覚悟しておいてというのは谷口さんのメール。
 8日目。レッスン中に私の跳躍力に注目したダンスの先生。谷口さんも驚く。興奮した状態の彼は半笑い状態が続いているようで変だ。私を喫茶店に連れていく谷口さん。「これで戦える条件がそろった」と言っていた。「君が最終選考に残ったのは僕が決め手だったんだぜ」と語る谷口さん。そうだったのか。「まあ社長も君を押していたから、たぶんなんとかなったろうさ。なにかのソロタレントとかね」でも私はタレントになりたかったのではなくまずアイドルになりたかった。
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