いつまでアイドルを続けられますか?

terasu2022

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24、聖女の休息

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この舞台の間の緊張感に耐えられくなりそうだ。「この舞台が終わったら、池崎さんからもらったクルーザーに乗るんだ」こう思って何とかやり過ごす。目標でもなんでもない。大阪はおしゃれな店が多くて好きなのだがなかなかこういう時は遊びづらいものだ。「こんな時に何をやっているんだ」そう言われるのが怖い。街を散策するというのもいいものだが迷子になってしまうというのが情けない。一度ヒューストンで迷ってしまった。タクシーも当然なかなか捕まらない。バス亭もこういう時に限って出くわさない。やたら町の人に道を聞くが街の具体的なイメージがわからないのだから話にならない。携帯で地図を検索するという発想が出てこない。こんな話、岡田さんにはできない。稽古終盤の時を思い出す。すし屋で食べるのもこういう時はいい。一緒に食べるのは藤野が多い、続いて安井、たまに西村さん。今回岡田さんがついてきた。「どこに行かれるんですか」「食事」うなずいた後声を上げられなかった岡田さん。のろのろとついてきた。ベレー帽にマスク姿の彼女は新鮮だ。俺がおごりそうな雰囲気。金は少々あるが本を買いたかったんだよなあ。チッ。領収書は彼女がCMで出ている菓子メーカーにでも出そうか。ウソだけど。すし屋に入る。中ぐらいの店だと俺は踏んだ。録画だろうかテレビ番組に舞台の宣伝で岡田みゆきが出ていた。大物司会者に質問されても一歩も引いていない。もっとも司会者もそれほどきわどい質問や人の嫌がりそうな質問をしているわけではない。しかし「これは重大な問題だな」という雰囲気をにじませて質問しているので何か緊迫感が生じていた。「ほう、まさかキスシーンが」ジャンヌ・ダルクでキスシーンですか。こいつは驚いた。フランス人もびっくりすると思う。「いえ、ありません」きっぱりと答える姿が良かった。「堂々としているね。」本人に訊いた。「あれ、少し言いよどんでしまって。2回目だったんです」そういうものかな。「レギュラー出演者の人も「優しくしていただいて」ここでポンコツ対応だったほうが宣伝になったのかもしないなと少し惜しんだ。「テレビの教養番組を両親といつも見てるんです」「天才○れびくんですかー」それにしてもアメリカのコント番組みたいにみんなが爆笑しているな。何がおかしいのかよくわからん。岡田さん、そんな面白いこと言ったか?台詞を真似するお笑いタレント。無理やりネタにしている感じが良い。これも重要な一歩なんだろう。煙草を吸うふりをしながらテレビ画面の彼女と本物を見比べてみた。「何見てるんですか」眼鏡をかけないほうが良いと思ってさ、と言おうと思ったが言わない。「弟がタバコをやめられなくってさ。矯正施設でタバコを止める治療を受けているんだ。俺はもうやめたけど」「坂内さん、やめられなそうじゃないですか」「いや、大丈夫」少し間をおいてから「そのベレー帽、いいね」「この舞台が始まってから被ったんですよ」受け流す。俺はテレビのコメディアンを見て言った「あっ、タム坊とハタ坊・・、」「フッ・・・、ヒャッハッハッハ。ヒャッハッハッハッハ」彼女、笑い過ぎだ。何がおかしかったんだ。緊張してたのかな。いろいろ重圧に耐えかねて辛いんだろうな。「フハッハッハ」大笑いに驚いた周りの何人かが人気アイドルを発見したようだ。俺は素知らぬ顔で寿司を食べ続けた。何人かが写メールを撮影したが俺は無視した。何人かに彼女はサインしていた。「頑張ってください」「ありがとうございます」「俺、箱推しですが、よろしくお願いします」「頑張ります」「俺、サモエドの兼オタですが応援してます、頑張ってください」「ありがとうございます」その寿司を握った手で握手して大丈夫か・・・。おしぼりを渡した後俺は何も知らんぞという表情をする。「私、放送ではジャンヌを演じる自信がありますって言ったんですけど、今は自信がないんです。」そうなのか。堂々と演じることができそうな気がするんだけどな。「大丈夫だよ。できるよ」何も言わず俺を見つめる岡田さん。「勝てるよ」俺と彼女は支払いの後別れた。
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