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決意
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「おい、聞こえるか?聞こえてたら返事をくれ」
妙に鮮明に聞こえる隣のヤツの声に、眠った体を起こされる。昨日も遅くまでライミー共の慰み物として、豚の様な男の相手をさせられたのだ。もう少し眠らせてもらいたい。
「おーい、聞こえるか?起きてんだろ?おーい」
「...やかましい。なんだ...」
あまりのしつこさについ反応してしまった。しまった。まだ眠いというのに。しかし次にヤツが話した事は、身体中を覆う眠気をも吹き飛ばすものだった。
「脱出の算段がついた。明後日に決行だから、心の準備でもしておけ」
明らかににやついた表情をしているのが分かる声音で話す壁の向こうの男を見る。
「...どうやってだ」
「明後日、俺を後方に護送するために憲兵が来る。俺の牢の鍵が開いた瞬間、お前は狂え。というか狂った演技をしろ」
怪訝そうに尋ねる彼女に、ジョニーは自信満々、といった風情で答える。
言ってる意味は分からんが、何となく察することは出来る。
要するに、狂った捕虜という危険物に気を取られている隙に彼が飛び出し、何らかの方法で逃げるというものだろう。
「そいつらが複数人だった場合はどうする。即射殺がオチだぞ」
「知ってるさ。だから片方から銃を貰う」
当時のイギリス軍の憲兵は、ツーマンセルでの行動が基本であった。
片方が連行し、もう片方が抵抗阻止の役割だ。
彼はその制度の穴を突き、憲兵を討とうというのだ。
「馬鹿馬鹿しい...。そんな物が本当に成功すると思っているのか...?」
半ば呆れた様子で呟く彼女に、ジョニーは語気を強めて言う。
「やれるかやれないかじゃない。やってみるんだよ。こう見えても俺ァちょっとは名の知れた強盗だぜ?ま、軍では一切知られてなかったけどな...」
自嘲気味に笑った後、続けて
「お前が連中に好き放題やられてるのが我慢ならんってのもあるな」
最後に付け足された言葉に関しては良く分からなかったが、とりあえず理解は出来た。
「分かった。協力するよ...。だが、その為には互いの名前くらいは知っておくべきじゃないか?」
「それもそうだな...。俺はジョニー・マクスウェル少尉だ。歳は32」
「フィーア・フォーゲルス准尉。歳...は、17だ」
「17ァ!?そんな歳で戦場に出てくるんじゃないよ!」
「私にも事情というものがあるんだ。分かるか?おっさん」
んなっ!?と小声で叫んだジョニーの声を無視し、フィーアは再び眠りにつく。それを察してかジョニーもこれ以上話しかけてくることはなかった。一見すると投獄直後の様な沈黙であったが、その間には確実に違う感情が、営倉を覆っていた。
妙に鮮明に聞こえる隣のヤツの声に、眠った体を起こされる。昨日も遅くまでライミー共の慰み物として、豚の様な男の相手をさせられたのだ。もう少し眠らせてもらいたい。
「おーい、聞こえるか?起きてんだろ?おーい」
「...やかましい。なんだ...」
あまりのしつこさについ反応してしまった。しまった。まだ眠いというのに。しかし次にヤツが話した事は、身体中を覆う眠気をも吹き飛ばすものだった。
「脱出の算段がついた。明後日に決行だから、心の準備でもしておけ」
明らかににやついた表情をしているのが分かる声音で話す壁の向こうの男を見る。
「...どうやってだ」
「明後日、俺を後方に護送するために憲兵が来る。俺の牢の鍵が開いた瞬間、お前は狂え。というか狂った演技をしろ」
怪訝そうに尋ねる彼女に、ジョニーは自信満々、といった風情で答える。
言ってる意味は分からんが、何となく察することは出来る。
要するに、狂った捕虜という危険物に気を取られている隙に彼が飛び出し、何らかの方法で逃げるというものだろう。
「そいつらが複数人だった場合はどうする。即射殺がオチだぞ」
「知ってるさ。だから片方から銃を貰う」
当時のイギリス軍の憲兵は、ツーマンセルでの行動が基本であった。
片方が連行し、もう片方が抵抗阻止の役割だ。
彼はその制度の穴を突き、憲兵を討とうというのだ。
「馬鹿馬鹿しい...。そんな物が本当に成功すると思っているのか...?」
半ば呆れた様子で呟く彼女に、ジョニーは語気を強めて言う。
「やれるかやれないかじゃない。やってみるんだよ。こう見えても俺ァちょっとは名の知れた強盗だぜ?ま、軍では一切知られてなかったけどな...」
自嘲気味に笑った後、続けて
「お前が連中に好き放題やられてるのが我慢ならんってのもあるな」
最後に付け足された言葉に関しては良く分からなかったが、とりあえず理解は出来た。
「分かった。協力するよ...。だが、その為には互いの名前くらいは知っておくべきじゃないか?」
「それもそうだな...。俺はジョニー・マクスウェル少尉だ。歳は32」
「フィーア・フォーゲルス准尉。歳...は、17だ」
「17ァ!?そんな歳で戦場に出てくるんじゃないよ!」
「私にも事情というものがあるんだ。分かるか?おっさん」
んなっ!?と小声で叫んだジョニーの声を無視し、フィーアは再び眠りにつく。それを察してかジョニーもこれ以上話しかけてくることはなかった。一見すると投獄直後の様な沈黙であったが、その間には確実に違う感情が、営倉を覆っていた。
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