困ったことにあなたが好きみたい。

神木カロ

文字の大きさ
2 / 47

2、健太の好奇心

しおりを挟む
「再来週には1年生も終わりかぁ」

嬉しそうに言う健太に、「来年、一緒のクラスかも」と小さい声で言った。

「みなと一緒のクラスだったら毎日イチャイチャできる!」

健太は無邪気に笑って繋いだ手にギュッと力を込めた。

「えっ、、、それは」

戸惑う私をよそに健太の理想のクラスについて話は続く。

「みながいたらもうそれでいいけど、欲を言うなら七海もいて欲しいなぁ」

聞きなれない名前にふと考える。
七海ちゃんなんて子いたっけ?

「今のクラス、七海がいねーとなんも楽しくなかったわ!たぶん!」

「仲いいの?」

「仲いいってもんじゃないよ!あいつ、めっちゃかわいいんだ!俺、超好き!」

さすがに彼女の前で他の女の子を惜しげも無く絶賛するのは、やましいことは何も無いと言っているようなものだから疑ってはいないけど。

どんな子か単純に気になった。

『ご乗車ありがとうございました』

私が降りる駅に電車が到着した。
健太が名残惜しそうに私の手を離さない。

「健太、また明日ね」

そう言うと、健太もなぜか立ち上がって一緒に電車を降りてしまった。

ドアが閉まって電車が発車する。

「次の電車乗るからいい。家まで送る」

少し俯いてまた耳を赤くしていた。
家から駅まで結構距離あるのにな。

「遠いけど、いいの?」

「いい!話す時間たくさんあっていい!」

ニコニコと私の手をひいて改札までずんずん進んでいく。

改札を出るなり子供みたいに周りを見渡して楽しそうな健太に、私もすこし楽しくなってきた。

「あっちのドーナツ屋さん寄ってこう!」

私の提案に完全にノリノリの健太は「食べながら帰ろう!」とご機嫌だった。



「俺、これとこれ!」

「私はこれ!」

健太は驚いたように「1個だけ?」と私に聞く。

「だって、夜ご飯入らなくなっちゃうよ」

「じゃあ俺の1口あげる!」

健太は教室に私を迎えに来た時からずっと笑顔でなんともかわいい。


「はい、あーん」

健太は自分のドーナツを受け取ってすぐ私に食べさせようとした。

手を伸ばしてニコニコと私の口元にドーナツを押し付ける。

「あむっ」

私が精一杯大きな口で1口食べると中からクリームが溢れてきた。

「んっ!」

「ほら、無茶するから!」

健太は私の顔を見て「あはっ」と笑った。

「口がクリームまるけだよ」

慌てて舌で舐めると「まだ付いてるよ」と健太が顔を近づけた。

口の端に付いていたクリームを今度は健太が舐めとった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...