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15、笑顔 七海side

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「七海くんって、家どこなの?健太の家と近い?」

早速話しかけてきて、返すのがすごくめんどくさくてやめようと思ったけど、返事を待っているような目で俺を見るから返さないわけにはいかなくなってしまった。

「うーん。近いような、近くないような?」

「もしかして、逆方向!?」

「ちょっとだけね」

ころころ表情が変わって、何の話をしても興味津々で、俺とは正反対だ。

でも、見れば見るほど、健太と同じで反応をして少し混乱した。

「健太とそっくりだね」

思わず口から出た言葉に、俺ははっと息を飲んだ。

何言ってんだ。俺は。

今世紀最大の発言のミステイクだ。

「え、どこが!?」

焦って目が泳ぎまくっている俺とは裏腹に、目をキラキラさせている。

「あ、あー...なんか楽しそうで?」

「それすごくわかる!健太っていつも楽しそう!」

なんだろうこの子は。

健太より、もっとずっと、屈託のない、俺が素直につられて笑顔になりそうな笑い方だ。

「君の方が楽しそうだよ」

やっぱり俺はつられて笑って、彼女はびっくりしたように目を見開いた。

「なんだぁ。七海くんも笑うんだねぇ」

そう言ってから慌てて「あっ、ごめん」と顔を伏せる。

「失礼なこと言っちゃったよね、ごめんなさい」

俺はたまにしか笑わないからな、そう思うのも、分かるような気がする。

「気にしなくていいよ、本当の事だから」

「でも、あの、ごめんなさい」

そんなに謝られるのもめんどくさい。

気にしなくていいって言ってるのに、どうしてもう1度謝るんだろう。

なんて言えば収まるんだ、と思っていたら急に気を取り直したようにパッと笑顔で顔を上げて「私のこと、みなって呼んでもらって大丈夫だから!」と彼女が言った。

「えっ、ああ、じゃあそう呼ばせてもらう」

「うん!」

みなは満足そうに笑って前を向き直した。

「次は左」

どうやって返せばいいのか分からなくなった俺と、もう話さなくなったみなで、どうといった原因もないけれど無言で健太の家まで行った。







「連れてきてくれて、本当にありがとう!」

ずっと無言だったみなが最後に笑顔で俺の顔を見たので、俺は「じゃあ」と言って、自分の家に帰る。

もうむやみにみなという人に関わらないようにしよう。

どうしてだか分からないけど、みなと別れた後はすごくイライラしてなかなか収まらなかった。


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