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23、健太の恋 七海side
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「うぇ....まだ止まんないじゃん」
止まったと思って水を止めるたびに出てくる鼻血に2人とも少し笑っていた。
「もうキリないですよ」
笑顔でティッシュを差し出す彼女に、なんだか見たことあるような顔だなと思った。
「あの...?」
いつまでも受け取られないティッシュを差し出して、きょとんと小首をかしげる。
「あっ、そっか、手濡れてますもんね」
彼女はティッシュをちぎって丸めると、上半身を起こして顔を突き出し待ち構えている健太の鼻に優しく詰め込んだ。
やっと安心できたのか、健太がホッとしたように笑った。
「いやぁ、焦ったよ」
「出るだけ出した方がいいかと思ったんですけど、かえってたくさん出てしまいましたね」
申し訳なさそうにはにかむ彼女を見て、しまったと思った。
惚れやすい健太は、彼女の笑顔にすっかりやられてしまったようでへにゃっと顔を緩ませていた。
「あっ!そうだ、私用事があって!」
「え?今から?」
「早く来てしまったので、友達と朝ごはん食べに行くんです!」
じゃあ、ときらめく笑顔を健太の中に残して彼女は去っていった。
「かっわいかったなぁ」
健太は天使の後ろ姿を見送るようにいつまでも目を離さない。
彼女が角を曲がって健太から見えなくなったところで、反対側に回り込んで「探したよ」と何も見てなかったかのように登場した。
「あっ!置き去りにしちゃってごめん!すごいかわいい子いたからついてきちゃった!」
悪びれる様子も無く、首元にかかった水を手の甲でふく。
「女の子なら誰でもいいんでしょ。モテたいから男子の少ない高校にしたくらいだし」
「いや!俺はもうあの子しかいないわ!同じクラスでありますように!アーメン!」
完全に浮き足立っている健太を止めることは出来ないと分かっていた。
「絶対、彼女になってもらお!」
男の俺から見ても、健太はイケメンだし話しやすくて人気者で、親同士が仲良くなければ俺なんかとは友達にもならなかっただろう。
このままだと確実に彼女は健太の彼女になるはず。
嬉しいことのはずなのに、この時の俺はわけも分からず苛立っていた。
止まったと思って水を止めるたびに出てくる鼻血に2人とも少し笑っていた。
「もうキリないですよ」
笑顔でティッシュを差し出す彼女に、なんだか見たことあるような顔だなと思った。
「あの...?」
いつまでも受け取られないティッシュを差し出して、きょとんと小首をかしげる。
「あっ、そっか、手濡れてますもんね」
彼女はティッシュをちぎって丸めると、上半身を起こして顔を突き出し待ち構えている健太の鼻に優しく詰め込んだ。
やっと安心できたのか、健太がホッとしたように笑った。
「いやぁ、焦ったよ」
「出るだけ出した方がいいかと思ったんですけど、かえってたくさん出てしまいましたね」
申し訳なさそうにはにかむ彼女を見て、しまったと思った。
惚れやすい健太は、彼女の笑顔にすっかりやられてしまったようでへにゃっと顔を緩ませていた。
「あっ!そうだ、私用事があって!」
「え?今から?」
「早く来てしまったので、友達と朝ごはん食べに行くんです!」
じゃあ、ときらめく笑顔を健太の中に残して彼女は去っていった。
「かっわいかったなぁ」
健太は天使の後ろ姿を見送るようにいつまでも目を離さない。
彼女が角を曲がって健太から見えなくなったところで、反対側に回り込んで「探したよ」と何も見てなかったかのように登場した。
「あっ!置き去りにしちゃってごめん!すごいかわいい子いたからついてきちゃった!」
悪びれる様子も無く、首元にかかった水を手の甲でふく。
「女の子なら誰でもいいんでしょ。モテたいから男子の少ない高校にしたくらいだし」
「いや!俺はもうあの子しかいないわ!同じクラスでありますように!アーメン!」
完全に浮き足立っている健太を止めることは出来ないと分かっていた。
「絶対、彼女になってもらお!」
男の俺から見ても、健太はイケメンだし話しやすくて人気者で、親同士が仲良くなければ俺なんかとは友達にもならなかっただろう。
このままだと確実に彼女は健太の彼女になるはず。
嬉しいことのはずなのに、この時の俺はわけも分からず苛立っていた。
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