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24、お前が好きじゃない

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「そ、そんな事が....そんなので私のこと好きになってくれたんだね」

でも一連の話を聞いても、そんなことあったかしら?という感じだ。

早く着きすぎてしまったことは覚えているし、そのあと美紀がごはんに誘ってくれたのは覚えているけれど、鼻血の件については全く記憶にない。

「健太が、みなちゃんはどうでもいいことはすぐ忘れるって言ってたから、覚えてないならどうでもいいことだったんだろうね」

七海くんはずっと壁にもたれて腕を組んで、少し、いやかなり嫌な態度だ。

「健太とみなちゃんと再会したとき、健太のこと知ってるフリしたでしょ?あいつは、みなちゃんにとってどうでもいい事じゃないから自分のこと覚えてくれてるんだって思ってるんだよ」

「ごめん.....」

「別に謝ってほしいとかじゃないから」

ここについてから全く私の方を見ない七海くんにだんだん腹が立ってくる。

私は仲良くなりたいのに、なんでそんな態度なの!?

「あと、俺はお前が好きじゃない」

ずっと目が合わなかった七海くんと急に目が合って、それが『嫌い』だと言っている時で。

「なんで?私は仲良くしたい」

「健太の彼女のなったやつはみんな嫌い。2人でいるのにみなちゃんの話しかしないし、俺のところに遊びに来なくなる」

「.....は?」

「どうせすぐ別れることになるんだから、俺と仲良くすることもないし」

健太に素っ気ない態度を取っているのに、心の中ではそんなこと思ってたんだ。

以外すぎて開いた口が塞がらない。

「ん?え、ちょっと待って、ゲイ?」

「は!?んなわけ!脳みそスカスカなんじゃないの?」

ギンっと目を見開いて私を思いっきり睨みながら反論する七海くんが面白すぎて、いつの間にか笑ってしまっていた。

「あははっ。健太とは幼なじみなんでしょ?健太のこと大好きなんだねっ」

「うるさい」

さっきまではからかわれた少年のようだったのに、すぐに元のクールな七海くんに戻ってしまった。

「もういい、戻る」

さっさと1人で教室に帰ろうとするのを「私も」と後ろで歩く。

七海くんは鬱陶しそうにちらっと後ろの私を見ながら廊下を歩く。

好きじゃないだの嫌いだの散々言われたけど、健太のことが好きだから、私が覚えてないと健太が傷つくから、だからわざわざおしえてくれたんじゃない。

ますます仲良くなりたくなってきた。


..........それにしても、なんで覚えてないことバレないんだろうなぁ。

まあ、健太が私以上におバカさんだからか。


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