彼を好きな理由

神木カロ

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13、お前のことが知りたい

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やっぱりな。
話す場所は、兄弟喧嘩が勃発して彼が泣いて私が図々しいと言われた教室。

「まず、俺の名前は水谷三月」

突然に自己紹介になんと反応していいか分からず「はい」と答えた。

「そんで、お前の名前は横田六花」

「はい」

だからなんだ。

何の話をしにここまで連れてきたのか。

「さっきのうるさいのは、菜月」

「はい!そうですけどなにか!」

若干キレ気味に声を出して、ハッとした。

だめだだめだ。また何か気に触るようなことしてしまったら、今度こそ殺される。

なんでこんなに機嫌がいいのかは分からないけど、なんとなく嫌な予感がした。

「六花のことが知りたい」

急に真剣な顔になって、ドキンとする。

元々私は面食いだからこんなに綺麗な顔した人にドキドキしないわけが無い。

どんなに悪いやつでも顔が綺麗なら私はドキドキしてしまう。

「ど、どうして」

私のすぐ近くにある椅子にドカッと座って、私にも隣の椅子に座れという風に指を動かした。

「気になるから」

「私が?」

「六花、魔法が使えたりするのか?超能力とか!」

「えっ」

獣のように人を殴っていた人かと思えば、ただの口の悪い人のようにも見えて、本当は少年のようにかわいく無邪気なようにも見えて。

全く実態が掴めない、未知の生物のよう。

「そんなもの使えませんよ」

「じゃあ、惚れ薬?」

「は?」

「あっ、いや、違う!惚れ薬はない、間違えた!!」

「あの、何の話ですか?」

怖い人だと思っていたのに、今は全く怖くなくて多少生意気な態度でも大丈夫のようだ。

「なんでもない!なんか俺に聞きたいこととか無いのか?」

「なんでもいいんですか?」

「なんでもいい」

「本当に?また怒って私の首を締めたりはしない?」

「.......しないから」

なんとなく形勢逆転のような図になっているので、不満をぶちかましていくことにした。

「どうしてあのおじさん殴ってたんですか?」

そう言った瞬間、途端に不機嫌な顔になって「そういうのしか俺に聞くことないのかよ」と腕を組んだ。

「だって、何聞いてもいいって」

「それは言わん!次!」

言わないのかよ!
じゃあ次だ次!!

水谷先生とのことを聞こうと思ったけど、それは流石に不躾すぎる。

「どうして私の首を締めたんですか?」

その質問は嫌な質問だったようでさっきよりも不機嫌になって、「それは忘れろ!」と足も組んだ。
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