彼を好きな理由

神木カロ

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18、赤い唇に 三月side

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やっとの事で六花を連れ出して、久しぶりに見たその顔に胸が高なる。

「ごめんなさい」

人生で初めて好きになった人に初めて好きだと伝えて、それが断られる結果だとしても俺は満足だった。

おどおどしながら頭を下げる六花に、なんだかもっと困らせてやりたいと思った。

「.....いいよ」

「え?」

六花はほんのり顔を染めて顔をあげた。

「俺のこと好きじゃないって知ってる。最初が最初だし。仕方ない」

ああ、かわいい。

「誰か好きになったの初めてだから、どうやれば俺のこと好きになってくれるか分かんねぇ」

六花の赤い唇が少し開いて、またキュッと結ばれた。

それに触れたい、触ってみたい。

それから、キス、してみたい。

「だから、とりあえず気がついたら俺のこと考えてるようにしてやろうって思ってさ」

大丈夫だ。
クラスの女子は、俺が突然キスしたら俺のことしか考えられなくなるって言ってたから。

きっと俺のことを好きになる。

後で自分の唇をなぞって、俺のことを思い出して、ずっとそのことだけ考えていればいい。

「俺、本当に初めてだけど、よく兄ちゃんがしてるの見てたから、たぶん大丈夫」

吐息が感じられるほど近くに顔を寄せると、おびえたような六花の顔しか視界に入らなくなる。

六花は体をかばうように腕を組んで少し後ずさりすると壁にトンとぶつかった。

自然と口角が上がる。

「大丈夫」

耳元で囁いて、ゾクッと目を閉じた瞬間を見逃さずにキスをした。

胸に手を当てて可愛く反抗する六花が可愛くて、名残惜しさはあるもののすぐに唇を離した。

耳も唇も色っぽい赤色で、クラクラしそうだった。


「Hされるんじゃないかって思ったの?」

ムッとしたように顔をしかめて、顔がより赤くなる。

「しないよ。六花は処女のまま俺とバージンロードを歩くから」

自分でもありえないほど顔が緩んで、引き締めようと思っても無理だった。

「付き合ってもいないのにキスして、結婚?は!?意味わかんないんだけど!」

あれ、怒った?

眉をつりあげて叫ぶ六花に気圧される。

「あんたと関わると嫌なことばっかり!」

俺と壁の間から逃げて教室を今にも出ようとしている。

そうだ、そのまま怒っていて。

何日も何日も。

その怒りが薄れないうちにまたすぐに現れて、君の心の中を俺でいっぱいにしに行く。

そう彼女に警告しながら、プンプン怒った六花に手を振った。


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