お姉ちゃんと仲良くしような

武 働丁

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初見殺し

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 「飛刃!」
 紫炎が叫ぶとその手のひらから刀が飛び出し、一瞬にして勇名の胸に突き刺さる。
 「悪いが初見殺しの技だ。もっとも私の技を受けて生きて帰った奴はいないがな」
 心臓の場所に刀が突き刺さった勇名は平然としている。
 「バフ持ちにこんなチンケなデバフが通じるかよ」
 そう言って勇名は心臓から刀を引き抜き、ポイと無造作に捨てた。
 「ば、バカな!私の技が通じないだと!」
 「見りゃわかんだろ、私は偏官持ちだ。羊刀系はむしろご褒美さ」
 「ならば、寅巳申!」
 紫炎の手から炎の玉が飛び出す。
 「当たらなければどうという事はない」
 勇名が軽々と避ける。
 「くそっ!くそっ!」
 何度も、何度も紫炎は手から炎を放つ。
 「ザコとは違うのだよザコとは」
 そう言いつつ勇名は素早く紫炎の近くまで来て腹に一発拳を打ち込む。
 「ぐはっ!」
 紫炎は吹っ飛んで三回転転がったが、膝をガクガクふるわせながらも立ち上がった。
 「ひゅーっ、立つかい」
 「なめんな!私は忍者丙団四天王が一人……ぐほっ」
  紫炎は仰向けに倒れる。
 勇名は素早く紫炎に近寄り、その体を支え、そっと地面におろしてやった。
 「この野郎……」
 ヤクザはよろよろと紫炎に近づき、蹴りを入れようとする。
 「やめな」
 その前に勇名が立ちはだかる。
 「こいつを蹴りたきゃ、私を倒してからにするんだね」
  その言葉を聞いてヤクザはうなだれる。
 「すいやせん、姐さん」
 ヤクザはとぼとぼと帰っていった。
 すべてけりがつくと、勇名はニパッと笑って武のほうを見る。
 「よくがんばったね~」
 勇名は武に駆け寄ると、豊満な胸に武を抱きしめた。
 「良い子、良い子、よくやったね、おりこうさん」
 ニコニコ笑いながらなんども武の頭をなでた。

 女の子の良いにおいで武は頭がクラクラした。
 「勇名お姉ちゃん大好き」
 そう言って武も勇名の体を抱きしめた。
 「そうだよ~いくらでも甘えていいからね」
 その時である。
 「まったく情けないな、忍者丙団ランキング五位が聞いて呆れる」
 「まあ、そういうな、奴は四天王の中でも最弱」
 「ランカーでもない野良忍者にやられるとはとんだ忍者の面汚しよ」
 どこからか声が聞こえる。
 「チッ」
 勇名が舌打ちをした。
 「てめえら、可愛い弟君とのラブラブタイムの邪魔しやがって、
 この勇名様を怒らせたらどうなるか分かってんだろうな」
 「やれるものならやってみるがよい」
 その声とともに黒い影が勇名の目の前にヒュンと現れる。
 「我が名は不動の烈山、忍者丙団ランキング四位」
 電柱の上にもう一人現れる。
 「我が名は知恵の死水、忍者丙団ランキング三位」
 勇名の背後に竜巻が現れる。
 「そして私は疾風のアイラ、忍者丙団ランキング二位」
 「あ?ランキング一位も出てきていいぜ、みんあ一緒にかかってこいや」
 「今日来ているのは我ら四天王のみ、貴様ごときはこの烈山様ただ一人で……」
  「そうかい」
 ゴン!と勇名は拳を突き上げると烈山の首が吹っ飛んだ。
 「なにっ!烈山が一撃でやられるとは想定外、私の計算によると……」
 勇名はぴょーんと電柱の上まで飛び上がると、手刀で死水の頭をたたき割る。
 「げぼっ」
  死水は電柱の上から転がり落ちる。
 「さて」
 勇名は電柱を軽く蹴って地面に向かって落ちてくる。
 アイラの上にカカトから直撃で落下した。
 しかし、アイラは霧のように消え去った。
 「残念だったな、それは残像……」
 その時すでに勇名はアイラの後ろにいた」
 「そこでしゃべっちゃだめでしょ、居場所が分かっちゃう」
 「チイッ!」 
 アイラは振り返りざま回し蹴りを繰り出す。
 勇名はそれをよけざま、アイラの顔を殴り倒す。
 アイラは地面に三回ほどバウンドしたあと、地面にベタンと落ちた。
 「く……くそがああ……」
 アイラは足をよろめかせながら立ち上がった。
 「うあ、私に殴られて頭がとれてないよ、しかも生きてるとか」
 「くそお………殺してやる!殺してやる!殺してやる!」
 アイラは口からダラダラ血を流し、ものすごい形相で勇名を睨み付ける。
 「生きてたご褒美に殺さないでやるわ。でも、私を怒らした罰は受けてもらうよ」
 勇名はそう言うとアイラのところまでトコトコ歩いていくと、忍者服から小刀を取り出した。
 左手でアイラの右手を持ち、右手には小刀。
 軽い手さばきでアイラの右手の付け根に軽い切り口をつける。
 ブチッと音がした。
 「や……やめろお……」
 アイラはすでに息絶え絶えだ。
 勇名は小刀をしまうと、傷口から露出した腕の筋を指でつまんだ。
 無表情のまま、それを無造作に引き抜く。
 「ぎゃあああああああー」
 アイラが悲鳴をあげる。
 もう一度、左手も。
 「ぎゃあああああああー」
 アイラはその場で転がり回る。
 転がり回るアイラを押さえつけて、その両手を引き抜いた腕の筋で結んだ。
 「なにやってんだよ」
 唖然として武が問うた。
 「ん?止血。せっかく命が助かったのに、死んだらかわいそうじゃん」
 「なんか勇名って優しいんだか、怖いんだか、狂ってんだかよくわかんないや」
 「たぶん、その全部」
 勇名は武の方を向いて、屈託の無い笑顔を見せた。


 

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