お姉ちゃんと仲良くしような

武 働丁

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モウロウとする霧の中で

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 「あらあらーお仕事頑張ってるわねー」
  仕事中にエリートの女上司が来た。
 「ありがとうございます」
  武はパソコン画面をみながら軽く会釈した。
 「あなたのいいところってどこかしらー」
 「まあ、才能はないので、せめて一生懸命仕事してるとこですかね」
 「ぶぶー!仕事を一生懸命するなんて誰でも当たり前なの
  はい、次答えて」
 「あーサービス残業でタダで残業してるとこでしょうか」
 「ぶぶー!それはアンタが無能だから。就業時間中に仕事がわらなくて
 勝手にやってるの。会社はそんなこと望んでないの、むしろ迷惑!」
 「分かりましたー、私にいいところなんてありませーん!」
 「ぴんぽーん!大正解!!ちなみに、これはアンタが言ったことなのよ
 私は何も言って無いかパワハラじゃないからね」
 「はい、そうです、パワハラじゃありません」
 「そこまで分かってんなら、さっさと仕事しろ!
 お前がゴミなせいで、売り上げがあがらないんだよ!
 全部お前のせいだ、クズ!無価値!
 あ、これは私が言ったんじゃないわよ、あなた自身が言ったんだからね」
 「そうですね、私が言ったんです」
 武は無表情のまま仕事を続けた。
 残業を終えて、家路につく。
 いつもの地下鉄の電車のホーム。
 「あー電車にとびこんじゃおうかなー」
 武はなんとなくつぶやいて、その時、脳裏に勇名の顔が浮かんだ。
 そうだ、家には勇名がいるんだ。帰らなきゃ、死んじゃだめだ!
 目の前に電車が来た。
 さあ、乗らなきゃ。あれ……
 武の意識が混濁した。
 「あー」
 
 目が覚めた。勇名が膝枕してくれていた。
 「あれ……俺なにしてたんだろ」
 「武、電車のホームに倒れてたんだよ」
 「そうだっけ」
 「武、最初に会った時からちょっと変だと思ってた」
 「何が?」
 「だってさ、目の前で人が殺されてても、何も感じてないみたいだったし」
 「あーそうか、今まで自分でも気付かなかった、精神が摩滅していたから
 鬱で何も感じなかったんだ」
 「お医者さんいこう」
 「怖いよ、そういう関係の本に薬漬けにされると書いてあった」
 「大丈夫、私が一緒についていってあげるから」
 「行く勇気がない」
 「じゃあ、今まで何があったか言ってみな、私が全部聞いてやるから」
 「……サイコパスっていわれた。鬱で休業とったら、あいつ、サイコパスなんだって
 って噂ながされた。全然違うのに、それで、裏でガイジってあだ名にされた」
 「大丈夫、武はサイコパスじゃないよ、だって、こんなに苦しんでいるじゃないか
 サイコパスは苦しまないから」
 「元気な時はみんなやっしかった。みんな普通に接してくれた、でも鬱になったとたん
 誰もよりつかなくなった。やっかい者扱いされて、ライン送っても無視されるし
 それで、裏で、俺が言ってないことを言ったことにされて、噂流されるんだ。
 それで、俺が言ってない事で、上司に呼び出しくらって、怒鳴られて
 みんな、俺のせいにされて……」
 「それを誰にも話せなかったんだな。言えば被害妄想とか言われるから。
 いいんだよ、全部、腹の中にあるものはきだしちまいな。全部、私が聞いてやるから」
 「わああああああああーあああああああ」
 武は勇名に抱きついて、大声で泣いた。
 どこにも逃げ場はなかった。
 誰にも話せなかった。
 真っ黒な泥沼の中、必死にもがき、苦しんで、前に辞めた会社では鬱だと言って
 ひどい仕打ちにあったから、新しい会社では必死に隠して、我慢して、我慢して、
 我慢して、ずっと我慢していた。
 武は勇名にしがみついた。
 「良い子、良い子、武は良い子だよ、私知ってるよ、とても優しくて、心が豊かな子だね」
 「「ふー、ずっとこうしていていい?」
 「いいよ、ずっとこうしてな」
 勇名はニッコリしながら優しく、なんども武の頭をなでた。

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