お姉ちゃんと仲良くしような

武 働丁

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心の中を吐き出す。

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 勇名に付き添われて精神病院に行った。
 武の想像だと精神病院は灰色のコンクリートに包まれた
 牢獄みたいなところだった。
 しかし、実際に行ってみると、木の板張りの壁に暖色系の床、
 明かりも柔らかだった。
 病院に行ったとたん、屈強な看護師が出てきて、体を押さえつけられ
 いきなり電気ショック、みたいな世界ではなかった。
 救いを求めて、そういう本を散々読んでいたので、
 完全にそういう世界だと思っていた。
 しかし、そうではなかった。
 先生はとても優しいおじいさん先生で、ニコニコしながら私の話を聞いてくれた。
 武の目からポロポロ涙がこぼれてきた。
 こんな優しく話を聞いてもらったことは勇名以外にない。
 カウンセリングのあと、知能指数を測定するテストや、アンケートや数値テストなどを受けた。
 検査の結果……
 「学習障害ですね」
 お医者さんは意外な事を言った。
 「鬱も併発していますが、元々学習障害です。今まで大変だったでしょうね」
 「はい……でも両親からは、お前が怠けているからだと言われてきました。もっと頑張れと」
 「はい、でもそれは努力してなおるものではないですね」
 「そうですか、なら私はどうすれば……」
 「残念ながら国の財政措置が厳しくなって、
 知的障害、重度の鬱、体が動かせない糖尿病の場合は障碍者年金が支給されますが
 学習障害の場合は支給されません」
 「え?でも学習障害がひどくて働けない人もいるんでしょ?」
 「それでも、国のプライマリーバランスの関係で福祉予算は大幅に削減されています。
 少しでも自分で生きることができる可能性がある人には支給されないようになったんです」
 「そうですか、では失礼します……」
 「まってください、最近、障碍者就労支援法というのが出来まして、障碍者の労働支援をする
 法律が制定されたんです。それを利用して働くこともできますが」
 「分かりました、少し考えさせてください」
 家に帰ってネットで調べてみると、最初に出てきたのは外国人就労支援だった。
 外国人に技術を与え、社会発展をしてもらうための善意の制度。
 実際に調べてみると、外国人をタダ同然で働かせ、技術は一切与えず、
 奴隷みたいに労働させる制度だった。
 高度人材活用法。
 外国人の優秀な人材を日本に招き入れ、日本に新しいテクノロジーを導入させる法案。
 調べてみると、高度人材とは、コンビニの店員や大金持ちのメイドなどが
 その項目に並んでいた。
 これも、ただの安い奴隷だった。
 結局、日本の安い労働力不足を補うために新しい奴隷を確保する法案。
 「うーん」
 武は考え込んでしまった。障碍者や老人に対する就労支援はそうではないかもしれない。
 そうではないと信じたい。
 「なあ武、私んとこ来るか?」
 勇名が武の肩をポンと叩く。
 「でも……」
 「忍者は殺されちゃうかもしれないから怖いか?」
 「うん……」
 「でも、今の職場だと確実にお前、殺されちゃうぜ」
 「うん……しかたないね」
 「やったー!武が仲間になったー!」
 勇名は喜んで武に抱きついた。
 勇名の柔らかい胸が武の背中にあたった。
 ちょっと乳首の感覚がわかって、すこしだけ嬉しかった。
 何考えてんだ武。

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