ラズベリー

加藤 忍

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レンタル彼女

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 一週間後、約束の日が来た。朝九時、駅前の時計台にすがっている。スマホをいじって時間を潰しているとすみませーんと声をかけられた。

「あの、あなたがゆう・・・え!?」

 彼女の変な反応が気になり画面から視線を外す。茶色のヒールサンダルにすらっとした白い足、白のスカートに黒の服の上に薄手の長袖を羽織っている。黒く細い髪が風で揺れている。そして顔を見た途端、俺も彼女と同じ反応をするしかなかった。

「「なんでお前(あんた)が!?」」

 お互いがお互いを指差して合う。声もほとんどシンクロしていた。俺の目の前に現れたレンタル彼女は元カノの水野泉だった。彼女の顔を間違えるわけがない!だって別れたのは二週間前、あれから時間は全然たっていない。

 泉はカツカツとヒールを鳴らしながら近づいてきて俺の胸あたりに人差し指を指した。

「名前を見たときは他人だろうって思ったのに!」

「それはこっちのセリフだ!」

 お任せを選んでから数日、運営の方から彼女の名前などが公開された。名前は泉だった。あいつではないと思っていた。だが目の前に現れたのは俺の知っている泉、知らない泉ではなかった。

 泉はまだ言いたいらしく何回も胸に人差し指で突いてくる。

「信じられない!別れて二週間でレンタル彼女探すなんて!・・・あーあ、この件はキャンセルね」

 泉は呆れたとばかりに駅と反対方向に戻ろうとする。キャンセルと言うことは実家で笑い者にされるルートに突入してしまう。そうなるとレンタル彼女を呼んだ意味がなくなる。

「ちょっと待てって」

 泉の左手首を掴むと足が止まった。そしてゆっくりと俺の方を向いた。顔はすごく嫌そうに眉間にシワが寄っていた。

「お客様、そんなことをしたらセクハラで訴えますよ」

 本当に訴えそうな目で見てくるが俺は半ば強引に泉を引っ張った。泉は必死に抵抗するが俺に引っ張られる。

「どこ行くの!?」

 駅の二階に上がっていると泉が聞いて来る。だがまともに話をしている暇はない。もうすぐ新幹線が着てしまうからだ。

「時間がない、説明はあと!」

 そのまま新幹線にギリギリで乗り込み、泉を外側、俺は廊下に座った。ひとまず息を整えてこれまでの経緯を話した。

 泉ははぁ~とため息を吐いてから手を出した。

「説明は分か借りました、では料金を・・・」

 営業スマイルで言ってくる泉にカバンから取る出した茶封筒を渡す。泉は迷いなくその場で開け中身を確認する。

「料金は確かにお受け取りしました」

 泉は自分の鞄に茶封筒を入れると窓の外を見始めた。それから会話のない沈黙が訪れた。
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