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第三章 裏切り
第三章ー⑦
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思えば当然の結果だった。
リナが眠っていた件の大きなベッドのある部屋とこの奥部屋が少し離れているとはいっても、同じ家の中。声が聞こえないはずがなかった。
快楽のままに、情欲のままに嬌声をあげ続けていたのだ。
リナが目を覚ませば異変に気がつく――いや、もしかすると私の声がリナを目覚めさせたのかもしれない。
「私は、お姉ちゃんと同じことをしてしまった……」
その事実に胸が痛んだ。最低だと思う。結局、私もお姉ちゃんと同じ色狂いだったのだと思い知らされる。
自分の欲望のために大切な後輩を裏切ったのだから。
「すっ、すみません。すみません。すぐに、出ていきますので……」
リナは涙を浮かべながら、申し訳なさそうに頭を何度も下げる。
このままでは、本当にあの時の私と同じ思いをさせてしまう。苦しませてしまう……。
私は少しだけ考えて、彼女に声を掛けた。
「……待って下さい、リナ……」
私の言葉に立ち止まり、リナは恐る恐る私達の方を向く。
リナがユウヤ様に好意を抱いているのは間違いない。リナも年頃の女の子だ。異性には当然興味もある。
だが、私とユウヤ様がしていた行為を、交合をいきなり見てしまったことは刺激が強すぎたのだ。だから戸惑っている、混乱している。けれど、嫌悪の感情は見られない。
私に隠れてたまに性教育の本を読んでいることも知っている。そういったことに興味がないわけではない。
あの時の私とは違う。彼女は年端もいかない幼女ではないのだ。
「……リナ。あなたも、ユウヤ様のものにして頂きませんか?」
私は極力優しい声でリナに問いかけた。
「えっ? わっ、私が……。えっ、えっ?」
戸惑いの声を上げるリナの前で、私は彼女と同じように呆然としているユウヤ様の唇に自分の唇を重ね合わせる。
「私は、ユウヤ様をお慕いしています。愛しています。もしもユウヤ様がお許しくださるのでしたら、生涯お側に使えさせて頂きたいと思っています」
唇を離し、私ははっきりとリナに告げた。自分の素直な気持ちを。
「そして、貴女も私と同じ気持ちなのではないですか? ユウヤ様に好意を抱いているのではないですか?」
「私が……ユウヤさんに……。あっ、いえ、その、とても優しい方だとは思っていますが……その……」
リナは恥ずかしそうに顔を俯ける。
「自分の気持ちが分からないという事はよくあることだと思います。私も最初は戸惑いましたから。ですが、リナ。機会は有限であることを忘れてはいけませんよ。
『お役目』が終われば、貴女はまた自分が暮らしていた神殿に戻らなければなりません。そうなれば、もうユウヤ様においそれと合うことは出来なくなります」
「そっ、それは……」
不安げな声を上げるリナに、私は事実を淡々と告げる。
「男性は圧倒的に少ないのですよ。この機会を逃してしまったら、ユウヤ様のように貴女が好意を抱ける素敵な男性との出会いはないと思います」
そこまで言うと、私は不安げな表情のユウヤ様に笑みを向け、もう一度唇を重ね合わせて濃密なキスを交わす。
横目でリナを見ると、顔を真っ赤にしながらも瞬きもせずに私達のキスに見入っている。
「どうか勘違いをなさらないで下さい、ユウヤ様。私は貴方だからこそ、この身と心を捧げたのです。男性なら誰でも良かったのではありません。貴方だけです。私がお慕いする、愛する男性は……」
キスで恍惚の表情になってくださったユウヤ様に、私はそう断言をする。
「リナ。正直なことを言います。私は、ユウヤ様を独占したいと思っています。この方を自分だけのものにして、他の女には触れさせたくないと考えています。もちろん、それをお決めになるのは、ユウヤ様ご自身ですがね……」
そう言うと、リナが一瞬悲しげな表情を浮かべたのを私は見逃さなかった。
やはりはっきりと自覚していないだけで、リナもユウヤ様に好意を抱いている。
「ですが、リナ。貴女は別です。私は貴女とならば、一緒にユウヤ様にお使えしたいと思っています。共にユウヤ様に愛して頂けるのであれば、それは素晴らしいことだと考えています」
ユウヤ様を絶対に失いたくない。そして、リナにも昔の私のような思いを抱かせない。彼女も幸せにしたい。これからも私と一緒にいて欲しい。
なんて我が儘で傲慢だと、どこまで図々しいのだと自分で思う。けれど、これが私の偽らざる願いだった。
「……ファリア。僕は、リナにまでこんな事をするつもりは……」
ユウヤ様の言葉は予想通りだった。
肌を重ね合わせたからなのか、私はユウヤ様のことが少し分かるようになっていた。
この人は強い自制心を持っている。そして、とても繊細だ。私を抱いたことにも罪悪感を今も持っている。
ユウヤ様を独占したい。その気持ちは本当だ。けれど、心の何処かでは、あまりにもこの人は欲がなさすぎる気がする。――いや、欲がないのではなく、何かに怯えているように感じる。
きっとそれは、ユウヤ様が深い傷を抱えているからなのだろう。身体にではなく心に。
痛いほどその事が理解できた。私も同じように傷を抱えて生きてきたから。
心の傷には誰も触れてほしくはない。けれど、それは同時に誰かに分かって欲しいものだ。その痛みを分かち合って欲しいと願ってしまうものなのだ。
「ユウヤ様は、もう少し我が儘になっても良いのですよ」
その言葉が喉元まで出かかったが、私はそれを飲み込んだ。
それを発してしまったら、ユウヤ様の心の傷に触れてしまうから。
だから、私は他の方法でその事を伝える。
「……ユウヤ様。失礼します」
「あっ、ファリア……」
私はユウヤ様を背後から抱きしめる。すっかり冷めてしまった身体を温めるように。
そして、顔を、手を、腕を、乳房を、お腹を、股間を、太ももを使って、全身を愛撫する。もう、この躰は全て貴方のものなのだと、何も不安になることはないのだと安心させるように。
「……ふぁっ、ファリアさん。あっ、そんな……」
熱がこもった声に、リナを横目で見ると、彼女が唾液を飲み込んだのが分かった。
リナは羞恥に顔を両手で覆いながらも、その指の間から凝視していた。私の両手で直接愛撫されるユウヤ様の男性器を。
「あっ、ああっ……。ファリア……」
ユウヤ様の口から卑猥な、けれど心地よさそうな声が漏れる。私は内心でホッとしながらも、そのことはおくびにも出さない。
多少の知識があるだけで、私はもちろんこれまで男性器を愛撫したことはおろか、触れたことさえない。
けれど、なんとなくこうすれば気持ちよくなってもらえるのではないかと分かる。
きっとこれは、愛する雄に喜んでもらうための雌の本能のようなものなのだろう。
右手で擦るように愛撫していたペニスがだんだん硬度を取り戻し、勃起してくるのが嬉しい。
左手で壊れやすい玉子を扱うように優しく揉んでいた睾丸が少し重くなったことに驚きながらも、愛しくてたまらない。
私は途切れることなく、けれど刺激が強くなりすぎないように注意しながら愛撫を続ける。そして、ユウヤ様の真っ赤になった耳に口を近づけて囁いた。
「ユウヤ様、リナを見て下さい」
私の言葉に従って、ユウヤ様は恍惚とした顔のまま、リナに目を向ける。
「ふふっ、あの娘は……ずっとユウヤ様の大切なところを見ていますよ。あの娘も男の人の躰に、ユウヤ様の裸に興奮しているのです……」
ゆっくりと熱い吐息を混ぜながら、私は静かに言葉をユウヤ様に染み込ませていく。
「ふふっ。リナったら……。……ユウヤ様。リナが、もじもじと太ももを動かしているのが分かりますか?」
ユウヤ様が小さく頷くのを確認し、私は断言する。
「……発情しています。今、リナの……アソコも、私と同じように……」
そう言いながら、私はユウヤ様の手を背中に引き寄せて、そこに自分の股間を押し当てる。愛撫しながら興奮していた私の女の部分からは、止め処なく淫らな液体が滴っている。
「……濡れています。リナの嫌らしい処も……濡れているのです。ユウヤ様の、この熱いペニスを迎え入れたくて……。どうか、リナにもお情けをお与え下さい……」
「……あっ、ううっ……」
快楽に惚けるユウヤ様がもう一度頷いた。
そのことに安堵し、私は頬に感謝の口づけをする。後は……。
最初は顔を覆う手の隙間から覗き見るだけだったが、今は口元を抑えながら食い入るようにユウヤ様の男性器を見入っているリナに、
「リナ。先程からユウヤ様の裸をじろじろ見ていますね。ユウヤ様の許可もなく……」
私は少しきつい物言いで問い質す。
ビクッとリナが身をすくめた。
「……あっ、その……。ごっ、ごめんなさい。私……私は……」
リナは泣き出しそうになりながら謝罪の言葉を口にするが、私は首を横に振る。
「謝ればいいということではありません。この男性器は、ユウヤ様が特別に認めて下さった女だけが見ることを許される箇所なのですよ。それなのに、貴女は……」
快楽に身を委ねるユウヤ様の邪魔にならない程度の声でリナを叱る。
リナの瞳から涙がこぼれ落ちたことに罪悪感を覚えたが、最初が肝心だ。
あくまでも私達はユウヤ様のお情けを掛けて頂くのだということをしっかりと意識させなければ。
ペニスを入れて頂く直前まで私が抱いていた傲慢な考えをリナが持つとは思えないが、自分の立場というものを理解させなければならない。
「ですが、ユウヤ様は貴女のことも抱いてもいいと仰って下さいました。これは僥倖なことですよ。数多の女の中から貴女を選んでくださったのです。情事を盗み見て股間を濡らすようなはしたない女にも、お情けを掛けてくださったのですよ」
リナが許しを請うような視線を私とユウヤ様に向けてくる。もう少しだ。
「この機会を逃せば、女としての喜びを知らないまま一生を終えることになりますよ。知りたくはありませんか? このユウヤ様の逞しいものを受け入れたらどうなるのかを」
「……わっ、私が……ユウヤさんを……」
リナの心がだいぶ傾いて来たことを確認すると、私は声色を変える。
「リナ。困惑するのは分かります。ですが、もともと私達女は、男の方に抱いてもらうために、喜んでもらうために存在するのですよ」
優しく諭すように、私は言葉を紡いでいく。
「喜んでもらうため、ですか?」
リナの言葉に私は頷き返す。
「どうして私達の胸は男の人とは異なり大きくなるのでしょうか? おしりに肉がついて卑猥な形になるのでしょうか? それは男の人を誘惑して触ってもらうためです。興奮してもらうためなのですよ」
リナが話に聞き入っているのを見て、言葉を続ける。
「リナ、貴女の股間のはしたない部分も、私と同じように濡れていると思います。これは、興奮した男性の男性器――ペニスを迎え入れようとしているのですよ。貴女の躰はユウヤ様のこの逞しいものを受け入れたいと思っているのです」
リナの視線がユウヤ様のペニスに移るのを確認し、私はユウヤ様のそれから手を離してよく見えるようにする。
「男性を魅了し、自分の卑猥な穴に男性器を挿入させて、精液を出させて自分を孕まさせる。それが女の本能です。……実に浅ましくて身勝手なものだと思いませんか?」
「……そっ、それは……」
困惑するリナに私は微笑み、もう一度ユウヤ様を背中から抱きしめた。
「だから、私達女は、自らを律して男性に奉仕をする存在にならなければいけないのです。こんなはしたない存在を受け入れてくださる男性に深く感謝をして」
背中からユウヤ様の正面に回り込み、私は唇をユウヤ様のそれに重ね合わせる。
そして、深く舌を入れて濃密なディープキスを交わす。
愛しい、愛しくてたまらない。
私の全てを捧げたい。ご奉仕をしたい。そんな気持ちが溢れてくる。
リナにもこんな幸せな気持ちを抱いて貰いたい。
長い口づけの後に、私はリナに微笑んでもう一度尋ねた。
「リナ。あなたもユウヤ様のものにして頂きませんか? 一緒にユウヤ様に生涯お使えしましょう」
私のその問いに、リナは恥ずかしげに、しかし確かに「はい」と頷いた。
リナが眠っていた件の大きなベッドのある部屋とこの奥部屋が少し離れているとはいっても、同じ家の中。声が聞こえないはずがなかった。
快楽のままに、情欲のままに嬌声をあげ続けていたのだ。
リナが目を覚ませば異変に気がつく――いや、もしかすると私の声がリナを目覚めさせたのかもしれない。
「私は、お姉ちゃんと同じことをしてしまった……」
その事実に胸が痛んだ。最低だと思う。結局、私もお姉ちゃんと同じ色狂いだったのだと思い知らされる。
自分の欲望のために大切な後輩を裏切ったのだから。
「すっ、すみません。すみません。すぐに、出ていきますので……」
リナは涙を浮かべながら、申し訳なさそうに頭を何度も下げる。
このままでは、本当にあの時の私と同じ思いをさせてしまう。苦しませてしまう……。
私は少しだけ考えて、彼女に声を掛けた。
「……待って下さい、リナ……」
私の言葉に立ち止まり、リナは恐る恐る私達の方を向く。
リナがユウヤ様に好意を抱いているのは間違いない。リナも年頃の女の子だ。異性には当然興味もある。
だが、私とユウヤ様がしていた行為を、交合をいきなり見てしまったことは刺激が強すぎたのだ。だから戸惑っている、混乱している。けれど、嫌悪の感情は見られない。
私に隠れてたまに性教育の本を読んでいることも知っている。そういったことに興味がないわけではない。
あの時の私とは違う。彼女は年端もいかない幼女ではないのだ。
「……リナ。あなたも、ユウヤ様のものにして頂きませんか?」
私は極力優しい声でリナに問いかけた。
「えっ? わっ、私が……。えっ、えっ?」
戸惑いの声を上げるリナの前で、私は彼女と同じように呆然としているユウヤ様の唇に自分の唇を重ね合わせる。
「私は、ユウヤ様をお慕いしています。愛しています。もしもユウヤ様がお許しくださるのでしたら、生涯お側に使えさせて頂きたいと思っています」
唇を離し、私ははっきりとリナに告げた。自分の素直な気持ちを。
「そして、貴女も私と同じ気持ちなのではないですか? ユウヤ様に好意を抱いているのではないですか?」
「私が……ユウヤさんに……。あっ、いえ、その、とても優しい方だとは思っていますが……その……」
リナは恥ずかしそうに顔を俯ける。
「自分の気持ちが分からないという事はよくあることだと思います。私も最初は戸惑いましたから。ですが、リナ。機会は有限であることを忘れてはいけませんよ。
『お役目』が終われば、貴女はまた自分が暮らしていた神殿に戻らなければなりません。そうなれば、もうユウヤ様においそれと合うことは出来なくなります」
「そっ、それは……」
不安げな声を上げるリナに、私は事実を淡々と告げる。
「男性は圧倒的に少ないのですよ。この機会を逃してしまったら、ユウヤ様のように貴女が好意を抱ける素敵な男性との出会いはないと思います」
そこまで言うと、私は不安げな表情のユウヤ様に笑みを向け、もう一度唇を重ね合わせて濃密なキスを交わす。
横目でリナを見ると、顔を真っ赤にしながらも瞬きもせずに私達のキスに見入っている。
「どうか勘違いをなさらないで下さい、ユウヤ様。私は貴方だからこそ、この身と心を捧げたのです。男性なら誰でも良かったのではありません。貴方だけです。私がお慕いする、愛する男性は……」
キスで恍惚の表情になってくださったユウヤ様に、私はそう断言をする。
「リナ。正直なことを言います。私は、ユウヤ様を独占したいと思っています。この方を自分だけのものにして、他の女には触れさせたくないと考えています。もちろん、それをお決めになるのは、ユウヤ様ご自身ですがね……」
そう言うと、リナが一瞬悲しげな表情を浮かべたのを私は見逃さなかった。
やはりはっきりと自覚していないだけで、リナもユウヤ様に好意を抱いている。
「ですが、リナ。貴女は別です。私は貴女とならば、一緒にユウヤ様にお使えしたいと思っています。共にユウヤ様に愛して頂けるのであれば、それは素晴らしいことだと考えています」
ユウヤ様を絶対に失いたくない。そして、リナにも昔の私のような思いを抱かせない。彼女も幸せにしたい。これからも私と一緒にいて欲しい。
なんて我が儘で傲慢だと、どこまで図々しいのだと自分で思う。けれど、これが私の偽らざる願いだった。
「……ファリア。僕は、リナにまでこんな事をするつもりは……」
ユウヤ様の言葉は予想通りだった。
肌を重ね合わせたからなのか、私はユウヤ様のことが少し分かるようになっていた。
この人は強い自制心を持っている。そして、とても繊細だ。私を抱いたことにも罪悪感を今も持っている。
ユウヤ様を独占したい。その気持ちは本当だ。けれど、心の何処かでは、あまりにもこの人は欲がなさすぎる気がする。――いや、欲がないのではなく、何かに怯えているように感じる。
きっとそれは、ユウヤ様が深い傷を抱えているからなのだろう。身体にではなく心に。
痛いほどその事が理解できた。私も同じように傷を抱えて生きてきたから。
心の傷には誰も触れてほしくはない。けれど、それは同時に誰かに分かって欲しいものだ。その痛みを分かち合って欲しいと願ってしまうものなのだ。
「ユウヤ様は、もう少し我が儘になっても良いのですよ」
その言葉が喉元まで出かかったが、私はそれを飲み込んだ。
それを発してしまったら、ユウヤ様の心の傷に触れてしまうから。
だから、私は他の方法でその事を伝える。
「……ユウヤ様。失礼します」
「あっ、ファリア……」
私はユウヤ様を背後から抱きしめる。すっかり冷めてしまった身体を温めるように。
そして、顔を、手を、腕を、乳房を、お腹を、股間を、太ももを使って、全身を愛撫する。もう、この躰は全て貴方のものなのだと、何も不安になることはないのだと安心させるように。
「……ふぁっ、ファリアさん。あっ、そんな……」
熱がこもった声に、リナを横目で見ると、彼女が唾液を飲み込んだのが分かった。
リナは羞恥に顔を両手で覆いながらも、その指の間から凝視していた。私の両手で直接愛撫されるユウヤ様の男性器を。
「あっ、ああっ……。ファリア……」
ユウヤ様の口から卑猥な、けれど心地よさそうな声が漏れる。私は内心でホッとしながらも、そのことはおくびにも出さない。
多少の知識があるだけで、私はもちろんこれまで男性器を愛撫したことはおろか、触れたことさえない。
けれど、なんとなくこうすれば気持ちよくなってもらえるのではないかと分かる。
きっとこれは、愛する雄に喜んでもらうための雌の本能のようなものなのだろう。
右手で擦るように愛撫していたペニスがだんだん硬度を取り戻し、勃起してくるのが嬉しい。
左手で壊れやすい玉子を扱うように優しく揉んでいた睾丸が少し重くなったことに驚きながらも、愛しくてたまらない。
私は途切れることなく、けれど刺激が強くなりすぎないように注意しながら愛撫を続ける。そして、ユウヤ様の真っ赤になった耳に口を近づけて囁いた。
「ユウヤ様、リナを見て下さい」
私の言葉に従って、ユウヤ様は恍惚とした顔のまま、リナに目を向ける。
「ふふっ、あの娘は……ずっとユウヤ様の大切なところを見ていますよ。あの娘も男の人の躰に、ユウヤ様の裸に興奮しているのです……」
ゆっくりと熱い吐息を混ぜながら、私は静かに言葉をユウヤ様に染み込ませていく。
「ふふっ。リナったら……。……ユウヤ様。リナが、もじもじと太ももを動かしているのが分かりますか?」
ユウヤ様が小さく頷くのを確認し、私は断言する。
「……発情しています。今、リナの……アソコも、私と同じように……」
そう言いながら、私はユウヤ様の手を背中に引き寄せて、そこに自分の股間を押し当てる。愛撫しながら興奮していた私の女の部分からは、止め処なく淫らな液体が滴っている。
「……濡れています。リナの嫌らしい処も……濡れているのです。ユウヤ様の、この熱いペニスを迎え入れたくて……。どうか、リナにもお情けをお与え下さい……」
「……あっ、ううっ……」
快楽に惚けるユウヤ様がもう一度頷いた。
そのことに安堵し、私は頬に感謝の口づけをする。後は……。
最初は顔を覆う手の隙間から覗き見るだけだったが、今は口元を抑えながら食い入るようにユウヤ様の男性器を見入っているリナに、
「リナ。先程からユウヤ様の裸をじろじろ見ていますね。ユウヤ様の許可もなく……」
私は少しきつい物言いで問い質す。
ビクッとリナが身をすくめた。
「……あっ、その……。ごっ、ごめんなさい。私……私は……」
リナは泣き出しそうになりながら謝罪の言葉を口にするが、私は首を横に振る。
「謝ればいいということではありません。この男性器は、ユウヤ様が特別に認めて下さった女だけが見ることを許される箇所なのですよ。それなのに、貴女は……」
快楽に身を委ねるユウヤ様の邪魔にならない程度の声でリナを叱る。
リナの瞳から涙がこぼれ落ちたことに罪悪感を覚えたが、最初が肝心だ。
あくまでも私達はユウヤ様のお情けを掛けて頂くのだということをしっかりと意識させなければ。
ペニスを入れて頂く直前まで私が抱いていた傲慢な考えをリナが持つとは思えないが、自分の立場というものを理解させなければならない。
「ですが、ユウヤ様は貴女のことも抱いてもいいと仰って下さいました。これは僥倖なことですよ。数多の女の中から貴女を選んでくださったのです。情事を盗み見て股間を濡らすようなはしたない女にも、お情けを掛けてくださったのですよ」
リナが許しを請うような視線を私とユウヤ様に向けてくる。もう少しだ。
「この機会を逃せば、女としての喜びを知らないまま一生を終えることになりますよ。知りたくはありませんか? このユウヤ様の逞しいものを受け入れたらどうなるのかを」
「……わっ、私が……ユウヤさんを……」
リナの心がだいぶ傾いて来たことを確認すると、私は声色を変える。
「リナ。困惑するのは分かります。ですが、もともと私達女は、男の方に抱いてもらうために、喜んでもらうために存在するのですよ」
優しく諭すように、私は言葉を紡いでいく。
「喜んでもらうため、ですか?」
リナの言葉に私は頷き返す。
「どうして私達の胸は男の人とは異なり大きくなるのでしょうか? おしりに肉がついて卑猥な形になるのでしょうか? それは男の人を誘惑して触ってもらうためです。興奮してもらうためなのですよ」
リナが話に聞き入っているのを見て、言葉を続ける。
「リナ、貴女の股間のはしたない部分も、私と同じように濡れていると思います。これは、興奮した男性の男性器――ペニスを迎え入れようとしているのですよ。貴女の躰はユウヤ様のこの逞しいものを受け入れたいと思っているのです」
リナの視線がユウヤ様のペニスに移るのを確認し、私はユウヤ様のそれから手を離してよく見えるようにする。
「男性を魅了し、自分の卑猥な穴に男性器を挿入させて、精液を出させて自分を孕まさせる。それが女の本能です。……実に浅ましくて身勝手なものだと思いませんか?」
「……そっ、それは……」
困惑するリナに私は微笑み、もう一度ユウヤ様を背中から抱きしめた。
「だから、私達女は、自らを律して男性に奉仕をする存在にならなければいけないのです。こんなはしたない存在を受け入れてくださる男性に深く感謝をして」
背中からユウヤ様の正面に回り込み、私は唇をユウヤ様のそれに重ね合わせる。
そして、深く舌を入れて濃密なディープキスを交わす。
愛しい、愛しくてたまらない。
私の全てを捧げたい。ご奉仕をしたい。そんな気持ちが溢れてくる。
リナにもこんな幸せな気持ちを抱いて貰いたい。
長い口づけの後に、私はリナに微笑んでもう一度尋ねた。
「リナ。あなたもユウヤ様のものにして頂きませんか? 一緒にユウヤ様に生涯お使えしましょう」
私のその問いに、リナは恥ずかしげに、しかし確かに「はい」と頷いた。
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