180 / 249
特別編
特別編⑤ 『仮装と乙女心』(中編【パメラ案】)
しおりを挟む
『親愛なる私の娘へ
メル。ジェノ君とはうまく行っている?
まぁ、奥手な貴女のことだから、きっとうまく行っていないでしょうけれど。
もう少しで、ハロウインというお祭りがあるのよね?
みんなで仮装して、かぼちゃを飾るお祭りが。ならば、そんなチャンスを見逃す手はないでしょう?
というわけで、私が貴女のために少し色っぽい下着を作ってあげたから送るわね。
これで、ジェノ君をゲットするのよ! いい報告を待っているからね!』
「…………」
夕食後、メルエーナは自室のベッドの端に座り、自分だけに宛てられた手紙を読んで、肩を震わせる。
無論、感動しているわけではない。彼女は、怒っているのだ。
「どうしてお母さんはこうなんですか! あんな下着なんて着られるはずがないです! まして、ジェノさんに見せるなんて論外です!」
昼間の失敗を思い出し、怒りとは別に、メルエーナは恥ずかしさで顔を真っ赤にする。
「あれじゃあ、私がお母さんにあのようなはしたない下着を作ってくれるように頼んだと思われても仕方有りません! それをバルネアさんだけでなく、パメラさんにまで見られて……」
メルエーナはベッドに仰向けに倒れ、恥ずかしさのあまり両手で顔を覆う。
しばらく羞恥に悶ていたメルエーナだったが、それでもジェノに見られるよりはましだったと、前向きに考えようとする。
もしもあの場にいたのがジェノだったら、間違いなくドン引きされていた。
あのような下着を好んで身につける、はしたない女だと思われてしまうところだった。
ちなみに、あの下着は、布に丁寧に包んで、衣装入れの一番奥に封印してある。きっと、二度とその封印が解かれることはないだろう。
「……ですが、明日の昼から、パメラさん達と……」
またいつもの喫茶店で、対策会議とやらが行われることになってしまった。
はっきり言ってしまえば、ありがた迷惑ではある。だが、自分のために今日の仕事を早々に終わらせて、イルリアとリリィにも話を通してくれて、その事を夕方に報告に来てくれたパメラの思いを無下にはできない。
「ううっ……。私は、誰よりも間近で、ジェノさんの仮装を見られるだけで幸せだったのに……」
メルエーナは重いため息とともに、そんな嘆きを口にするのだった。
◇
翌日の昼食時を過ぎた頃、喫茶店<優しい光>で、メルエーナは死んだ魚のような目で、目の前で繰り広げられる熱い議論を見ていた。
「いい? やっぱりここは王道で責めるべきだと私は思うの!」
「王道、ですか?」
パメラの熱弁に、リリィが疑問の声を上げる。
「そうよ。ハロウィンでの女の子の定番と言えば、やっぱり魔女よ!」
「でも、メルは<パニヨン>の手伝いで、去年も魔女の格好をしていますよね?」
リリィの問に、パメラは「そこがポイントよ」と力説を続ける。
「去年と代わり映えしない魔女の格好に、ジェノ君はきっとがっかりするわ! でも、今年は違うのよ、中身が!」
「中身?」
「そう。メルったら、実家のお母さんに頼んで、すっごい下着を準備してもらっているのよ! だから、そのギャップを利用するの!
去年と同じ仮装を見せておいて、祭りが終わったら、ジェノ君の部屋を訪ねていくの。そして……」
ハロウィンということで、普段とは異なり、夜も営業をしていたパニヨン。しかし、ようやく騒がしい祭りが一段落し、ジェノは息をつき、衣装を着替えようとした時だった。
コン、コン! と遠慮がちに部屋のドアがノックされたのは。
「今開けます」
バルネアだと思い、ジェノは着替えを止め、部屋の鍵を開ける。
だが、部屋の前に立っていたのは、未だに魔女の仮装をしたままのメルエーナだった。
「こんばんは、ジェノさん」
メルエーナはそう言って微笑む。だが、いつもより顔が赤い。
「どうした、メルエーナ? ……酒が入っているのか?」
「ふふふっ。大丈夫ですよぉ。ワインを少し頂いただけですからぁ」
メルエーナの呂律が少し怪しい。どう考えても、少しの飲酒量とは思えない。
「かなり酒が回っているようだな。今日はもう休んだほうがいい」
「むぅっ。どうしてそんなつれない事を言うんですかぁ。ジェノさんは冷たすぎです。鈍感ですぅ!」
泥酔しているようで、メルエーナは普段では考えられない絡み方をしてくる。
「というわけで、そんな薄情なジェノさんには、少しお話があります。部屋にいれてくださぁい」
メルエーナは強引にジェノに迫ってくる。
このまま部屋に帰しても、その後が心配なので、仕方なく酔いが覚めるまで、ジェノはメルエーナの相手をすることにした。
「本当に大丈夫なのか?」
倒れても大丈夫なように、メルエーナをベッドの端に座らせて、ジェノは机の椅子を移動させてきて、そこに腰を掛ける。
「ふふふっ。ジェノさんのベッドですぅ……」
何が面白いのか、メルエーナはクスクスと笑う。
普段の真面目な彼女とはかけ離れた印象に、ジェノは戸惑う。
魔女の格好もあり、メルエーナは祭りの空気に当てられてしまったようだ。
「ジェノさん、大切な質問ですよぉ~。嘘偽りなく答えて下さいねぇ」
メルエーナはそう言いながら、ベッドに平行に倒れて、体を預ける。
「メルエーナ。やはり部屋に戻った方がいい」
「嫌ですぅ。私の質問に答えて下さい」
普段は物分りがいいメルエーナの思わぬギャップに、ジェノはどうしたものかと戸惑う。
「わかった。それで、質問というのは何だ?」
嘆息し、仕方なくジェノはメルエーナに付き合うことにした。
「ジェノさん。私に内緒で、このベッドに誰か他の女の子を寝かせたりしていませんか?」
「たちの悪い冗談だな。俺は基本的に、他人を部屋に入れたりはしない」
「むぅっ、本当ですか?」
「お前も知っているだろう。そもそもこんな殺風景な部屋に誰かを招き入れる必要などない」
ジェノは呆れたように言う。
「……でも、私は入ってしまいましたよ?」
「同じ屋根の下で暮らしているお前を入れることくらいは、別になんともないだろう」
ジェノはそう答えたものの、そこで違和感を覚えた。
今まで酔いが回っていて、呂律がしっかりしていなかったはずのメルエーナが、はっきりとした口調で物を喋り、真剣な表情でこちらを見つめているのだ。
「メルエーナ……」
「今日の私は魔女です。今日だけは、私は魔法が使えます。それは、恐ろしい吸血鬼が相手でも……」
メルエーナは静かに立ち上がり、椅子に座ったままのジェノに熱い視線を向ける。
「外見は同じでも、今年は中身が違うんですよ。そして、今日はずっとこの格好だったんですよ。ジェノさんに見てもらいたくて。私を意識してほしくて……」
そう言うと、メルエーナは自らのスカートをゆっくりとたくし上げていく。
「私は、二つの魔法を使いました。一つは、私自身が勇気を出せる魔法。もう一つは、貴方を魅了する魔法です……」
メルエーナの肉付きの程よい太ももが顕になっていく。
去年と変わらない衣装のはずなのに、いや、だからこそ、その中身がどう違うのか惹かれてしまう。
そして、スカートはたくしあがり、さらに、彼女の僅かな布に覆われ……。
「ああああああっ! ストップです! そこまでです! 止めて下さい!」
パメラの妄想を、自分のお葬式に参列するような気持ちで聞いていたメルエーナだったが、ついに堪えきれなくなり、パメラの口を両手で塞ぐ。
「もう、ここからがいいところだったのに!」
武術的な心得のないメルエーナの行動は、普段から鍛えているパメラには何の効果もなく、簡単に逃げられてしまう。
「よく有りません! だいたい、魔女のスカートはそんなに長くないんですよ! それなのに、あんな下着を身に着けていたら……」
「そうね。店の手伝いをしている最中に豪快に転んで、下着が顕になったら、痴女認定待ったなしよね」
それまで無言かつ呆れた顔で話を聞いていたイルリアが、淡々と事実を述べる。
「ほらぁ、そこは嘘も方便ということで、ジェノ君の部屋に行く前に着替えるとかあるじゃない」
「神官がそんな事を言ってもいいんですか⁉」
「ふっ。子孫繁栄のためならば、豊穣の女神であらせられるリーシス様は、細かいことには目をつぶってくださるわ!」
自信満々に断言するパメラに、メルエーナはがっくりと肩を落とす。
「パメラさん。そもそも、あの鈍感朴念仁が、酔っているからという理由だけで、メルを部屋に入れることはないのでは?」
「えっ? いや、普通、メルみたいな可愛い女の子が部屋を訪ねてきてくれたら、嬉しいでしょう?」
「いいえ。あいつのことだから、メルが『部屋に入れて下さい』と言った途端、『いいから、今日はもう休め。明日に差し支える』と言い、ドアを閉めるに決まってます」
イルリアの言葉は容赦がない。
いくらなんでも、そんなことはしないとメルエーナは信じているが、イルリアの中でのジェノのイメージはそんな感じなのだろう。
「ぬぅ。一緒に旅をしているイルリアが言うと説得力があるわね」
「ジェノさんは言葉が少ないですが、優しいイメージだったんですが」
パメラとリリィの呟きに、メルエーナは慌てて、ジェノの人柄を話し、イルリアの言うようなことはしないと説明する。
「なるほど。やっぱりジェノ君は優しいのね。……でも、どうしてそこまで相手のことが分かっているのに、関係が進まないのかね、貴女達は?」
パメラの的確な問が、メルエーナの心に突き刺さった。
「でも、やっぱりジェノさんは優しいんだよね? それなら、ハロウィンの仮装とはちょっと違うけれど、こんな方法はどうかな?」
この四人の中で、唯一彼氏がいるリリィが、案を出してくれることになった。
以前相談に乗ってもらった時も、彼女は良識のある意見を述べてくれたので、メルエーナは期待をする。
だが、その期待は大きく裏切られることになるのだった。
メル。ジェノ君とはうまく行っている?
まぁ、奥手な貴女のことだから、きっとうまく行っていないでしょうけれど。
もう少しで、ハロウインというお祭りがあるのよね?
みんなで仮装して、かぼちゃを飾るお祭りが。ならば、そんなチャンスを見逃す手はないでしょう?
というわけで、私が貴女のために少し色っぽい下着を作ってあげたから送るわね。
これで、ジェノ君をゲットするのよ! いい報告を待っているからね!』
「…………」
夕食後、メルエーナは自室のベッドの端に座り、自分だけに宛てられた手紙を読んで、肩を震わせる。
無論、感動しているわけではない。彼女は、怒っているのだ。
「どうしてお母さんはこうなんですか! あんな下着なんて着られるはずがないです! まして、ジェノさんに見せるなんて論外です!」
昼間の失敗を思い出し、怒りとは別に、メルエーナは恥ずかしさで顔を真っ赤にする。
「あれじゃあ、私がお母さんにあのようなはしたない下着を作ってくれるように頼んだと思われても仕方有りません! それをバルネアさんだけでなく、パメラさんにまで見られて……」
メルエーナはベッドに仰向けに倒れ、恥ずかしさのあまり両手で顔を覆う。
しばらく羞恥に悶ていたメルエーナだったが、それでもジェノに見られるよりはましだったと、前向きに考えようとする。
もしもあの場にいたのがジェノだったら、間違いなくドン引きされていた。
あのような下着を好んで身につける、はしたない女だと思われてしまうところだった。
ちなみに、あの下着は、布に丁寧に包んで、衣装入れの一番奥に封印してある。きっと、二度とその封印が解かれることはないだろう。
「……ですが、明日の昼から、パメラさん達と……」
またいつもの喫茶店で、対策会議とやらが行われることになってしまった。
はっきり言ってしまえば、ありがた迷惑ではある。だが、自分のために今日の仕事を早々に終わらせて、イルリアとリリィにも話を通してくれて、その事を夕方に報告に来てくれたパメラの思いを無下にはできない。
「ううっ……。私は、誰よりも間近で、ジェノさんの仮装を見られるだけで幸せだったのに……」
メルエーナは重いため息とともに、そんな嘆きを口にするのだった。
◇
翌日の昼食時を過ぎた頃、喫茶店<優しい光>で、メルエーナは死んだ魚のような目で、目の前で繰り広げられる熱い議論を見ていた。
「いい? やっぱりここは王道で責めるべきだと私は思うの!」
「王道、ですか?」
パメラの熱弁に、リリィが疑問の声を上げる。
「そうよ。ハロウィンでの女の子の定番と言えば、やっぱり魔女よ!」
「でも、メルは<パニヨン>の手伝いで、去年も魔女の格好をしていますよね?」
リリィの問に、パメラは「そこがポイントよ」と力説を続ける。
「去年と代わり映えしない魔女の格好に、ジェノ君はきっとがっかりするわ! でも、今年は違うのよ、中身が!」
「中身?」
「そう。メルったら、実家のお母さんに頼んで、すっごい下着を準備してもらっているのよ! だから、そのギャップを利用するの!
去年と同じ仮装を見せておいて、祭りが終わったら、ジェノ君の部屋を訪ねていくの。そして……」
ハロウィンということで、普段とは異なり、夜も営業をしていたパニヨン。しかし、ようやく騒がしい祭りが一段落し、ジェノは息をつき、衣装を着替えようとした時だった。
コン、コン! と遠慮がちに部屋のドアがノックされたのは。
「今開けます」
バルネアだと思い、ジェノは着替えを止め、部屋の鍵を開ける。
だが、部屋の前に立っていたのは、未だに魔女の仮装をしたままのメルエーナだった。
「こんばんは、ジェノさん」
メルエーナはそう言って微笑む。だが、いつもより顔が赤い。
「どうした、メルエーナ? ……酒が入っているのか?」
「ふふふっ。大丈夫ですよぉ。ワインを少し頂いただけですからぁ」
メルエーナの呂律が少し怪しい。どう考えても、少しの飲酒量とは思えない。
「かなり酒が回っているようだな。今日はもう休んだほうがいい」
「むぅっ。どうしてそんなつれない事を言うんですかぁ。ジェノさんは冷たすぎです。鈍感ですぅ!」
泥酔しているようで、メルエーナは普段では考えられない絡み方をしてくる。
「というわけで、そんな薄情なジェノさんには、少しお話があります。部屋にいれてくださぁい」
メルエーナは強引にジェノに迫ってくる。
このまま部屋に帰しても、その後が心配なので、仕方なく酔いが覚めるまで、ジェノはメルエーナの相手をすることにした。
「本当に大丈夫なのか?」
倒れても大丈夫なように、メルエーナをベッドの端に座らせて、ジェノは机の椅子を移動させてきて、そこに腰を掛ける。
「ふふふっ。ジェノさんのベッドですぅ……」
何が面白いのか、メルエーナはクスクスと笑う。
普段の真面目な彼女とはかけ離れた印象に、ジェノは戸惑う。
魔女の格好もあり、メルエーナは祭りの空気に当てられてしまったようだ。
「ジェノさん、大切な質問ですよぉ~。嘘偽りなく答えて下さいねぇ」
メルエーナはそう言いながら、ベッドに平行に倒れて、体を預ける。
「メルエーナ。やはり部屋に戻った方がいい」
「嫌ですぅ。私の質問に答えて下さい」
普段は物分りがいいメルエーナの思わぬギャップに、ジェノはどうしたものかと戸惑う。
「わかった。それで、質問というのは何だ?」
嘆息し、仕方なくジェノはメルエーナに付き合うことにした。
「ジェノさん。私に内緒で、このベッドに誰か他の女の子を寝かせたりしていませんか?」
「たちの悪い冗談だな。俺は基本的に、他人を部屋に入れたりはしない」
「むぅっ、本当ですか?」
「お前も知っているだろう。そもそもこんな殺風景な部屋に誰かを招き入れる必要などない」
ジェノは呆れたように言う。
「……でも、私は入ってしまいましたよ?」
「同じ屋根の下で暮らしているお前を入れることくらいは、別になんともないだろう」
ジェノはそう答えたものの、そこで違和感を覚えた。
今まで酔いが回っていて、呂律がしっかりしていなかったはずのメルエーナが、はっきりとした口調で物を喋り、真剣な表情でこちらを見つめているのだ。
「メルエーナ……」
「今日の私は魔女です。今日だけは、私は魔法が使えます。それは、恐ろしい吸血鬼が相手でも……」
メルエーナは静かに立ち上がり、椅子に座ったままのジェノに熱い視線を向ける。
「外見は同じでも、今年は中身が違うんですよ。そして、今日はずっとこの格好だったんですよ。ジェノさんに見てもらいたくて。私を意識してほしくて……」
そう言うと、メルエーナは自らのスカートをゆっくりとたくし上げていく。
「私は、二つの魔法を使いました。一つは、私自身が勇気を出せる魔法。もう一つは、貴方を魅了する魔法です……」
メルエーナの肉付きの程よい太ももが顕になっていく。
去年と変わらない衣装のはずなのに、いや、だからこそ、その中身がどう違うのか惹かれてしまう。
そして、スカートはたくしあがり、さらに、彼女の僅かな布に覆われ……。
「ああああああっ! ストップです! そこまでです! 止めて下さい!」
パメラの妄想を、自分のお葬式に参列するような気持ちで聞いていたメルエーナだったが、ついに堪えきれなくなり、パメラの口を両手で塞ぐ。
「もう、ここからがいいところだったのに!」
武術的な心得のないメルエーナの行動は、普段から鍛えているパメラには何の効果もなく、簡単に逃げられてしまう。
「よく有りません! だいたい、魔女のスカートはそんなに長くないんですよ! それなのに、あんな下着を身に着けていたら……」
「そうね。店の手伝いをしている最中に豪快に転んで、下着が顕になったら、痴女認定待ったなしよね」
それまで無言かつ呆れた顔で話を聞いていたイルリアが、淡々と事実を述べる。
「ほらぁ、そこは嘘も方便ということで、ジェノ君の部屋に行く前に着替えるとかあるじゃない」
「神官がそんな事を言ってもいいんですか⁉」
「ふっ。子孫繁栄のためならば、豊穣の女神であらせられるリーシス様は、細かいことには目をつぶってくださるわ!」
自信満々に断言するパメラに、メルエーナはがっくりと肩を落とす。
「パメラさん。そもそも、あの鈍感朴念仁が、酔っているからという理由だけで、メルを部屋に入れることはないのでは?」
「えっ? いや、普通、メルみたいな可愛い女の子が部屋を訪ねてきてくれたら、嬉しいでしょう?」
「いいえ。あいつのことだから、メルが『部屋に入れて下さい』と言った途端、『いいから、今日はもう休め。明日に差し支える』と言い、ドアを閉めるに決まってます」
イルリアの言葉は容赦がない。
いくらなんでも、そんなことはしないとメルエーナは信じているが、イルリアの中でのジェノのイメージはそんな感じなのだろう。
「ぬぅ。一緒に旅をしているイルリアが言うと説得力があるわね」
「ジェノさんは言葉が少ないですが、優しいイメージだったんですが」
パメラとリリィの呟きに、メルエーナは慌てて、ジェノの人柄を話し、イルリアの言うようなことはしないと説明する。
「なるほど。やっぱりジェノ君は優しいのね。……でも、どうしてそこまで相手のことが分かっているのに、関係が進まないのかね、貴女達は?」
パメラの的確な問が、メルエーナの心に突き刺さった。
「でも、やっぱりジェノさんは優しいんだよね? それなら、ハロウィンの仮装とはちょっと違うけれど、こんな方法はどうかな?」
この四人の中で、唯一彼氏がいるリリィが、案を出してくれることになった。
以前相談に乗ってもらった時も、彼女は良識のある意見を述べてくれたので、メルエーナは期待をする。
だが、その期待は大きく裏切られることになるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
一国一城の主を目指す!〜渇望の日々を超えて。
リョウ
ファンタジー
何者かになりたかった。
だが現世でその願いは叶わず、男は敗北感と悲嘆を胸に沈んでいた。
そんな彼の前に現れたのは、一柱の女神。
導かれるまま異世界へ転移した男は、新たにレイと名乗り、剣も魔法も身分もない底辺から成り上がることを決意する。
冒険者として生きる術を学び、魔法を覚え、剣を磨き、人と裏社会を見極めながら、レイは少しずつ力を蓄えていく。
目指すのは、ただ生き延びることではない。
一国一城の主となり、この世界で“何者か”になること。
渇望を燃料に、知恵と執念で上へ上へと這い上がる、ダークファンタジー成り上がり譚。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる