冷酷王太子に嫁いだら、ベタ惚れされて離してくれません

白米

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この愛は永遠に。冷酷王太子、幸せすぎて涙が出そうです

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 アリシアは、いつもと変わらない朝の光の中で目を覚ました。

レオンハルトの寝台のぬくもりが残る隣を見やり、そっと微笑む。

「……今日は、なんだか静かですね」

だが、部屋にいつも感じる気配がないことに気づく。

いつもなら、彼は朝のキスで目覚めをくれるのに——今日は、それがなかった。

侍女に尋ねても、「王太子殿下は朝早くから外出されました」とだけ。

「そう……お仕事、ですね」

アリシアは納得したようにうなずく。けれど、胸の奥にほんの少しだけぽっかりと穴があいたような気がした。

そして、そんな静かな一日が始まった。



午後も過ぎた頃、執務室で本を読んでいたアリシアのもとに、使いの者が現れる。

「王太子殿下より、アリシア様を庭園へご案内するようにとの伝言です」

「……庭園?」

不思議に思いながらも、アリシアはそっと立ち上がる。

そして扉を開けた瞬間——彼女の瞳が大きく見開かれた。

そこにあったのは、煌めく光に包まれた、ふたりきりの夜会の世界だった。

王宮の中庭に、赤い薔薇と白い花を中心にした花々が敷き詰められ、灯りが優しくともされている。

そして中央には、小さな円卓と、二人分の席。
アリシアのためだけに誂えられた薄紅色のドレスが、風に揺れていた。

「……これは……」

「似合うと思って、選んだ」

その声に、アリシアが振り返ると——そこには、レオンハルトが立っていた。

黒に近い濃紺の礼装、手にはひとすじの小さな花束。

その瞳が、ただひたすらにアリシアを見つめている。

「今日という日が、君のためにある。……俺の、最も大切な人のために」

アリシアの胸が、ぎゅっと締めつけられる。

「レオンさま……覚えててくれたんですね。……今日、私の誕生日だって」

「忘れるはずがない。君が生まれた日こそ、俺がこの世界に感謝する日だ」

花束を受け取った瞬間、アリシアの目に涙がにじんだ。

「……ほんとうに、あなたは……もう……好きすぎて困ります」

「もっと困らせよう。覚悟してくれ」

それは、レオンハルトなりの最大限の“愛の予告”だった。

そしてふたりは、誰もいない庭園で、誰にも邪魔されない時間を始める。



用意された料理も、ドレスも、音楽も——

すべてがアリシアの好みに合わせて丁寧に選ばれていた。

「……これは、私が昔好きだったお菓子……レオンさま、こんなことまで……」

「侍女から聞いた。君が子どもの頃によく食べていたと」

「……わたし、もう幸せすぎて夢みたいです……」

「夢なら、もう覚めないでいい」

レオンハルトはゆっくりと立ち上がると、アリシアの前でひざをつく。

「……え?」

その瞳が、静かにアリシアを捉える。

「アリシア。君と結婚して、すでに全てを得たつもりでいた」

「でも——今日、また誓いたい」

彼は懐から、小さな小箱を取り出した。

中には、透き通るような淡いピンクの宝石があしらわれた指輪。

「誓ってほしい。これからも、いつまでも、俺の隣にいてくれると」

「もう一度、君にプロポーズさせてくれ」

アリシアは、涙をこぼしながら小さくうなずく。

「はい。……何度でも、私はあなたに嫁ぎます」

その言葉とともに、ふたりの指が、再び固く結ばれた。



「……ありがとう。アリシア」

レオンハルトはそっと彼女の手を取り、再びその指に新たな指輪をはめる。

誕生石と、ふたりのイニシャルが刻まれた指輪は、光に反射して優しく輝いていた。

「君の誕生日に、君の存在を改めてこの世界に感謝できることが……俺にとって、どれだけ幸せなことか」

「私の方こそ……こんなに愛されて……胸がいっぱいです……」

アリシアはそっと微笑むと、レオンハルトの胸元に顔を預けた。

心臓の音が重なるような近さ。

「レオンさま……もう、怖いものなんて何もありません」

「俺もだ。君がいるなら、何も恐れる必要はない」

ふたりの唇がそっと重なり合う。

それは誓いと感謝と、何より深い愛情を込めたキスだった。

世界でいちばん優しい夜が、ふたりを包み込んでいた。



夜会が終わった後、レオンハルトはアリシアをそっと抱き上げて、寝室へと連れていく。

「レオンさま、歩けます……」

「だめだ。今日は君を甘やかす日だろう?」

くすくすと笑うアリシアを、大切そうに腕の中へと収めながら、レオンハルトは囁いた。

「アリシア。……次は、子どもの名前を考えよう」

「……えっ?」

「君のように優しく、美しく、強い子が生まれてくることを願っている」

顔を真っ赤に染めたアリシアは、枕に顔を埋める。

「……そんなの、まだ……早いです……っ」

「ゆっくりでいい。けれど、俺は君との未来を一日でも早く形にしたいんだ」

「……ふふ、レオンさまってば、ほんとうに……」

「君のすべてが、俺の宝だ」

そう言って、レオンハルトは彼女をそっと抱きしめる。

ふたりは静かに夜を過ごしながら、未来を語り合った。

子どもが生まれたら——
どんな風に育てよう。どこへ旅に出よう。
どんな日々を重ねよう。

すべての未来に、アリシアとレオンハルトは手を取り合って歩いていくことを、誓い合った。



翌朝。

王宮の窓辺、陽の光が差し込む部屋で、アリシアは目を覚ました。

その隣には、変わらずレオンハルトが眠っている。

目覚めてすぐ、彼はアリシアの額にキスを落とした。

「おはよう、アリシア」

「おはようございます……レオンさま」

「今日も君が、隣にいる。……それだけで、俺は何もいらない」

「私もです。……あなたといることが、私の幸せのすべて」

そう言って、ふたりはまた口づけを交わした。

どこまでも優しくて、
いつまでも甘くて、
永遠に終わらない、ふたりだけの物語。

これは、冷酷と呼ばれた王太子と、
政略で嫁いだはずの令嬢が、
**“世界で一番幸せな夫婦”**になるまでの物語。

——そして、幸せはこれからも、続いていく。

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