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の日の昼休み

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「あれ? 双子じゃん」

 昼休み、圭吾と2人で弁当を食べながら騒がしい廊下に意識をやっていた時のこと。

 圭吾が教室の入り口に立った2人組を見て呟いた。

「「宗介。一緒に食べよ」」
「んー。圭吾もいるけどいいか?」
「「………………いいよ」」

 間が長かった。



「双子と仲良くなったんだ?」
「ああ」
「へー!」

 にやにやとこちらを見つめてくる顔が憎たらしい。

「双子くん、俺圭吾。よろー!」
「「うん、よろー」」

 双子が購買のパンを広げながら応える。

 そして一口二口齧ったところで言う。

「ところで圭吾くん」
「宗介のこと好き?」
「おん? そりゃ大好きだけど?」

 ただでさえ笑っていなかった双子の目がビームを放ちそうになっているのだが。

 2人とも、圭吾の好きはライクであってラブではない。そこまで剣呑にならなくてもいい。

「圭吾の好きは友情の好きだぞ」
「「何で言い切れるのさ」」

 そこを突かれたら黙るしかなくなる。それ以上は俺が勝手に言っていいことではない。圭吾を困らせたくなくて、俺は俯くだけ。


「そりゃ俺がそーゆー愛を持てないからさ!」

 圭吾が茶化すような声音でそんなことを言うのだから、俺は驚きで顔を上げる。


 なんでもなさげにしているが、内側ではどうなのだろうか。
 
「「そうなの?」」
「あ、さては疑ってるな? 本当だとも! けいちゃんは嘘をつきまっせんのよっ!!」
「「…………」」

 助けを求めるような視線を感じるなんて気のせいだ。だって視線なんて目に見えないのだから。鈍い者は感じ取れないものなのだよ。









 双子達が教室を出た。

 わざわざ名残惜しそうに、そして若干助けなかった俺を恨めしそうに見つめてから帰っていった。


「大丈夫か?」
「もちのろんよ!」
 
 からからと笑わらわれる。

 何とも思っていないように見えるが。

「本当に?」
「うん。ありがと」

 自分の性的指向を砕いて飲み込んで、自分の物としたらしい。

 いつの間にか強くなった親友に、俺は感動を隠せない。

「おう」

 俺は圭吾の頭をぐしゃぐしゃと掻き混ぜる。

「うおぅえ!?」

 変な声を挙げる圭吾に吹き出す。

「成長したなぁ」
「うん!? 急だなおい! つか何目線だよ!!」
「親友目線」
「本当に!?」
「ほんとほんと」


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