【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

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第292話 噂の真実

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 「おほんっ! まぁ、魔剣やお前に限って無いとは思うが……一応確認させてくれ」

 「ん? なんだ」

 「お前達は謀略と叡智の魔王アスモと手を組んでは無いよな?」

 魔拳の魔王フィストが真剣な表情でセムネイルに問い掛けた。

 キャニオンや魔族の若者達も殺気立つ。 グラ達も戦闘態勢に入ろうと動くがセムネイルが手で制止した。

 「当たり前だ。 むしろ、見つけたら首を一緒に斬る約束を妻の1人としてるぐらいだな。 古い友に聞いたが、あの馬鹿は神魔大戦をまた起こそうとしてるんだろ? 馬鹿過ぎるだろ」

 「ふっ、やはりお前がアスモと手を組む筈も無いか。 ならば、良い。 私達もアスモとは敵対しているからな。 互いに不可侵といこうじゃないか。 アスモの首を引き千切るのは私達だが」

 「別にそうなれば、それで構わん。 何度も言うが、俺達の目的は冒険者学校の教官をしてBランクに上がる事だ。 終われば直ぐに出て行く」

 「それも……妻とやらの為なのか?」

 「そうだ。 封印から出てきたら、亜人差別とかいう糞な事が起きててな。 妻のリンとノラが差別されるのが気に入らないんだ。 初めて冒険者になった亜人の2人がSランクまで駆け上がれば、少なくとも見る目は変わるだろ?」

 フィストはセムネイルの後ろに立つリンとノラを見つめ、優しく微笑んだ。

 「そうか。 キャニオンから報告にあった、ブルムフの街で誕生した亜人の冒険者とやらは其処の2人なのか。 ふっ、良い目をしている。 励めよ」

 「は、はい!」

 「おー! よく分からんが任せろ!」

 「ふはは! キャニオン、後は頼む。 私達はスラムに行ってくるからな。 お前のおかげで、カラミータ様が動き出している。 一応監視せねばな……セムネイル、さらばだ」

 「お気を付けて、師匠」

 「おう、またな。 フィスト」

 フィストは満足気に頷き、魔族の若者達を連れて出て来た壁の奥へと消えて行った。

 「あの……キャニオンさん。 お聞きしても?」

 「はい、何でもお聞きください。 師匠から認められた皆さんには協力を惜しみませんよ」

 セリスの問に、キャニオンは先程までの態度を改めたかのように誠実に応対する。

 ようやく、疑念は解けたのだろう。

 「実は、本部の噂をいくつか聞いてまして……悪魔の鏡は受付嬢を襲ったり、他の冒険者も襲うと聞いたのですが。 フィストさん達は絶対にその様な事はしませんよね?」

 「ふふっ、その通りです。 あまり深くはお話し出来ませんが、この本部を牛耳っている王族が居まして……噂の事件を起こしているのはその王族なんです」

 キャニオンはその王族を殺したい程に嫌いなのだろう。 言葉の端々に軽蔑が混じり、殺気を込めて拳を握り締めながら説明する。

 「へぇ、じゃあ……その最悪な王族から受付嬢を守る為にワザとそんな噂を立てたの? 確かに、スタッフに女性は1人も居なかったもんね」

 「おっしゃる通りです。 師匠からの提案で、悪魔の鏡に汚名を被ってもらう事になりました。 非情に不本意ではありますが……」

 グラの推測にキャニオンは同意する様に頷く。

 「じゃあ、さっきのハリボテもその王族とやらの差し金か?」

 「はい。 どうやら、その王族が貴族経由でアスモと繋がって……いえ、これ以上は師匠に叱られます。 どうか、ご容赦を」

 「構わん。 では、話しを戻すが教官の手続きで何が困るんだ?」

 「時期ですね。 ちなみにですが、セムネイルさん達はどれぐらいの滞在予定ですか?」

 セムネイルはミンガムの領主達との約束を思い出しながら考える。

 「……4日だな」

 「そうですか……う~ん、やはり困りましたね」

 「何がだ。 さっさと説明しろ。 妻達が腹を空かせているんだ」

 「すみません、では手短に。 冒険者学校では月に一度、クラス別対抗で試合をするんです。 基本的に教官の期間は1ヶ月ですが、例外としてそのクラス別対抗試合で受け持ったクラスが優勝すれば良き指導をしたとしてその時点で終了となります」

 「なら、話しは早いな。 そのクラス別対抗試合で優勝させて、俺達はさっさとBランクに上がれば良い」

 セムネイルの提案にキャニオンは困ったように眼鏡を押し上げた。

 「明後日なんです。 そのクラス別対抗試合が」

 「……ん? じゃあ、最高のタイミングだろ。 明日で、そのクラスとやらを鍛えて明後日の試合で優勝させたら良い。 完璧だな」

 「そうね。 楽勝じゃない?」

 「ふふ、貴方様が居るのです。 可能ですよ」

 「リンも頑張って教えますね!」

 「おー! 腹減ったぞ!!」

 キャニオンはそんなつもりで言った訳では無いのだが、セムネイル達の様子を見て諦める。

 「はぁ……分かりました。 確か、最底辺のクラスに誰も教官が付いて無かった筈なので手続きしときますね」

 「おう、よろしく頼む」

 こうして、セムネイル達はようやく冒険者学校教官の手続きを終えたのであった。
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