【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

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第268話 王都に向けてポチ爆走開始

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 「ハヤ、待たせたな。 グーマンに聞いたが、何かあったのか?」

 セムネイル達は冒険者ギルドへと立ち寄り、丸テーブルに集まっていたAランクパーティーの瞬足の前足を見つけた。

 「セムネイル様! す、すみませんお忙しいのに呼んでしまって」

 「構わん。 大切な妻に呼ばれたなら、俺は地の果てまで行くぞ? それで、どうしたんだ」

 妻のハヤと合流し、事情を聞こうとすると義兄のソクドが割って入った。

 「すまねぇな、セムネイルの兄貴。 俺から説明させてもらうぜ」

 「いや、義兄はお前だからな。 まぁ、いい。 ソクド、何かトラブルなんだな」

 「あぁ、Cランクパーティーのサーチ&デストロイって……セムネイルの兄貴達の教え子……何だよな?」

 既に嫌な予感がしたセムネイルだが、事実である事には変わらない為渋々頷く。

 「1日だけだが、俺達が鍛えたぞ」

 「マジかよ……。 やっぱりすげぇな、セムネイルの兄貴は。 実は……今朝、ギルドで乱闘騒ぎがあってな。 他所から来た冒険者達と、新しいギルマスの護衛で来てたその冒険者達が顔見知りだったらしく何やら言い合ってから直ぐに喧嘩になったんだ」

 「ふむ……それで?」

 「相手はBランク冒険者パーティーでな。 王都ではそれなりに名の売れた奴等だったらしい。 だが……散々格下だと見下したサーチ&デストロイの冒険者達に全員ボコボコにされたんだ」

 セムネイルの顔は渋いが、1日だけとは言え自分達が鍛えた者達の武勇伝を聞けたセリス達の表情は笑顔だ。

 「ふふ、私が教えて上げた魔法使いの皆さんはお元気そうですね」

 「いいぞー! 売られた喧嘩は買うんだー!」

 「あはは……でも、強くなってるなら良かったです」

 「まぁ、全員が狂戦士になってるなら前衛も後衛も関係無くなってるだろうし……その相手はご愁傷様ね」

 「やれやれ……それで? まさか、ホームを荒らすなと俺達の時にみたいに食って掛かったのか?」

 セムネイルの指摘に、瞬足の前足メンバー達は苦笑いを浮かべ、ソクドもバツが悪そうにそっぽを向いた。

 「もぉ……皆。 それに兄上まで……。 す、すみませんセムネイル様。 私が来た時には、兄上達はその方々にリンチされてたので……その、殺しはしてないのですが全員倒しちゃいました」

 ハヤが恥ずかしそうに説明し、セムネイルは笑みを浮かべる。 当然、妻達以外には伝わる量の殺気を放ちながら。

 「ふはははは! 流石だな、ハヤ。 うむ、もし仮にハヤにも暴行していたなら……例え教え子でも俺が殺さないといけない所だったな」

 ソクドや瞬足の前足達は悲鳴を上げ、遠目に見物していた冒険者達も急いで目を逸らした。

 「ひっ?! い、いや、ハヤは一発も食らって無いぜ、兄貴!」

 「は、はい! 全然遅かったので、大丈夫でした! それでですね……こんな事お願いするのは申し訳ないのですが、彼等の治療をお願い出来ますか? お、奥の医務室に全員寝てるので」

 「任せろ、妻の願いは必ず叶える。 そうだ、また直ぐに家で会えるがこの後直ぐに街を出るんだ。 セリス達と暫しの別れをしていてくれ。 俺は……奥の医務室に行ってくるからな」

 セムネイルはハヤの頭を優しく撫で、ギルドのスタッフに案内されながら奥の医務室へと去った。

 「あ、あぅ……そうですよね。 セムネイル様や、セリスさん達は王都に行くんですもんね。 直ぐに会えると分かってても……さみしいです~!」

 「よしよし、ふふ……困った可愛い妹ね」

 「ハヤどした、泣くなー! 俺達とは直ぐに会えるぞー?!」

 「そうですよ、ハヤさん。 それに、セムネイル様は無理ですが私達はハヤさんの門を通れば何時でもミンガムで屋台巡り出来ます~!」

 「いや……それ、リンちゃんが屋台巡りしたいだけなんじゃ……?」

 妻姉妹達が仲睦まじく抱き合っている姿をソクド達は微笑ましく見ている。

 奥の医務室から凄まじい悲鳴が聞こえるが、誰一人その現実に耳を傾ける事は無かった。

 ◆◇◆

 「お、グーマン間に合ったな。 じゃあ俺達は王都に向かうが、2週間後には戻る。 例の件と、この街で冒険者活動をするハヤの事をよろしく頼む」

 セムネイル達は冒険者ギルドを後にし、南門を目指そうとしているとホーガン伯爵の館から戻ったグーマンに出会った。

 「出発前にお会い出来て良かった、ぜひ門の所までお送りしますよ! あれ? サーチ&デストロイの皆さんは、そう言えば昨日から見てないですね。 やれやれ……セムネイルさんや皆さんにお別れするのを楽しみしていたのに」

 「あー……いや、大丈夫だ。 知らない方が良いこともあるからな。 それより、王都は此処から更に南で良いんだよな?」

 「え? あ、はい、あってますよ。 ただ、ブルムフから通じる大通りとは違い、南の街ミンガムから向かいますと遠回りです。 行くだけで1週間はかかりますよ?」

 グーマンからの忠告にセムネイルはニヤリと笑う。

 「そうか、なら明日には王都に着くかもな」

 「……はい?」

 グーマンはまだ知らない。

 セムネイル達が何に乗って王都に向かおうとしているのか。

 ◆◇◆

 「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁ?! りゅ、竜だぁぁぁ! 逃げろ、逃げろぉぉぉぉ!」」」」」

 「み、皆さん落ち着いて、落ち着いてくださぁぁぁい!」

 南門を出たセムネイルは、念の為に少し離れた場所でポチを4次元から出していた。

 しかし、それでも南門を守る衛兵達には見られており瞬く間にパニックが起きる。

 「あの……セムネイル様? 何やら背後が騒がしいのですが」

 ポチは屈み、セリス達が乗りやすくしていたが流石に背後の騒動が気になりセムネイルに問い掛けた。

 「ふはははは! 全部グーマンが何とかするだろ。 ポチは何も気にしなくて良いぞ。 それより、ちゃんと言った事を守れよ」

 「勿論です! 馬車や歩行者に気を付ける事、山賊や魔物が居たら全て駆逐する事、後はひたすらに走る事です!」

 ポチの返答にセムネイルは満足気に頷き、颯爽とポチの鞍に跳び乗る。

 「合格だ。 皆乗ったな? じゃあ、行くぞ!」

 「ふふ、まさかポチさんに乗って旅をするなんて流石の発想ですね貴方様♡」

 「行くぞー! うぉー! ポチ、お前カッコいいぞー!」

 「わぁ~、この鞍凄いですね。 全然揺れないです」

 「あははは! 今の世界基準で、火竜王に乗って旅するとか本当にセムネイルって最高! ポチ、走りなさーーーい!」

 「はい! ポチ、行きます!」

 こうして、セムネイル達を乗せた火竜王ポチは凄まじい速度で道を爆走し始めるのであった。
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