彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

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恋もレースも障害は付き物

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「さぁ!次は障害物競走です!」

「日奈美!頑張れ!お前なら出来る!」

「会場の応援にも熱がこもってます!」

「会場のって言うより妹の応援やろ…。」

絵美の実況に蘭ちゃんが呆れ顔でツッコミを入れる。

「ではここで改めて障害物競走のルールを説明します!

これから走者の皆さんにはコース内にある四つの障害物を乗り越えてゴールを目指してもらいます!

まず最初の障害!

コース内に蜘蛛の巣に見立てたネットを用意しました!走者にはまずこの中を潜り抜けてもらいます!

そして次!

その先に大きな麻袋を用意しているので、それに足を入れて次の障害までジャンプをしながら進んでもらいます!

麻袋を脱いだら今度はコース内にある机に小麦粉を入れた器が置いてあります!小麦粉の中には飴玉が入っているので、それを口だけを使って見つけ出してください!」

「なるほど、飴食い競走の感じか。」

「そうそう!ちゃんと口で!ですよ!手を使うと失格だからね!

さて!最後の障害は4連続のハードルからの跳び箱だ!

華麗に飛び越えてバッチリゴールを決めてくださいね!」

「だ、大丈夫かな…日奈美…。

転けて怪我したりとかしないかしらん…。」

「相変わらずシスコンじゃん…。

過保護だなぁ…。」
 
隣に座ってる瑞穂が呆れ顔で言う。

今は咲夜が参加者側と言う事で俺が実況席に座っている。

その横には予備の椅子を持ってきた瑞穂が居る。

「そりゃお前!ひーちゃんにもしもの事があったら!」

「あー…はいはい…。」

「と言うかお前も実況か?」

「だって妹出てるし悠太実況ほったらかして妹の応援ばっかしてそうだし。」

「うは、俺の事よく分かってる!」

「出来たらこう言う事まで知りたくなかったけどね…。」

言いながらため息を吐く瑞穂。

「辛辣がすぐるww」

さて、そんな中始まった障害物競走。

順番待ちの列の中には日奈美と茉里愛の姿と…。

ただ黙ったまま俯いて座る宏美の姿もあった。

「あいつも障害物競走に出んのか…。」

「みたいだねー。

何?興味あんの? 」

「いや…。」

「ふーん…。」

「お、おー!日奈美の番じゃん!」

「分かりやすっ。」

「…なんだよ?」

「べっつにー。」
 
そう言って面白くなさそうにそっぽを向く。

なんだってばよ…。

さて、日奈美の出番と同時に茉里愛も走っている。

「いけ!そこだ!

よし!いいぞ!頑張れ日奈美!撮影は任せろ!

お!まりちゃんも頑張れ!」

「瑞穂ちゃんの言う通りだねぇー。」

「でしょ?

日奈美ちゃんだけじゃなくて茉里愛ちゃんまでいるから輪をかけてって感じ…全く…。」

なんか2人から呆れられてるけど気にしない!

一方の日奈美は蜘蛛の巣ネットを難なくくぐり抜けて麻袋の方へ。

茉里愛も何とか手こずりながら蜘蛛の巣ネットを抜ける。

ここでは日奈美が優勢だったが、麻袋では茉里愛が日奈美の前に立つ。

「おぉ、2人ともいい勝負だな!」

他の走者を引き離し、まさに戦いは2人の独壇場となっていた。

さて、そんな中次の関門は飴探し。

これには2人とも苦戦を強いられていた。

あぁ!日奈美の顔が真っ白に…!でも可愛い!

「駄目だこりゃ…。」

そう言って瑞穂が露骨にため息を吐く。

でもここでも先に飴を見つけ出して走り出したのは茉里愛だった。

「っ!?」

慌てて日奈美も飴玉を見つけ出し走るも、最後のハードルに先に着いたのは茉里愛だ。

だが、ここでアクシデントが起こる。

「あっ…。」

焦っていたのか茉里愛がハードルを踏み外してその場で転けたのだ。

「ちょ…だ、大丈夫!?」

すぐに日奈美が駆けつけ、しゃがみこむ。

その間、他の走者が2人を抜いて走り去る。

「行って。」

「え?」

「まりの事は良いから早く行って!」

「で、でも…。」

逡巡する日奈美。

茉里愛の膝は遠目からでも分かるほど酷い状態だった。

皮が捲れ、血も出ている。

「早く!」

渋々と言う具合で、日奈美は走りだす。

「まりちゃん!」

日奈美が走った後、俺は走って茉里愛の元に向かう。

「悠にぃ…。

頑張ったんだけど駄目だった…。」

「いや、ちゃんと頑張ったって。

とりあえず早く千鶴さんのとこに行って手当してもらおう。

歩けるか?」

「ちょっとしんどいかもしれない…。」

「そ、そうか、なら肩を…。」

「出来たらおぶってほしいな~。」

「え!」

「駄目?」

「いや…駄目じゃないけど…。」

「じゃあお願い。」

「わ、分かった。」

その場にしゃがみこんで背を向けると、ゆっくり茉里愛が後ろから乗ってくる。

「んなっ!?」

無事ゴールした日奈美がそれに気付いて驚きの声をあげる。

そんな日奈美に舌を出してべーのポーズ。

当然俺は背中を向けているからそんな仕草は見えない訳だが…。

「まさか…!最初からそれが目的!?

むー!」

声に振り向くと日奈美がふくれっ面で地団駄を踏んでいた。

可愛い。

「ふふ、フォークダンスは一緒に踊れなくて残念だったけど。

悠にぃにおんぶしてもらえたし、結果オーライ!」

「でもあんまり無茶はしないでくれよ?まりちゃんが怪我したら俺だって心配するからな。」

「うぅ、それはごめんなさい…。」

「分かれば良し、ほら着いたぞ。」

「うん、ありがとう。」

救護テントの前に着くと、少し名残惜しそうに茉里愛は俺の背中から降り…ない。

「まりちゃん…?」

「悠にぃ、心配してくれてありがと。

大好きだよ。」

「っ…!?」

そう言ってぱっと離れて救護テントに入って行く茉里愛。

心なしか後ろ姿の茉里愛の耳は赤い気がした。

「ふ、不意打ち過ぎんだろ…。」

呟きながら放送席に戻っていると、コース内ではちょうど宏美が走っている所だった。

蜘蛛の巣ネットでは中々抜け出せず、麻袋での動きはあまりもぎこちない。

あいつそう言えば運動あんまり得意じゃなかったよな…。

飴探しも苦戦してるみたいだし、なんとか見つけた後のハードルにも怯んでいた。

あいつ大丈夫か…?

宏美も大方余った個人種目から選んで決めた勢なんだろうが…明らかにチョイスミス…だよな…。

かと言って怪我をしてる訳でもないのに止めさせる訳にも…。

そのまま立ち止まって動けずにいる宏美。

このまま何もしなかったら多分ずっと動かないよな…。

「宏美!」

「っ!?」

さっきまで目も合わそうとしなかった宏美が、驚いた表情でこちらを見る。

「諦めんな!走れ!」

言われた宏美は意を決したように走り出した。

そして無事にハードル、跳び箱を越えてゴール。

当然結果はビリだったがでもあのまま立ち止まったままよりは全然良いだろう。

その後に宏美は一度だけこちらを見た。

でもまたすぐに逸らす。

あいつ…。

声が届いたと思った。

でもそれだけだ。

俺と宏美の間には、今も確かな壁がある。



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