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取り調べは我が家で
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「で、悠太はあそこであんな格好の彼女と何をしてたのかな……?」
ラブコメにおけるこの状況を誰かに見られたらマズイ!は見られるフラグである。
あれだ、押すな、押すなよと言われて押されるまでが鉄板のネタと同じで見られていじられるまでがセットなのである。
いや、いじられるだけなら良いんですけどね?
現在、我が家のリビングにて。
座卓に俺、美江、リオ、志麻、日奈美、茉里愛の6人が囲む形で座り、取り調べのような事をされている所だった。
「お兄ちゃん……その、男の子だからそう言う気持ちになっちゃうのは分かるけど……まだ私達には早い気がするし何より教室でそう言うのは……ちょっと……。」
モジモジと顔を赤くしながら言う日奈美。
「私は悠太となら別に教室でも「お前の意見は聞いてない。」ぴえん……。」
そもそもあの騒動がどうなったのかと言うと、怒り狂って教室を回っていたあのイケメン先輩(名称不詳)は、そんな姿を残っていた複数の生徒に見られ、当然ながらそれは教師の耳にも入ったらしい。
それを好機とばかりに、あのイケメンに騙された女生徒達が彼の横暴っぷりを教師に報告したのだ。
中には実際に襲われた生徒の友人もおり、結局イケメンは生徒指導室に連行されたのだそう。
心友(仮)の翔太からそんな事後報告が送られてきた。
そして志麻はと言うと、いつの間にか俺のカバンにGPSを付けていたらしく……帰りが遅かった俺を心配して様子を見に来たそうだ。
生徒指導の先生、ここにも危ない人がいまーす!
「待て待て、これにはちょっと事情があってな。」
とは言えその事情は俺が簡単に言っていいような内容じゃないだろう。
「事情……ですか?」
リオが疑わしい目を向けてくる。
「それはその……」
かと言って彼女に直接その事情を話させるのは……流石に酷だよな...。
あんなにも真っ青な顔で、大嫌いな筈の俺にまで頼る程追い詰められていたのに…。
「いや、だからあれはさ、事故と言うか……その俺が悪くて……。」
「言い辛い事なの?」
日奈美が真剣な表情で俺を見る。
うっ、やっぱり日奈美は鋭い。
「悠にぃ、私達は別に悠にぃを責めたい訳じゃないんだよ。」
と、ここで口を開いたのは茉里愛だ。
「それは……分かってるけど……。」
「え?私は責めるつもりだったけど?」
不思議そうな顔をする志麻。
この女は……。
「……まぁこの人は例外としてだけど...。」
あ、例外にされちゃってる。
まぁ志麻だしなぁ……。
「悠にぃの事はちゃんと信じてるから。
だから心配なだけ。」
「なんか言いたかった事全部言われちゃったけど!
私もお兄ちゃんの事信じてるから。
勿論、美江ちゃんの事も。」
言われてさっきまで気まずそうに下を向いていた美江がハッとした目で日奈美を見る。
「その、ありがとう。
ひなちゃん。」
「うん。」
美江のお礼に、日奈美は笑顔で答える。
「あの……ね、ゆ、悠君は私を助けてくれたんよ。」
やがて美江意を決したようにゆっくりとそう告げる。
「おい……大丈夫なのか……?」
「だって……あなたに借りは作りたくないし……。」
あぁそう……。
そして、美江はポツポツとさっきまでの事を話始める。
話終えると、二人のシスターズが怒りをあらわにする。
「何それ……!許せない!」
「女の敵……!」
「大丈夫ですよ、彼には何かしらの天罰が下りますから……ふふふ。」
リオさん?顔が怖いよ?
「ごめんね、思い出したくなかったよね……?」
そう言って日奈美が美江の背中を撫でる。
「うん……ひなちゃぁ……ん」
美江も日奈美の優しさに抑えていた物が込み上げたのか、日奈美の胸に顔を埋めて泣き出してしまった。
そんな美江を日奈美は引き続き優しく撫でる。
「悪い日奈美、美江の事、頼む。」
「あ、うん。」
今の俺には彼女を励まし、慰める権利なんて無い。
それは多分俺よりも今は日奈美の方が適任だ。
彼女を傷付けた俺よりも、変わらず彼女に優しくて、何より同性でもある日奈美の方が絶対良いに決まってる。
なら今俺に出来る事は落ち着いた後にでも飲めるジュースとか疲れた心にも体にも効くスイーツとかを調達する事ぐらいだろう。
「どこ行くんですか?」
そう思い出ていこうとするとリオが聞いてくる。
「ちょっとコンビニに。」
「じゃあ私も行く!「君は留守番してなさい。」ぴえん……。」
あ、でも勝手に家探しとかすんなよ?隠しカメラとか盗聴器とか本当やめろよ?フリじゃないからな?
帰って何もしてなかったからってなんで何もしなかったんだとか言わないからな?
「なら私が御一緒しますよ。」
言いながらリオも立ち上がる。
「おう。」
「扱いの差!?」
後ろから志麻の叫び声が聞こえたが、多分気のせいだろう。
でもこいつ本当大丈夫かしらん……。
あ、今笑いやがった!
「まりちゃん、志麻を見張っといてくれ……。」
「ラジャっ!」
言うが早いか、茉里愛は志麻の体をロープで手際よく縛る。
「ひゃっ!?」
こいつ……見た目が美人だから縛られてる姿は一定の層には喜ばれそうだが……。
当然俺にそんな趣味はない、ないったらないっ!
と言うかまりちゃんなんか縛り慣れてない?
そんな特技があるなんて知りたくなかったよ……?
「あぁん、せっかく悠太の部屋に来れたのにー!」
そんな物騒なセリフを背中で聞きながら、俺とリオはゆっくりと部屋を出る。
本当……なんでこいつを家に上げてしまったのか……。
次からは会議はファミレスに戻そうと思います。(切実)
ラブコメにおけるこの状況を誰かに見られたらマズイ!は見られるフラグである。
あれだ、押すな、押すなよと言われて押されるまでが鉄板のネタと同じで見られていじられるまでがセットなのである。
いや、いじられるだけなら良いんですけどね?
現在、我が家のリビングにて。
座卓に俺、美江、リオ、志麻、日奈美、茉里愛の6人が囲む形で座り、取り調べのような事をされている所だった。
「お兄ちゃん……その、男の子だからそう言う気持ちになっちゃうのは分かるけど……まだ私達には早い気がするし何より教室でそう言うのは……ちょっと……。」
モジモジと顔を赤くしながら言う日奈美。
「私は悠太となら別に教室でも「お前の意見は聞いてない。」ぴえん……。」
そもそもあの騒動がどうなったのかと言うと、怒り狂って教室を回っていたあのイケメン先輩(名称不詳)は、そんな姿を残っていた複数の生徒に見られ、当然ながらそれは教師の耳にも入ったらしい。
それを好機とばかりに、あのイケメンに騙された女生徒達が彼の横暴っぷりを教師に報告したのだ。
中には実際に襲われた生徒の友人もおり、結局イケメンは生徒指導室に連行されたのだそう。
心友(仮)の翔太からそんな事後報告が送られてきた。
そして志麻はと言うと、いつの間にか俺のカバンにGPSを付けていたらしく……帰りが遅かった俺を心配して様子を見に来たそうだ。
生徒指導の先生、ここにも危ない人がいまーす!
「待て待て、これにはちょっと事情があってな。」
とは言えその事情は俺が簡単に言っていいような内容じゃないだろう。
「事情……ですか?」
リオが疑わしい目を向けてくる。
「それはその……」
かと言って彼女に直接その事情を話させるのは……流石に酷だよな...。
あんなにも真っ青な顔で、大嫌いな筈の俺にまで頼る程追い詰められていたのに…。
「いや、だからあれはさ、事故と言うか……その俺が悪くて……。」
「言い辛い事なの?」
日奈美が真剣な表情で俺を見る。
うっ、やっぱり日奈美は鋭い。
「悠にぃ、私達は別に悠にぃを責めたい訳じゃないんだよ。」
と、ここで口を開いたのは茉里愛だ。
「それは……分かってるけど……。」
「え?私は責めるつもりだったけど?」
不思議そうな顔をする志麻。
この女は……。
「……まぁこの人は例外としてだけど...。」
あ、例外にされちゃってる。
まぁ志麻だしなぁ……。
「悠にぃの事はちゃんと信じてるから。
だから心配なだけ。」
「なんか言いたかった事全部言われちゃったけど!
私もお兄ちゃんの事信じてるから。
勿論、美江ちゃんの事も。」
言われてさっきまで気まずそうに下を向いていた美江がハッとした目で日奈美を見る。
「その、ありがとう。
ひなちゃん。」
「うん。」
美江のお礼に、日奈美は笑顔で答える。
「あの……ね、ゆ、悠君は私を助けてくれたんよ。」
やがて美江意を決したようにゆっくりとそう告げる。
「おい……大丈夫なのか……?」
「だって……あなたに借りは作りたくないし……。」
あぁそう……。
そして、美江はポツポツとさっきまでの事を話始める。
話終えると、二人のシスターズが怒りをあらわにする。
「何それ……!許せない!」
「女の敵……!」
「大丈夫ですよ、彼には何かしらの天罰が下りますから……ふふふ。」
リオさん?顔が怖いよ?
「ごめんね、思い出したくなかったよね……?」
そう言って日奈美が美江の背中を撫でる。
「うん……ひなちゃぁ……ん」
美江も日奈美の優しさに抑えていた物が込み上げたのか、日奈美の胸に顔を埋めて泣き出してしまった。
そんな美江を日奈美は引き続き優しく撫でる。
「悪い日奈美、美江の事、頼む。」
「あ、うん。」
今の俺には彼女を励まし、慰める権利なんて無い。
それは多分俺よりも今は日奈美の方が適任だ。
彼女を傷付けた俺よりも、変わらず彼女に優しくて、何より同性でもある日奈美の方が絶対良いに決まってる。
なら今俺に出来る事は落ち着いた後にでも飲めるジュースとか疲れた心にも体にも効くスイーツとかを調達する事ぐらいだろう。
「どこ行くんですか?」
そう思い出ていこうとするとリオが聞いてくる。
「ちょっとコンビニに。」
「じゃあ私も行く!「君は留守番してなさい。」ぴえん……。」
あ、でも勝手に家探しとかすんなよ?隠しカメラとか盗聴器とか本当やめろよ?フリじゃないからな?
帰って何もしてなかったからってなんで何もしなかったんだとか言わないからな?
「なら私が御一緒しますよ。」
言いながらリオも立ち上がる。
「おう。」
「扱いの差!?」
後ろから志麻の叫び声が聞こえたが、多分気のせいだろう。
でもこいつ本当大丈夫かしらん……。
あ、今笑いやがった!
「まりちゃん、志麻を見張っといてくれ……。」
「ラジャっ!」
言うが早いか、茉里愛は志麻の体をロープで手際よく縛る。
「ひゃっ!?」
こいつ……見た目が美人だから縛られてる姿は一定の層には喜ばれそうだが……。
当然俺にそんな趣味はない、ないったらないっ!
と言うかまりちゃんなんか縛り慣れてない?
そんな特技があるなんて知りたくなかったよ……?
「あぁん、せっかく悠太の部屋に来れたのにー!」
そんな物騒なセリフを背中で聞きながら、俺とリオはゆっくりと部屋を出る。
本当……なんでこいつを家に上げてしまったのか……。
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