彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

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津川瑞穂

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もはや定番だとは思うが……。

俺が彼女に出会ったのはやっぱりSNSを通じてだった。

彼女ともSNSで何かと気が合い、意気投合して。

そのまま流れで連絡先を交換。

「ね、あたし達付き合わない?」

ある日電話で瑞穂の方からそう言ってきた。

でもあの頃の俺は志麻との一件がトラウマになっていた。

このまますぐに付き合ってまた志麻のようになったら……。

そう思うとただただ不安で、結局志麻と別れた経緯を瑞穂に話していた。

「だからその...すぐには答えを出せないと言うか...。」

「別に良いよ。

心配なら会ってから決めてくれれば良いし。」

俺の言葉に瑞穂はそう言って優しく返してくれた。

その言葉に救われ、覚悟を決めて初めて会った日の当日。

現れた彼女を見て俺は思わず目を奪われた。

多分、今まで見た誰よりも可愛くて、間違いなく好みのタイプど真ん中で……。

とにかく言葉を失った。

いや、彼女を表す言葉なんて俺には思い浮かばなかった。

それほどに彼女は、その場に居る誰よりも輝いて見えた。

さて、そんな彼女とのデートは本当に楽しかった。

元より最初から一目惚れみたいな感じだった訳で、隣で楽しそうに笑う彼女の姿はあまりにも魅力的で……。

「ね、答え出た?」

その日の夜。

ライトアップで綺麗になった噴水の前で、瑞穂は俺に答えを求めてきた。

「俺も付き合いたい!」

断るなんて選択肢ある訳無かった。

「でも良いのか?」

「勿論!」

そう言って手を繋ぐ。

その夜はカラオケで過ごした。

生まれてこの方リアルで(志麻は結局SNS内だし……。)彼女を作った事が無かった俺は、そこで初めてキスをした。

彼女の唇は柔らかく潤っていて、少しリップの風味がした。

そんな感じで、彼女とのデートは翌日の夕方まで続いた。

そして別れ際も本当に楽しかったと言ってくれた彼女。

勿論俺も本当に楽しかったし、またすぐに会いたいと思った。

「そんなふうに思っていた時期もありました。


「いや、脈絡!?」

「仕方ないだろ、その後次の日の夜にはやっぱり別れるってなって荒れに荒れたんだから。」

「あはは、あの時の悠太めっちゃ未練タラタラだったもんね!」

「いやいや、何がどうしてそうなったんですか!?」

「あー、うん、悠太がね、あたしとの約束破ったからさ。」

「うっ……。」

ちなみに現在、何故か流れで付いてきた瑞穂も連れて玄関前に着いた所な訳だが。

本当、どう言う状況なんだ?

これで宏美まで居たら……。

「呼んだ?」

ドアを開け、玄関に入ると、何故か入ってすぐの場所に宏美が立っていた。

「なんで居るの?」

「え?居ちゃ悪いの?」

「悪いよ?不法侵入だよ?」

「一応一年の時のノートも持って来たんだけど、なんか面白そうな事になってたから。」

そう言って宏美は笑……ってないな……。

 いや、顔は笑ってる。

でもむっちゃ手に力が入った状態で握り拳してるからめちゃくちゃ爪が手にぶっ刺さってて痛そうである。

本当どうなってるんだ……。

この日、奇しくも現世では絶対にあり得なかった俺の元カノ勢揃いと言う状況が実現してしまった。

「悠太!おかえり!」

そう言って部屋から出たのは芋虫、ではなく志麻虫である。

縛られた体を上手く動かして俺の元に這ってくるが、虫なので無視する事にする。

「酷い!?」

ぴょんぴょん跳ねて抗議すんな鬱陶しい……。

「悠にぃ!私は役目を果たしたよ~!褒めて褒めて~。」

「あぁ、よしよし。」

そう言って茉里愛の頭を撫でてやると、まるで猫を撫でているかのように気持ち良さそうな顔で目を細めている。

うん可愛い。

ずっとこうして愛でていたい。

「あ!ずるい!お兄ちゃん!私も!」

騒ぎに気付いた日奈美がリビングから出てきて駆け寄ってきた。

「悠にぃは今まりを撫でてて忙しいんだも~ん。」

「そ、そんなの忙しい内に入んないし!」

「あ、日奈美。

美江はもう良いのか?」

「うん、さっき泣き止んだ所。」

「そっか、なら良かった。」

とりあえずそのまま立ち話と言うのもあれなので、一行はリビングに戻る。

志麻虫も自力で這ってついてくる……。

なんかより不気味さが増したんだが……。

さて、リビングに入ると一瞬泣き止んだ美江と目が合う。

「ほれ、お土産。」

ミルクティーとチョコ餅を差し出すと、美江はおずおずとそれを受け取る。

「私が好きなん、まだ覚えとったんじゃ。」

「まぁな。

これでも一年以上は一緒に過ごしたんでね。」

「ふーん。」

それだけ返して美江はそっぽを向く。

「ありゃ、その子も悠太の元カノなんだ。

悠太、結構やるじゃん。」

ケラケラと笑う瑞穂。

それを宏美は一度じっと見て、今度は俺の方に目を向ける。

「この芋虫の次は津川さんなんだ。」

「芋虫じゃないもん!!志麻虫だもん!」

あ、志麻虫は良いんだ……。

「へぇ、あたしの事知ってるんだ。」

「そりゃ知ってるよ。

あれだけ校内で噂になってたらね。」

「噂……?」

「ゆ、三澄君は知らないんだね。

彼女がその凄く可愛い見た目で色んな男子を取っかえ引っ変えしてる清楚系ビッチって噂。」

「っ……!」

俺は思わず言葉を失う。

「そ、そう言えば私も二年にそう言う先輩が居るって聞いた事あるかも……。」

日奈美もそう言って考え込む。

「まぁ、事実だしね。」

瑞穂は実にケロッとした表情でそう返す。

実際俺もそうだと思っていた。

現世での彼女も、俺に会う前に沢山の異性と付き合ったと言っていたし、なんなら俺と別れた後もすぐに新しい彼氏を作ったと聞いた。

「実際さぁ、今日も付き合ってた男の子がなんか違うなぁって別れたばっかりだしね。」

おぉう、、まさかのリアタイだった。 

「でもお前、実際その……可愛いから変な男に絡まれたりもするだろ?  」

「ねぇ、悠太?今の可愛いは必要かな?」

志麻虫に睨まれた。

引き続き無視します!

「そりゃするけどさ、見たでしょ?助けに来てくれた誰かさんを逆に助けたあの回し蹴り。」

「うっ……。」

考えてみたらそうだ。

実際俺も、瑞穂とは大喧嘩した。

確かに約束を破ったのは悪かったと思うけど、急に一方的な別れを告げられた俺は彼女にも随分酷い言葉を言ったりした。

多分だが、彼女はそう言った経験を何度もしてきている筈だ。

なら、あんなチンピラみたいなのに絡まれたりする事だってあるだろう。

だからこその護身術と言う訳か。

「まぁでもさ。

あたしは確かに色んな人とお付き合いしたりしてたけど、それだって複数同時にとかではないし?

別にあなたにとやかく言われる筋合いはないと思うけど?」

そう言って瑞穂は宏美に目を向ける。

「それは……そうかもしれないけど。」

流石の宏美も言い換えせずに口ごもる。

「まっ、そう言う訳だからさ。

今またフリーになったしこんな噂立っててあんまり友達いないしで暇だったんだよね。

だからさ、またよろしくね?」

話は終わりだとばかりに宏美に向けていた目を今度は俺に目を向けてからそう言う。

「ま、また?」

「うん、あ、友達ね?」

思わずなんだよ!と叫びたくな……いや、なってないし騙されてないぞ!?俺は余裕でこうなるって知ってたからな!?

「なぁんか必死だなぁ……。」

リオがやれやれと言いたげに肩を竦める。

転生先の世界、何故か元カノ全員が揃ってしまった今……俺の日常は本当にどうなってしまうのか……。

頭を抱えて苦悩する俺を、彼女は気付かれないようにじっと見ていた。

彼には今度こそ幸せになってほしい。

そんな願いを込めて。

だって私は、その為にこの世界を作ったのだから。 

そう彼女、瀬川宏美は改めて思うのだった。






第2部完結です!
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