29 / 232
らっきょうしか勝たんっ!
しおりを挟む
瑞穂と再会した日の夜。
「まさかこの年になって試験勉強をする羽目になるなんてな。」
専門学校を出た後ですぐに働き始めた俺は、当然ながらその後は勉強なんてしなくなった。
勿論仕事内容を覚えると言う意味でならしてる事になるが、こんな風に勉強して試験に臨むのなんて運転免許を取りに行って以来の事だ。
学生時代は全然好きじゃなかった勉強もあの時は真剣に打ち込めたし、つかの間だけどまた学生時代に戻ったような気分になったりもした。
てか自動車学校ってなんであんな友達出来ないのかな……?
俺だけかしらん……。
二人一組でやる心臓マッサージのやり方とかでペア組んだ人と話したりはしたが、あとは卒業検定で一緒になった人とちょっと話したくらいで基本ぼっちだったんだが。
そんな苦い思い出を頭から振り払って俺は宏美のノートと教科書を見比べながら、ノートに要点をまとめていく。
流石に全教科を一気に、と言うのは無理だから、毎日一教科ずつを目標にしてあとは土日で追い込みをかけようと言う作戦にした。
「お兄ちゃん……まだ起きてたの?」
小さく欠伸をしながら、日奈美がドアから顔を覗かせる。
「今は一分一秒でも惜しいからな。
日奈美はもう遅いんだからちゃんと寝ろよ?」
「じゃあ私もちょっとだけ勉強する……。」
そう言って日奈美は一度ドアを閉めると、ノートと教科書を持って戻ってくる。
「無理しなくて良いんだぞ?」
「うぅん、大丈夫。」
言いながらまた欠伸。
したかと思ったら……。
「ひーちゃん?だから俺は椅子じゃないよ?」
当然の様にまた俺の膝の上に座ってきた。
「椅子一つしか無いもん……。」
「ベッドがあるよ?」
「ベッドは机が無いし……。」
おぉう、眠そうなのになんでそんな反論思いつくのよ……。
と言うかこれじゃ俺が集中出来ないんだが!?
「お兄ちゃん、お弁当のおかずで何かリクエストある……?」
不意にそんな事を聞いてくる。
「そうだなぁ。
ひじきの煮物とか?」
少し考えて答える。
「え、渋い。」
それに意外そうな顔をする日奈美。
「え、じゃあらっきょう漬けとか?」
「弁当にらっきょう漬け!?
待って待って、そこは普通男子高校生だしハンバーグとか唐揚げとかじゃないの?」
「ははは、そんなの食べたら高血圧プラスメタボリックのダブルパンチだぞ?
それにひきかえらっきょうは凄いぞ!
フルクタンと呼ばれる水溶性食物繊維が豊富に含まれていて、 便を柔らかく保ち、ビフィズス菌の餌となって腸内環境を整える働きがあるんだ。
それに、コレステロール値や中性脂肪値の低下、血糖値の上昇を抑えてくれる。
それにひじきに含まれるヨウ素は甲状腺の働きをよくして髪の発育を促すと言われていて……」
「高校生の内からそこまで考えて食事をしてる人そんなにいないと思うけど……。
と言うかなんでそんなに詳しいの……?」
え?いないの?
好きな物食べまくってたせいで毎回健康診断をビクビクしながら受けなくて良いの?マジで?
それが怖くてむっちゃ調べたのに?
高校生凄すぎない?
「じゃあA5ランクのステーキで!」
「急にグレードが上がった!?
それにそんなお肉家に無いよ!?」
無いかぁ……。
まぁそりゃそうである。
そんなのが普通に常備してある家はそもそも一般家庭じゃない訳で……。
「じゃあさ、オムライスが食べたい。」
「オムライス?」
「そうそう、ひーちゃんが心を込めて作ってくれた愛情たっぷりのオムライスが食べたい。
駄目か?」
「うん、うん!作る!絶対作る!
美味しいって言ってもらえるように頑張って作る!」
そう言って嬉しそうにひーちゃんは力強く頷く。
「楽しみにしとくよ。」
「うん!」
まぁ実際料理自体はなんでも良いのだ。
大事なの日奈美が俺の為に精一杯心を込めて作ってくれたと言う過程であり、それだけで俺の中ではA5ランクの肉よりも価値があるのだ。
まぁ、あるなら食べては見たいけども。←え
なんて思ってたら。
膝の上から小さな寝息が聞こえてくる。
「無理すんなってのに。」
言いながら優しく頭を撫でてやると、気持ち良さそうに頭を動かす。
「いつもありがとな、ひーちゃん。」
と、言ってもこの世界のひーちゃんと関わっている期間はまだそんなに長くはない。
そう言う意味では、生まれ変わる前までこの世界にいた俺からもと言うのと、現世で俺が関わってきたひーちゃんに対する意味を込めてのお礼になるのだろう。
普段から、こんなに懐いてくれていて、毎日朝ごはんや弁当まで用意してくれていて、なんだかんだ一番心配もしてくれていて。
「ほんと、俺には勿体ないくらい出来た妹だよな。」
日奈美が妹で良かった。
改めてそう思う。
「さて、どうするかな……。」
このままと言う訳にも行かないし、ひとまず俺のベッドに寝かせる。
幸せそうに眠る寝顔を見て、最近のドタバタで廃れていた心が浄化されていく。
ひとまずこのまま寝かせとこう。
まぁ、いざとなったら俺は最悪リビングで寝ても良いしな……。
とりあえず、もうちょっと頑張るか。
再び机に向き合う。
絶対に夏休みを死守してみせる。
思えば一ヶ月以上の長期休暇なんて会社だったら普通に職務怠慢案件である。
なら学生に戻った今こそ存分に味わってやる。
ひーちゃんが作ってくれる愛情たっぷりのオムライスを楽しみに、俺は引き続き勉強に打ち込むのだった。
「まさかこの年になって試験勉強をする羽目になるなんてな。」
専門学校を出た後ですぐに働き始めた俺は、当然ながらその後は勉強なんてしなくなった。
勿論仕事内容を覚えると言う意味でならしてる事になるが、こんな風に勉強して試験に臨むのなんて運転免許を取りに行って以来の事だ。
学生時代は全然好きじゃなかった勉強もあの時は真剣に打ち込めたし、つかの間だけどまた学生時代に戻ったような気分になったりもした。
てか自動車学校ってなんであんな友達出来ないのかな……?
俺だけかしらん……。
二人一組でやる心臓マッサージのやり方とかでペア組んだ人と話したりはしたが、あとは卒業検定で一緒になった人とちょっと話したくらいで基本ぼっちだったんだが。
そんな苦い思い出を頭から振り払って俺は宏美のノートと教科書を見比べながら、ノートに要点をまとめていく。
流石に全教科を一気に、と言うのは無理だから、毎日一教科ずつを目標にしてあとは土日で追い込みをかけようと言う作戦にした。
「お兄ちゃん……まだ起きてたの?」
小さく欠伸をしながら、日奈美がドアから顔を覗かせる。
「今は一分一秒でも惜しいからな。
日奈美はもう遅いんだからちゃんと寝ろよ?」
「じゃあ私もちょっとだけ勉強する……。」
そう言って日奈美は一度ドアを閉めると、ノートと教科書を持って戻ってくる。
「無理しなくて良いんだぞ?」
「うぅん、大丈夫。」
言いながらまた欠伸。
したかと思ったら……。
「ひーちゃん?だから俺は椅子じゃないよ?」
当然の様にまた俺の膝の上に座ってきた。
「椅子一つしか無いもん……。」
「ベッドがあるよ?」
「ベッドは机が無いし……。」
おぉう、眠そうなのになんでそんな反論思いつくのよ……。
と言うかこれじゃ俺が集中出来ないんだが!?
「お兄ちゃん、お弁当のおかずで何かリクエストある……?」
不意にそんな事を聞いてくる。
「そうだなぁ。
ひじきの煮物とか?」
少し考えて答える。
「え、渋い。」
それに意外そうな顔をする日奈美。
「え、じゃあらっきょう漬けとか?」
「弁当にらっきょう漬け!?
待って待って、そこは普通男子高校生だしハンバーグとか唐揚げとかじゃないの?」
「ははは、そんなの食べたら高血圧プラスメタボリックのダブルパンチだぞ?
それにひきかえらっきょうは凄いぞ!
フルクタンと呼ばれる水溶性食物繊維が豊富に含まれていて、 便を柔らかく保ち、ビフィズス菌の餌となって腸内環境を整える働きがあるんだ。
それに、コレステロール値や中性脂肪値の低下、血糖値の上昇を抑えてくれる。
それにひじきに含まれるヨウ素は甲状腺の働きをよくして髪の発育を促すと言われていて……」
「高校生の内からそこまで考えて食事をしてる人そんなにいないと思うけど……。
と言うかなんでそんなに詳しいの……?」
え?いないの?
好きな物食べまくってたせいで毎回健康診断をビクビクしながら受けなくて良いの?マジで?
それが怖くてむっちゃ調べたのに?
高校生凄すぎない?
「じゃあA5ランクのステーキで!」
「急にグレードが上がった!?
それにそんなお肉家に無いよ!?」
無いかぁ……。
まぁそりゃそうである。
そんなのが普通に常備してある家はそもそも一般家庭じゃない訳で……。
「じゃあさ、オムライスが食べたい。」
「オムライス?」
「そうそう、ひーちゃんが心を込めて作ってくれた愛情たっぷりのオムライスが食べたい。
駄目か?」
「うん、うん!作る!絶対作る!
美味しいって言ってもらえるように頑張って作る!」
そう言って嬉しそうにひーちゃんは力強く頷く。
「楽しみにしとくよ。」
「うん!」
まぁ実際料理自体はなんでも良いのだ。
大事なの日奈美が俺の為に精一杯心を込めて作ってくれたと言う過程であり、それだけで俺の中ではA5ランクの肉よりも価値があるのだ。
まぁ、あるなら食べては見たいけども。←え
なんて思ってたら。
膝の上から小さな寝息が聞こえてくる。
「無理すんなってのに。」
言いながら優しく頭を撫でてやると、気持ち良さそうに頭を動かす。
「いつもありがとな、ひーちゃん。」
と、言ってもこの世界のひーちゃんと関わっている期間はまだそんなに長くはない。
そう言う意味では、生まれ変わる前までこの世界にいた俺からもと言うのと、現世で俺が関わってきたひーちゃんに対する意味を込めてのお礼になるのだろう。
普段から、こんなに懐いてくれていて、毎日朝ごはんや弁当まで用意してくれていて、なんだかんだ一番心配もしてくれていて。
「ほんと、俺には勿体ないくらい出来た妹だよな。」
日奈美が妹で良かった。
改めてそう思う。
「さて、どうするかな……。」
このままと言う訳にも行かないし、ひとまず俺のベッドに寝かせる。
幸せそうに眠る寝顔を見て、最近のドタバタで廃れていた心が浄化されていく。
ひとまずこのまま寝かせとこう。
まぁ、いざとなったら俺は最悪リビングで寝ても良いしな……。
とりあえず、もうちょっと頑張るか。
再び机に向き合う。
絶対に夏休みを死守してみせる。
思えば一ヶ月以上の長期休暇なんて会社だったら普通に職務怠慢案件である。
なら学生に戻った今こそ存分に味わってやる。
ひーちゃんが作ってくれる愛情たっぷりのオムライスを楽しみに、俺は引き続き勉強に打ち込むのだった。
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる