彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

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リタはほくそ笑み、そしてリオは決意する

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「宏美ん、勝手に帰っちゃって良かったのー?」

部屋に戻った宏美に、リタが声をかける。

「良いんだよ。

どうせ泳ぐつもりないし、ただ見てるだけの奴があの場に居ても仕方ないでしょ。」

「宏美んってカナヅチなんだっけ?」

「は!?ち、違うから!ただ泳ぐのがあんまり得意じゃないだけだから!」

「そう言うのを世間一般ではカナヅチって言うんだと思うけど。」

「うっ...。

そ、それにこの状態で海になんか入れる訳ないじゃん。」

そう言って背中に目を向ける宏美。  

「まぁそうだけどなーんか言い訳っぽいなぁ。」

「べ、別にそんなつもりじゃ...。」

「今回だって海で泳ぐって分かってて合宿にはついてきてるんだよね?」

「それはその...誘われたから...。」

「あれって誘われたって言うのかな?」

「い、一応...?

無理やり言わせた感あるけど...。」

「本当は一緒に遊びたかったんじゃないの?」

「べ、別に...。」

「そうかな?水着、本当は持って来てるんでしょ?」

「うっ...。 」

着るつもりなんてなかったが、一応念の為にと持って来てリュックの1番下に埋まっているのは確かだ。

悠君に出くわした月曜日。

別れた後にフラッと立ち寄った水着専門店で買った可愛いらしいフリル付きの花柄セパレート水着。

思わず衝動的に買いはしたが、着る機会は多分無いだろう。

「私にはどうせ似合わないし...。」

「ならなんで買ったの?」

「それは...その...。」

「着てみたら良いじゃん。」

「いやいや...。

泳ぐつもりないのに着たってしょうがないじゃん。」

「でも、見せたかったんじゃないの?」

「...別に。」

「泣きながら帰って来たくせに?」

「泣いてないし...。」

「強情だなぁ...。」

「それにあいつは私のなんかより先生とか妹の水着姿の方が良いに決まってるし。」

「だから泣いてたんだ?」

「泣いてないってば!」

「宏美んさー、このままで良いのー?」

「...何が?」

「言われなくても分かってるでしょ。

ただ彼が幸せになるためにこの世界を作ったって訳でもないでしょうに。」

「そんな事ない。

私は悠君が幸せになるならそれで良い。

それを近くで見届けられるならそれで充分。」

「本当に?」

「...何が言いたいの?」

「それは自分の胸にでも聞いてみたら良いんじゃない?」

そう言ってリタはつまらなそうに姿を消す。

「何よ...。」

そう一人ぼやいてそのままベッドに倒れ込む。

「いったっ...。」

勢いを付けすぎたからか、背中の古傷に当たって痛みが走る。

「痛い...なぁ。」

それは、確かな実感としていつも私に現実を突き付けるのだ。

本来私はここに居て良い存在じゃない。

近くで彼を見守る権利だってある筈もない。

でも私はここに居る。

そうすると決めたから。

いずれその時が来るまで、彼が答えを選ぶその時まで。

それがどんなに苦しくて、泣きたくなるような結末だとしても。

そんな気持ちに蓋をして、私は彼の友達でいる道を選んだ。

きっとそれがお互いにとって一番の選択の筈だと信じて疑わなかった。

なのに、なんでこんなに苦しいのだろう。

こんなに悲しくて涙が出るのだろう...。

泣く権利なんて私には無いのに...。

ベッドで体を丸め私は泣く。

そんな姿を見て、リタはほくそ笑む。

「全く、強がっちゃってさ。

でもそんな虚勢がいつまでもつのかな?」

リタがこうして宏美に揺さぶりをかけたのは彼女を気にかけて、ではない。

このまま蓋を剥がして行けば彼女はいずれ現状に耐えられなくなる。

そうなった時どうなるか。

「ふふふ、今から楽しみ。

...おっと。」

「宏美さん!大丈夫ですか!?」

リタは咄嗟に身を隠す。

そう言って部屋に戻って来たのはスク水姿のリオだ。

「大丈夫だから...。

ちょっと体調が悪いだけだから一人にしてほしい。」

そっぽを向いて宏美はリオにそう返す。

「そう...ですか。

他の皆さんにはそう伝えておきます。

でもその...私に何か力になれそうな事があるなら言ってくださいね。」

「うん、ありがとう。」

そう言って遠慮がちにリオはその場を去る。

海に戻りながらリオは考える。

やっぱり宏美さんは泣いていた。

それはつまりそう言う事なのでしょうか...。

これまでどこか他の三人の元カノと違っていた彼女。

彼が転生してから1番最初に現れて、でも何処か彼とは一線を引いているようで。

もし私の仮説が正しいのなら...。

「宏美さん...あなたは本当にそれで良いのですか...?」

口に出してみたところで、もう彼女が居る場所から随分離れてしまっていた。

「何となくリタが目論んでる事も分かりました。」

最初からそんな気はしていた。

リタは人の幸せを願って動くような天使じゃない。

むしろ。

人が壊れて破滅していく姿を見てほくそ笑む悪魔のような奴だ。

「あなたの思い通りにはさせませんよ...。

リタ。」

空を見上げ、一人つぶやく。









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