彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

文字の大きさ
82 / 258

受け取り方はご自由に

しおりを挟む
脱衣場にて。

「それで?何があったの?」

バスタオルで体を拭いていると、瑞穂が思い出した様に声をかけてくる。

と、言うか本当にこの子遠慮無さ過ぎない……?

俺は出る時しっかりタオルを巻いて出たのだが、この娘……一切隠す気無しで、今も堂々と隣に来て服を着始めている。

なんなら先に出ようとした俺を引き止めてまで一緒に付いてきた。

そもそも衣類を入れるカゴの入った棚も隣だし……。

「お前……そもそも入ってるのが俺じゃなかったり俺以外が居たらどうしてたんだよ?」

もしそうなったら大問題だ。

いや、この状況も充分大問題だけども……。

「えー、質問に質問で返すのは頂けないなー。」

お前はどこぞの獣人か、、

「そりゃ分かるでしょ。

悠太の服しか無かったし。」

「でも後から来る可能性も……。」

「その時はその時だよ。」

「おい……大体何も隣に来なくても……。」

全裸で隣に居られるのも当然心臓に悪いが、隣で服を着られるのもそれはそれで心臓に良くない!

今朝言っていたあの日買ったやつとは違う黒の下着がどうにも目に入ってしまう。

「うーん場所の節約?的な。」

「疑問形じゃないか……。

と言うか2人しか居ないのに節約も何も無いだろうが……。」

まぁメンバー全員入っても充分入れる位の広さはあるけど……。

いや自分で言っといてアレだがなんだそのカオスな状況は、、

「それよりあたしの質問にも答えてよ?」
 
そう言いながら瑞穂はパジャマに袖を通しつつ睨んでくる。

大きめな水色のリボンが首元にあるフリル付きの白パジャマは、いかにも清楚な感じで可愛いらしい。

「いや……別に。」

「気付いてないと思った?

あんな分かりやすく上の空だったのにさ。

あたしだけじゃなくて多分他の人も気付いてたと思うよ。」

「うっ……。」

「何?あんまり話したくない感じ?」

「いや……なんて言うかまだ自分の中で上手く整理が出来てないと言うか……。」

「ふーん?じゃあさ、当てたげよっか。」

「え?」

「瀬川さんの事でしょ?」

「…はっ!?」

「あ、やっぱり当たりなんだ。」

「い…いやなんでそう思うんだよ。」

「知らなかった?女の勘って結構当たるんだよ?」

「いや……だからって……。」

「逆に聞くけど分からないと思った?

夜ご飯も食べずに引きこもってる女子と、夜ご飯中ずっと上の空な男子が揃っててさ。

その上二人は元カノだもんね。

そりゃ何かあったと思いもするでしょ。」

「うっ……。」

「で、何?喧嘩でもした訳?」

「いや……喧嘩と言うか……。」

どう答えようか考えながら、パジャマを着終えた瑞穂と並んで脱衣場から出る。

こいつ本当普段の姿だけ見たら清楚系そのものなんだよなぁ...。

それだけに下に着てるセクシーな黒の下着だとか時折見せるビッチ感にどうにもギャップを感じると言うか...。

「え……。」

「げっ...。」

「わぁお。」

なんて事を考えていたら、そんな絶妙なタイミングで、今一番現れてほしくない相手と出くわしてしまった。

ほんとアレだ。

ことラブコメにおいてこんな所を誰かに見られたら!は見られるフラグである。

加えて誰々だとみたいに人を指定した場合も悪い状況の場合は大体当たる、、。

「ゆ、悠君と津川さん……?

なんで一緒に……。」

そう言って驚きを隠せない様子で棒立ちになってるのは、ついさっき話題に出たばかりの宏美だった。

中からタオルが見える手提げ袋を持っているのを見るに、彼女も大浴場に入りに来たのだろう。

なんともタイミングの悪い話である。

いや、まぁこれに関しては完全に悪いのは宏美じゃなくて瑞穂な訳だが……。

「そ、そこ男湯だよね……?なんで津川さんが?」

怪訝な表情で聞いてくる宏美。

「ひ、宏美、これはその……!」

さてどうするか……。

確実に悪いのは瑞穂な訳だが、だからって事実をそのまま話すべきか……?

いや、そんな事したら間違いなく大騒ぎになるだろ……。

でも変に嘘ついたり誤魔化してそのせいで変に解釈されても困るし……。

「そりゃそうでしょ、だって一緒に入ったし?」

俺がどう誤魔化すか考えている間に、当の本人である瑞穂は実にあっけらかんな態度でネタばらしをする。

「ちょ!?おま!?」

「っ!?な、何考えてんの!?」

顔を真っ赤にして叫ぶ宏美。

いや、当然の反応だ。

本来こんな状況あっていい訳が……「え?何か問題ある?」

そんな当然の反応をさも不思議そうに瑞穂は聞き返す。

「あ、あるに決まってるじゃん!」

「えー?なんで?」

「そ、それは……その……私達まだ高校生だし……。

い、異性と一緒になんて……その……。

と、と言うかあなた達ただの友達でしょ!?」

「確かに、今はまだ友達だね。」

「そ、それなのにそう言うのおかしいと思う!」

「えー?だってお互い合意の上だしさ。」

「え……?」

宏美が俺の方に向き直る。

「いや!待て待て、俺は合意した覚え……「そんな事言って~なんだかんだガッツリ見てた癖に。」うっ……そっ、そりゃお前……!目の前にお前みたいな可愛い女子が全裸で居たら見るに決まって……!」

「変態……。」

超冷めた目で見られた。

「ねぇ、確かにあたしと悠太はまだ友達だけどさ、前にも言ったけどそれをあなたがとやかく言う資格ってあるの?」

「っ……!?」

「無いよね?だってあなたは元カノだもんね。」

「それは……その……あ、あなただってそうじゃん!」

言い淀む宏美。

「そうだよ?でもさ、もうそれは昔の話なんだよ。

あたしは確かに色んな人と付き合ったりそれで色々噂されたりもしたけどさ、前にも話した通り複数の相手と同時にお付き合いした事なんてないし、全く何とも思ってない相手とこんな事したりしないから。」

「っ……!?」

「あなたはどうなの?」

「わ、私は……。」

そうして瑞穂は宏美の耳元に顔を寄せる。

「言っとくけどあたしは手加減するつもりなんてないから。」

その耳にそっと囁く。

「っ!?な、何言って……。」

「ふーん……?とぼけるんだ。

じゃあそのままずっと指をくわえて見てれば?

行こ、悠太。」

「あ、おい! 」

そう言って強引に俺の腕を引く瑞穂。

それを宏美は本当に辛そうな顔で見ている。

なんでそんな顔するんだよ……?

実際コイツの言う通りだ。

今宏美は元カノで、関わってるのは友達に戻ったからだ。

本来ならコイツは俺と瑞穂が何をしようがとやかく言う権利なんて無い。

いや……実際事実として付き合ってもない異性と風呂なんて俺もどうかとは思うけども……。

でも転生して最初の頃からコイツは元カノだけど一応友達、と言う関係性でこれまでもあれこれ口出ししてきた。

俺はそれを宏美がこの世界を作った本人だからだと思っていた。

実際本人もそうだと言ってたし。

だってそうだろ。

あいつが俺を救ったのはただの情けで。

あれこれ口出ししたのだってただせっかく生き返ったのに不幸になるのは不憫だと思ったからとも言ってた。

だって宏美はもう俺の事を恋愛感情で好きじゃないのだから。

そう言って別れを切り出したのは他でもない彼女自身なのだから。

なのに……なんでそんな……今にも泣きそうな顔するんだよ……。

そんな顔を見られたくなかったからか、宏美はそのまま走り去ってしまう。

「あ、宏美!」

瑞穂に引っ張られながら、そんな宏美の背中を目で追う。

「悠太はさ、瀬川さんの事どう思ってんの?」

それを見た瑞穂が足を止めて俺に聞く。

「それは……。」

「ただの友達?それとも……。」

そこで瑞穂は意味深に言葉を切る。

「……分からない。」

それに俺は思ったままを答える。

「そ。」

「と言うかお前はどうなんだよ、さっきの言いようだと……。」

聞くと瑞穂は頭を抱えながら露骨にため息を吐く。

「な、なんだよ?」

「そう言うとこだよ、悠太。」

やれやれとでも言いたげに肩を竦める瑞穂。

「そんなの自分が受け取りたいように受け取れば良いじゃん。」

「いや、そんな事言われても……。」

「確かに人の気持ちなんてさ、口に出されなきゃ分かるわけないよ。

それに気持ちを素直に言葉で口に出来る人ばかりでもない。」

「それは……まぁ。」

「だからさ、結局最終的には悠太がそれをどう受け取ってどう考えるか、でしょ?」

「そう……だよな。」

あいつの考えてる事は今も分からない。

でもあいつがこれまでしてくれた事を受け取って、どう考えたか、なんてそんなの決まってるだろ。

「全く……なんであたしがこんな事しなきゃいけないんだか……。」

今何か瑞穂がつまらなそうに小声で呟いた気がする……。

「なんだよ?」

「べっつにー。」

そう言ってまたため息を吐く瑞穂。

「あたしは疲れたからもう寝るけど、悠太はどうすんの?」

「お、俺はその……。」

「行けば良いじゃん、瀬川さんのとこに。」

「お、おう、その悪い。」

「なんで謝るんだか……。

まぁ良いや、一つ貸しね。」

「お、おん。」

そう言って瑞穂はまたやれやれと肩を竦めて部屋に戻ろうとする。

「あ、なんかこのまま塩を送るだけじゃ癪だしこれだけは言っとこうかな。」

自分の部屋の前に着くとふと足を止め、思い出した様に瑞穂は呟く。

「え?」

「あたしは別にどう受け取られても良いよ?悠太なら。

それじゃ、お休み。」

「あ!?おい……!」

それだけ言うと瑞穂は部屋に入ってさっさとドアを閉めてしまった。

なんなんだよぉぉぉぉ!?

そんな声にならない叫びが届く筈も無く……。

「行ってみるか……。」

そのまま立ち尽くしている訳にもいかず、俺は仕方なく宏美の部屋に向かうのだった。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
恋愛
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

処理中です...