ガルテナ ~私の一番の音楽~

茂庭

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ミックスが終わって

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 撮影翌日の朝、晴天。少し風はあったが快適な温度でとても気分がよかった。
ただ気分がよかったのは温度のお陰だけではない。
いつもの待ち合わせ場所でマリと落ち合う。

「おはよー」
「おはよう」
「お、なんか機嫌いいね」
「え、分かっちゃう?」

 朝の挨拶だけでマリに見抜かれた。頬が緩んでいる自覚はある。

「うん、ニッコニコだよ。どうしたの?」
「昨日録音したじゃん? ミックス終わってさぁ」
「おぉ!」
「それ聞いてたらもう気分すっごく良くなっちゃって」

 ミックスした音源は宝物になった。
マリの歌も皆の演奏も本当に気持ちいい。
この先この音源を聞くだけでどんな時も頑張れる。元気が出ると思った。

 ミックス自体は夜十二時頃には終わったけど、昨日はそれをずっとリピートしていた。
夢の中でもずっと聞いていた感覚。
そのせいで少し寝不足だけど、そんなことはどうでもよくなるくらい幸せだった。
睡眠なんて授業中にとればいいのだ。

「すごーい! 聞かせてー!」
「学校着いたらね」

 腕を絡ませながらお願いされたが音楽を聴きながら歩くのは危ないので断った。
腕を組むのを「やめて」と言うのも忘れるほど機嫌が良かった。

「うん! でもようやく自分の曲の良さに気付いたか!」
「いやそれは違う」

 一気に良かった機嫌が霧散した。

「うわぁ真顔急潜航」
「私の気分がいいのはマリの歌と皆の演奏にであって自分の曲に対してでは無い」
「頑なだなぁ」
「ネットの再生数伸びてないし」

 マリは私の急潜航振りに呆気に取られていたが。自分の曲に自信があるわけでは無かった。

「みんな見る目無いなぁ!」
「……」

 マリはいつも通りネット民に怒ってくれたが、何も言わないでおいた。




 それから二日後、ミックスの最終調整を終え、動画に編集した。
動画を再生する度にマリが「世界最高の動画だね!!」 とニコニコしていた。
いや、マリだけじゃなく、皆笑っていた。もちろん私も。
こんなに幸せの詰まった動画は今後一生出来ないと思えるほど素敵な動画になった。
もちろんそうは言わないけど。

 ともかく、動画は完成し、予選登録の準備は完了した。
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