クリスマスと魔法使い

とまとぷりん

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第二話

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「恋人が欲しい・・・」
「そんな簡単な事か。よしタイプを言え。絶世の美女か?萌え萌えの女子高生か?」
「萌え萌えって・・・よく知ってるなぁ、そんな言葉・・・
相手はよく行くコンビニの店員さんだよ・・・名前とか分らないけど・・・」
「そんなのでいいのか? もっと女優とか何でもいいんだぞ」
「お釣りをくれるときに時々微笑んでくれるんだ・・・
こんな子が恋人だったらいいなぁっていつも思ってた。
でも彼氏とか居るんじゃないかな? だったら無理だよね?」
「そんな事はないぞ。彼氏の居なかった頃まで遡って過去を書き換えてしまうんじゃ
ほれ、お前の両親みたいにニューヨーク在住みたいな感じじゃ。今からその娘に
会いに行く。さっさと用意をするんじゃ!」
「まだ朝ご飯食べてないって・・・せっかちだなぁ・・・」
「時は金なりという諺ことわざをしらんのか? 用意が出来たら、わたしを
そのコートのポケットに入れてくれ」
俺はお腹がパンパンに腫れあがったリカちゃん人形・・・いや、魔法使いをコートの
ポケットにほり込み12月の街路樹の下を駅に向かって歩いた。
いつもは昼過ぎまで寝てて、楽しみにしてるマンガ雑誌を買いに行くんだが
今日はまだ10時前だ。彼女は居ないかもしれない・・・
大学生なんだろうか? いや、だったら昼間は講義だろう。 
まてよ、4年ならほとんどの単位を取ってるだろうから暇なのかもしれない。
俺もそうだった。
まあ、俺の場合は三流大学だったから授業なんか受けなくても単位を取るのは
それほど難しくは無かったんだけど・・・
「あのコンビニなんだけど・・・」
ポケットから魔法使いをつまみ上げ、手のひらに乗せて見せてやった。
「よし、わたしは姿を消すからこのまま中に連れて行け。お目当ての女が居たら
合図をするのじゃ」
言われる通り透明になった魔法使いを手のひらに乗せたまま店内に入った。
「いらっしゃいませ!」
居た・・・彼女だ。 水色のボーダーのタートルネックがよく似合ってる。
年齢は20歳ぐらいだと思う。肩に軽くかかる栗色の髪の毛はあどけなさを残していた。
コーラを持って彼女の居るレジの前に立った。
魔法使いに軽く合図を送る。
「ありがとうございます・・・」
いつものように爽やかな笑顔でお釣りを渡してくれた。
一瞬触れる彼女の指先が、なんだかとても柔らかく感じる。
店を出て人混みから離れた場所で魔法使いに話しかけた。
「どう?可愛い子でしょ?」
「まあ・・・普通かな。 わたしの方がよほど美人だと思うが・・・
好みはそれぞれじゃ よし、魔法を使うぞ! お前も復唱するのじゃ。
ちーちんぷいぷいーー」
「ちーちんぷいぷいーー・・・・」
また周りが光ると、俺は突然映画館の前に居た。
「ごめん!待った?」
「えっ?・・・・」
振り向くと彼女がそこに立っている。
「全然。今来たばっかりだから・・・」
「よかったぁ。ねえ何観るの? アレにしない?
スペースバトルシップ・ヤマト」
「あっ・・・うん。 こういうの好きなんだ・・・」
「えー! 剛史も好きだって言ってたじゃん!」
「そうだったね・・・」
どうもこっちの記憶と彼女の記憶がまだシンクロしていないようだ・・・
「ねえ・・・飲み物買ってくるよ。 コーラでいい?」
「あっ・・・さっき買ったから・・・・あれ?」
手に持っていたはずのコーラは消えていた。 
周囲を探すと観葉植物の横で、自分と同じくらいのコーラの缶を
持ち上げて飲んでいる魔法使いと目が合った。
一気に飲み干し、ゲップをしながらVサインをしている・・・
それにしても長い夢だ・・・しかも実にリアル・・・
「おまたせ! はいコーラ。それにポテトチップスも。
 映画終わったら食事に行くんでしょ?
 あんまり食べるといけないと思って・・・小さいのにしておいたよ」
そういって可愛く微笑んだ。
スゴクうれしいけど・・・俺はまだ彼女の名前も知らない・・・
コンビニのエプロンに付いていた名札には山口と書かれていたから
苗字はわかってるだけど・・・どうやって聞けばいいんだ?
既に恋人みたいだし・・・
キスとかしてるんだろうか? どんな設定なんだ? 
ちゃんと聞いておけばよかった。
そんな事を考えながらボーっとスクリーンを観ていた。



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