ニートの俺がサイボーグに改造されたと思ったら異世界転移させられたンゴwwwwwwwww

刺狼(しろ)

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最初が肝心

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白い光に呑まれた後、一瞬とも永遠とも思える不思議な感覚を味わった。自身の記憶ごと、真っ白に溶かしていくような何とも言えないソレは、唐突に終わる。

「ん……ここは……」

目を覚ますと、焼きそば博士とイヴとかいう全裸美少女と共に、研究所とは全く雰囲気の違う場所に横たわっていた。

「どうやら、予想通り別の場所へ飛んできたようだ」

焼きそばくんは、さっきの陣へ投げ込んだ箱に腰掛けながら周りを確認している。
自分達の足元にはさっきの陣が石造りの床に掘られており、青い炎が揺らめく背の高い燭台が等間隔に置かれた広間のような場所だった。

「おぉ、召喚は成功したのか……!!しかし、3人も……!!」

そして、杖を持ってローブを着た者達に囲まれている。
これは定番の台詞を言っておかなければ。

「問おう。貴方が私のマスターか?」

「え?あぁいえ、マスターとは一体……」

腰の曲がったローブマンにダル絡みすると、他の人物達も口々に言葉を発し始める。

「この方達が勇者に」

「凄い……!史上初の人数よ!」

「国王様へ報告してまいります!」

そして、一気に慌ただしい空気になったローブ集団の一人が、俺達に声をかけてきた。

「あの、勇者様方。ひとまず、客室へご案内します」

「そうしてもらおうか。カルラくん、箱とイヴを頼んだよ」

「せめてどっちか持てやwwwwww」

「仕方無いな」

ヘラヘラした態度の焼きそばマンは手近の箱を一つだけ抱えると、軽い足取りでローブの人に付いて行ってしまった。

「結局まだ残ってるし……まぁいいや。それより問題は……」

イヴ。レムレス細胞珠の元になったこの少女が目を覚ますのはいつになるのか。
全裸のまま直接背負うのは気が引けたので、なんとかパーカーだけでも着せると、二人の後に続いた。箱は後で取りに行けばいいや。

「君、幾つか質問してもいいかな」

「はい、何なりとっ」

「ではまず、我々がこの世界について一切の知識が無い前提で1から説明してくれたまえ」

1からって言われても困るよなぁ等と思いつつ、声からして若い女の子のローブちゃんは語り始めた。

「は、はい!えと、この世界は【エル・ムンド】と呼ばれています。この国は西の大陸【エル・ガルブ】の【エルダー王国】です。大陸では一番の領地を有しております。

他の大陸の主な国には、北の大陸【エル・シャウレ】、南の大陸【エル・ダロム】、東の海には島が点在しておりますが、中でも一番大きな国は【極東島】と呼ばれる島国があります……えぇっと後は、何か質問は……?」

全部って言われて何処から切り出せばいいのか分からなくなったのだろう、ローブちゃんが困ったように変態焼きそばに視線を注ぐ。

「そうだな次に気になるのは、私達を呼び出した方法と目的だ。どんな経緯と意図が?」

「あっ、それについてはですね!国王陛下直々に説明して頂けるかと……!」

ローブちゃんが少しテンパってるのを横目に、俺は自分の予想を口にした。

「こういうのはお決まりで魔王倒せ的な事言われるんじゃないかな」

「あはは……。では、ここでお待ち下さい」

案内された部屋は、客室というだけあってリラックス出来そうなフカフカのソファや、豪華な装飾が施されたティーセットや調度品で彩られていて、他にもリビングテーブル、背の低い本棚や書斎机、そのどれもがアンティーク調で統一された空間だった。

「とりあえずイヴ?だったか。この少女をここに寝かせよう」

「ところで君は何故服を脱いでいるんだ?」

「はぁ?マッパの女の子をそのまま背負うわけにいかないだろうが」

「君は何というか、変わっているな」

変わってんのはお前だと言いそうになったが、コイツとそんな事を討論しても仕方無いのでイヴをソファに寝かせて、ブランケットをかけておく。
俺の服は中に着ていたTシャツのみとなったが、半裸じゃなきゃなんでもいいやと思ってその事は忘れた。

「あ、おい変態焼きそば頭。下にまだ箱が残ってる。手伝ってくれ」

「それは良いが私の名前は【唯我崎 竜胆】だ」

「はいはい」

そう言えば名乗ってたけど覚える気ゼロだったwwww某神を喰らうゲームのリンドウとは似ても似つかないなwwwwww

その後、箱を全て移動させて高級感溢れるティーセットでお茶を飲んでいると、イヴが目を覚ました。

「……ここ、は」

「イヴ、漸く目覚めたか。話すのは随分と久しぶりになるね」

「はかせ。あと、だれ?」

アルビノの白い見た目も相まって、今にも消えてしまいそうなか細い声で、イヴは俺を見て首を傾げた。それが何だか物凄く可愛く見えてしまったが、ここはクールに返さないと。

「【大神 カルラ】だ。好きに呼ぶがいい」

「かるら、よろしく?おようふく、ありがと」

「ほう、それが俺のだとよく分かったな」

「におい、いっしょ」

袖を鼻に当ててそう言った彼女は、あどけなさの残る言葉遣いと仕草で儚く微笑んだ。可愛い。

「イヴ、目覚めて早々申し訳ないが、血を採らせてくれたまえ。どのような変化が君の体に起こっているのか知りたいのでね」

「ちゅうしゃ、いたい……いや……」

「寝起きでそんな事したら可哀想だろ。それよりお茶とか飲んだほうがいいぞ」

「かるら、やさしいね」

女の子に褒められるってあんまり経験してこなかったから、何だか照れくさい。この子についてもっと知りたいとか仲良くなりたいとか思ってしまうあたり、童貞丸出しで恥ずかしい。

「仕方無い。まぁ今日中に一度は採らせてくれたまえ」

「わかった」

イヴは採血の恐怖から遠ざかった事で一旦胸を撫で下ろし、紅茶を一口啜った。
俺も一安心して、この世界に持ってきた箱へ目をやりながら唯我崎に訊ねた。

「なぁ、この箱何なんだ?」

「あぁそれは私の研究に必要な機材や試作品の……」

──コンコンコン。

「失礼致します。これより国王陛下と謁見して頂きますので、皆様こちらへ」

口を開いたタイミングでドアがノックされ、話は中断されてしまった。
唯我崎はやれやれと肩を竦めると、困ったように笑いながらイヴの手を引いて扉を開けた。俺もソレに続いて、客室を後にする。
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