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ギルマスの変なおじさん
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俺達が王に謁見を申し込むと、会議室に通された。今回は執務室を兼ねた部屋で、以前の部屋とはまた違うところだったが、一先ず全員が席に着いた。
王様と大臣ちゃん、それから現在の騎士団の副団長に新しく就いた若いお兄さんも出席している。
「リヒテンシュタイン様、お久しぶりです」
「ドレラル、大変な時に出席してくれてありがとう。皆の様子はどう?」
「次の遠征隊は特に鍛錬に身が入っております。団長の帰還も間近ですからね」
世間話もそこそこに、先ずは竜胆が本題を切り出した。
「今回集まって頂いたのは、私が元魔王七刃将の一人であるアルカードくんと協力関係を結んだことの報告と、彼からの魔王軍の詳しい情報の共有が目的だ」
「魔王七刃将だと?!正気ですか勇者リンドウ!敵軍の……ッ」
「大臣、落ち着け。先ずは話を聴こうか」
案の定取り乱す大臣ちゃんを一言で黙らせると、王様は聞く姿勢を見せた。怪しい箇所があればすかさず突っ込む気はあるだろうが、話を聞く気があるだけでだいぶ違うよなぁ。
「彼は暴食のアルカードの通り名を、憤怒のオルドラを通して返還する宣言をするとともに、我々へ協力を申し出てきた。妹さんの平穏な生活を揺るぎないものとする為には、人間側へ立つ方が賢明だと判断してのことだ更に、私の【対魔族兵器】の開発に全面協力すると約束を交わしてくれた。彼の持つ情報は敵主戦力の鮮明な情報と本拠地の所在、軍の規模等が挙げられている」
「そういうとこなんで、一つ頼んだぜ。王様」
「事情は理解した。しかしリンドウくん、彼がスパイだった場合はどう責任を取るつもりだね?」
「問題無いよ。彼が裏切ったと判断した場合は彼と妹さんに仕込んだ爆弾を即刻起爆させる。手術はもう完了しているからね」
まぁこれはハッタリだけど、竜胆ならやりかねない感じの対策ではある。本当に必要ならば仕込むつもりだろうけど。
一同が引き気味に話を聞いて、その後にアルカードから全ての情報開示が行われた。
「全大陸に七刃将が率いる魔族とその協力を買って出た種族の集団が各地に控えてる。数は一個師団に匹敵するだろうな。
魔王軍の目的である、魔王復活による世界征服まではまだ先だが、七刃将には特別な役目もある」
「特別な役目、とは?」
「あらゆる知的生命体の感情だ。七刃将に宛てられた負の感情は、魔王の封印を解く鍵なんだ。先代勇者の施した封印は対象の意思と感情を閉じ込めるものだからな」
「なるほど。これは調査が完了次第、各国へ共有せねばなるまい。感謝する」
だから単に軍を率いて攻め入るだけの侵略はあんまりしてこないってことか。
七種の大量の感情を集めるとなれば、やり方も、アプローチも複雑であったり回りくどくならざるを得ない。
「時間的猶予はさほど多くはないだろうが、私も兵器の開発は急ぐとしよう。他に質問があれば今聞こうじゃないか」
「大臣、ドレラル、何かあるか?」
「いえ、私は」
王様が確認をすると、大臣だけが新たに話題を振る。もういいよ疲れたしwwwwww
「リンドウ殿、その兵器とやらはどのようなものを想定しているのか聞かせてもらいたい」
「一言で言うなら大量殺戮兵器。そこのモ……カルラくんに組み込んで運用する予定だ」
「ちょっと待って聞いてないwww」
「兵器は君以外居ないだろうそれに、この世界の魔法技術を駆使すれば軍を動かすまでもなく単騎で敵軍を潰して回れる代物をも開発出来るだろう」
最後にとんでもねぇ事言われて呆然としてたら何か会議終わってたんだが、とりあえず次はギルドマスターに会いに行く事になった。
その流れで竜胆とアルカード、リリィちゃんは先に別荘へ。イヴっち、カノンさん、タカトと共にギルマスの元へ赴く事になった。
勇者召喚でなく異世界に来たというその人物と接触するのは、なんだか緊張する。
クロウルジョーラ討伐完了の受理が済み、これでめでたく借金からは開放されたところで、ギルドマスターの部屋へ通された。
「マスター、ちょっと変わったオッサンだけど悪い奴じゃねぇから、元の世界の話はしてくれると思うぜ」
「私も会うの初めてなのよね。ちょっと緊張してきたかも」
「変なおじさん?」
「イヴっち、それ本人に言っちゃ駄目だぞ」
タカトがノックをすると、扉が開かれた。どうやら秘書官みたいな役割の人がいるらしい。
「アドヴァンスのタカト・サカキ様、並びに勇者パーティーの皆様、どうぞお入りください」
眼鏡に黒髪二つ結びのスーツ姿の女性は、如何にもデキる女的な聡明さを滲ませるクールビューティーといった感じ。ヒールで踏まれたいでござるなぁwww
「お前達が勇者か。よく来たな」
部屋の先には大きな机と上質なソファ。そこへ腰掛ける人物は、マフィアっぽい雰囲気漂う四十代前半くらいの、何かに似てるんだけどなんだっけwwwあの、缶コーヒーのBOSSのオッサンかなwwww
「おっすwwwオラ勇者wwwwギルマス強そうwwwwwワクワクすっぞwwwwww」
ただ座ってるだけで覇王色の覇気漏れてんじゃね?ってくらいの威厳と雰囲気を肌で感じながら、地球人テストとして悟空さの真似で軽いジャブを打ってみた。
すると、
「ホッホッホッ、初めてですよ、ここまで私をイライラさせたお馬鹿さんは」
ノリノリで返してきやがったコイツwwwwww無表情で何言ってんだこのオッサンwwwwwwwwwwww
「その返し……やっぱりアンタも元は地球から来たって事か」
「ふん、まぁな。俺の名は【バビロニア・フォルクスワーゲン】だ、よろしくな」
「名前wwwwww何人だよwwwwww」
この人の表情の変化があんま無いのは仕様なのかもしれない。その後も話を聞くと、彼は転生でこの世界に移ってきたらしい。ちなみに、42年前に新たな生を受けたので、年齢も当然42歳とのこと。
「まぁ、俺の身の上話なんてのはどうでもいい。それより勇者、お前達もアドヴァンスにならないか」
「え?私達、まだそんなに実績が」
「ならせてくれんなら喜んでなるけどwww」
「あどばんす、なりたい」
「そうだろ。なったら特別な待遇を受けられる代わりに、色々と便利に使わせてもらうが、マイナスにはならん。どうする?」
「どうする?カルラ」
「色々便利にってのが引っかかるなぁ。メリット次第ではお断りの可能性もありますけどもwww」
「なんだ、勇者のくせに疑り深い奴だな。アドヴァンスのメリットって言うとアレだよ、もうなんていうの?チャンネーとシースー、パイオツカイデー、酒池肉林ってやつだ」
「宜しくお願い申し上げますおっぱい」
「ちょっとカルラ、意味わかってる?」
「ていうかそんな特典聞いたことねぇぞ」
「カルラはおっぱいに釣られた」
登録してないイヴはともかく、俺とカノンさんはアドヴァンス昇格の話を承諾した。
「話は決まったな。秘書っち、これよろしく」
「畏まりました。
バビロニア様、こちらの処理が忙しいので、残りの仕事はよろしくおねがいします」
秘書のお姉さんは俺とカノンさんの書類を更新するため、ここぞとばかりに仕事をギルマスのオッサンに押し付けているように見えた。
「え、アドヴァンスの書類そんな大変じゃないでしょ秘書っち、ちょ、おい」
「オッサン全然尊敬されてなくて草」
「まぁたまにはサボらせてやらんとな。それより、お前たちに早速依頼だ」
バビロニアのオッサンはやれやれと溜め息を吐くと、タバコに火を着けて話題を切り替えた。
その表情はやっぱり感情があまり読み取れない感じだったが、何となく雰囲気で真剣な話だと理解した。
王様と大臣ちゃん、それから現在の騎士団の副団長に新しく就いた若いお兄さんも出席している。
「リヒテンシュタイン様、お久しぶりです」
「ドレラル、大変な時に出席してくれてありがとう。皆の様子はどう?」
「次の遠征隊は特に鍛錬に身が入っております。団長の帰還も間近ですからね」
世間話もそこそこに、先ずは竜胆が本題を切り出した。
「今回集まって頂いたのは、私が元魔王七刃将の一人であるアルカードくんと協力関係を結んだことの報告と、彼からの魔王軍の詳しい情報の共有が目的だ」
「魔王七刃将だと?!正気ですか勇者リンドウ!敵軍の……ッ」
「大臣、落ち着け。先ずは話を聴こうか」
案の定取り乱す大臣ちゃんを一言で黙らせると、王様は聞く姿勢を見せた。怪しい箇所があればすかさず突っ込む気はあるだろうが、話を聞く気があるだけでだいぶ違うよなぁ。
「彼は暴食のアルカードの通り名を、憤怒のオルドラを通して返還する宣言をするとともに、我々へ協力を申し出てきた。妹さんの平穏な生活を揺るぎないものとする為には、人間側へ立つ方が賢明だと判断してのことだ更に、私の【対魔族兵器】の開発に全面協力すると約束を交わしてくれた。彼の持つ情報は敵主戦力の鮮明な情報と本拠地の所在、軍の規模等が挙げられている」
「そういうとこなんで、一つ頼んだぜ。王様」
「事情は理解した。しかしリンドウくん、彼がスパイだった場合はどう責任を取るつもりだね?」
「問題無いよ。彼が裏切ったと判断した場合は彼と妹さんに仕込んだ爆弾を即刻起爆させる。手術はもう完了しているからね」
まぁこれはハッタリだけど、竜胆ならやりかねない感じの対策ではある。本当に必要ならば仕込むつもりだろうけど。
一同が引き気味に話を聞いて、その後にアルカードから全ての情報開示が行われた。
「全大陸に七刃将が率いる魔族とその協力を買って出た種族の集団が各地に控えてる。数は一個師団に匹敵するだろうな。
魔王軍の目的である、魔王復活による世界征服まではまだ先だが、七刃将には特別な役目もある」
「特別な役目、とは?」
「あらゆる知的生命体の感情だ。七刃将に宛てられた負の感情は、魔王の封印を解く鍵なんだ。先代勇者の施した封印は対象の意思と感情を閉じ込めるものだからな」
「なるほど。これは調査が完了次第、各国へ共有せねばなるまい。感謝する」
だから単に軍を率いて攻め入るだけの侵略はあんまりしてこないってことか。
七種の大量の感情を集めるとなれば、やり方も、アプローチも複雑であったり回りくどくならざるを得ない。
「時間的猶予はさほど多くはないだろうが、私も兵器の開発は急ぐとしよう。他に質問があれば今聞こうじゃないか」
「大臣、ドレラル、何かあるか?」
「いえ、私は」
王様が確認をすると、大臣だけが新たに話題を振る。もういいよ疲れたしwwwwww
「リンドウ殿、その兵器とやらはどのようなものを想定しているのか聞かせてもらいたい」
「一言で言うなら大量殺戮兵器。そこのモ……カルラくんに組み込んで運用する予定だ」
「ちょっと待って聞いてないwww」
「兵器は君以外居ないだろうそれに、この世界の魔法技術を駆使すれば軍を動かすまでもなく単騎で敵軍を潰して回れる代物をも開発出来るだろう」
最後にとんでもねぇ事言われて呆然としてたら何か会議終わってたんだが、とりあえず次はギルドマスターに会いに行く事になった。
その流れで竜胆とアルカード、リリィちゃんは先に別荘へ。イヴっち、カノンさん、タカトと共にギルマスの元へ赴く事になった。
勇者召喚でなく異世界に来たというその人物と接触するのは、なんだか緊張する。
クロウルジョーラ討伐完了の受理が済み、これでめでたく借金からは開放されたところで、ギルドマスターの部屋へ通された。
「マスター、ちょっと変わったオッサンだけど悪い奴じゃねぇから、元の世界の話はしてくれると思うぜ」
「私も会うの初めてなのよね。ちょっと緊張してきたかも」
「変なおじさん?」
「イヴっち、それ本人に言っちゃ駄目だぞ」
タカトがノックをすると、扉が開かれた。どうやら秘書官みたいな役割の人がいるらしい。
「アドヴァンスのタカト・サカキ様、並びに勇者パーティーの皆様、どうぞお入りください」
眼鏡に黒髪二つ結びのスーツ姿の女性は、如何にもデキる女的な聡明さを滲ませるクールビューティーといった感じ。ヒールで踏まれたいでござるなぁwww
「お前達が勇者か。よく来たな」
部屋の先には大きな机と上質なソファ。そこへ腰掛ける人物は、マフィアっぽい雰囲気漂う四十代前半くらいの、何かに似てるんだけどなんだっけwwwあの、缶コーヒーのBOSSのオッサンかなwwww
「おっすwwwオラ勇者wwwwギルマス強そうwwwwwワクワクすっぞwwwwww」
ただ座ってるだけで覇王色の覇気漏れてんじゃね?ってくらいの威厳と雰囲気を肌で感じながら、地球人テストとして悟空さの真似で軽いジャブを打ってみた。
すると、
「ホッホッホッ、初めてですよ、ここまで私をイライラさせたお馬鹿さんは」
ノリノリで返してきやがったコイツwwwwww無表情で何言ってんだこのオッサンwwwwwwwwwwww
「その返し……やっぱりアンタも元は地球から来たって事か」
「ふん、まぁな。俺の名は【バビロニア・フォルクスワーゲン】だ、よろしくな」
「名前wwwwww何人だよwwwwww」
この人の表情の変化があんま無いのは仕様なのかもしれない。その後も話を聞くと、彼は転生でこの世界に移ってきたらしい。ちなみに、42年前に新たな生を受けたので、年齢も当然42歳とのこと。
「まぁ、俺の身の上話なんてのはどうでもいい。それより勇者、お前達もアドヴァンスにならないか」
「え?私達、まだそんなに実績が」
「ならせてくれんなら喜んでなるけどwww」
「あどばんす、なりたい」
「そうだろ。なったら特別な待遇を受けられる代わりに、色々と便利に使わせてもらうが、マイナスにはならん。どうする?」
「どうする?カルラ」
「色々便利にってのが引っかかるなぁ。メリット次第ではお断りの可能性もありますけどもwww」
「なんだ、勇者のくせに疑り深い奴だな。アドヴァンスのメリットって言うとアレだよ、もうなんていうの?チャンネーとシースー、パイオツカイデー、酒池肉林ってやつだ」
「宜しくお願い申し上げますおっぱい」
「ちょっとカルラ、意味わかってる?」
「ていうかそんな特典聞いたことねぇぞ」
「カルラはおっぱいに釣られた」
登録してないイヴはともかく、俺とカノンさんはアドヴァンス昇格の話を承諾した。
「話は決まったな。秘書っち、これよろしく」
「畏まりました。
バビロニア様、こちらの処理が忙しいので、残りの仕事はよろしくおねがいします」
秘書のお姉さんは俺とカノンさんの書類を更新するため、ここぞとばかりに仕事をギルマスのオッサンに押し付けているように見えた。
「え、アドヴァンスの書類そんな大変じゃないでしょ秘書っち、ちょ、おい」
「オッサン全然尊敬されてなくて草」
「まぁたまにはサボらせてやらんとな。それより、お前たちに早速依頼だ」
バビロニアのオッサンはやれやれと溜め息を吐くと、タバコに火を着けて話題を切り替えた。
その表情はやっぱり感情があまり読み取れない感じだったが、何となく雰囲気で真剣な話だと理解した。
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