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第11話『友人になりたい』
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「ちょっと出てきてほしいんだけど」
ロッドの張り上げた声に返事はなかったが、待っていると面倒そうに出て来る影が見えた。
「なんだよ。いま調合中で……」
「悪い」
ロッドは家主の言葉を遮り、身体を半身ずらした。後ろにいた人物に黒髪の青年は目を見開いた。レヴィンはフードを取った。
「おまえに会いたいっていうから連れてきた」
ロッドは言いながら振り返り、フードを外したレヴィンを見て、小さく口を開けた。
黒髪の青年クオンもレヴィンを見たが、こちらは盛大なため息だった。
「うまく撒いたのに、まさかおまえが連れて来るとは」
クオンは恨めしそうな目で友人を見た。
「え、なに? もう会ってたのか?」
ロッドは目を丸くして、二人を交互に指さした。
「黙っていてすまない。どうしても、もう一度会いたかったんだ」
レヴィンの真剣な表情にクオンは顔をしかめた。
「あんたの知り合いじゃないってば」
レヴィンがキュッと下唇を噛むと「話ぐらい聞いてやれよ」とロッドが間に入った。
クオンは友人を軽くにらみ、諦めたように家に入るよう促した。
玄関扉を入ってすぐにテーブルがあったが、椅子は二つしかない。クオンは当然のように座り、ロッドは玄関脇の壁にもたれかかった。レヴィンに譲ってくれたようだ。
家主の許可なく座れずに立ったままでいると「早く座れ」と急かされた。黒髪の青年は不機嫌な顔を隠そうともしない。
椅子に腰を下ろすと、黒い瞳がまっすぐに見てきた。射貫かれるようだった。
レヴィンはつけまわした非礼を詫びて、子供の頃の友人について語った。
ロッドに話したことと概ね変わらないが、リウは庭師の手伝いをしていて植物に詳しかったことも付け加えた。
話を聞き終わったクオンは一旦目を閉じて、ゆっくり開けた。
「事情はわかった。けど、俺はその子に似ているというだけだ。わかったら帰ってくれ」
クオンがつれなく言うと、ロッドは壁から背を離した。だがレヴィンは席を立たなかった。懐かしい面影を追いながら言った。
「今日は帰るが、また来てもいいだろうか」
意味がわからないといわんばかりに、クオンは眉根を寄せた。
「あんたの捜し人じゃないのに、来てどうするんだよ」
レヴィンは大真面目をして、
「友人になりたい」
と言ったら、クオンの口が開いた。大の大人が何を言っているのかとでも思っているのだろう。
レヴィンはコートのポケットを探り、茶葉の入った包みを取り出した。
「きみの作ったお茶がとてもおいしかったんだ。今日もこれを買いに行って、そこの彼に会った」
紙包みを開いて見せる。クオンは目を落としたが、肯定も否定もしなかった。何も言わなかったが、自分の作ったものくらいわかるはずだ。
「きみがリウじゃないことはわかった。だから新しい関係を築きたい」
レヴィンは香草茶を見ている黒い瞳を見つめた。
クオンが戸惑った表情を浮かべていると、ロッドが吹き出した。
「ははは!」
笑いながらクオンのそばに寄り、肩を叩いた。
「これは逃げらんねえな。友達になってやれよ」
クオンは不服そうに友人を見上げた。
ロッドがクオンの背中を軽く叩くと、彼は諦めたように、ため息をついた。
「わかった。好きなときに来ればいい」
渋々という感じだったが、それでもレヴィンはうれしくて顔を綻ばせたのだった。
ロッドの張り上げた声に返事はなかったが、待っていると面倒そうに出て来る影が見えた。
「なんだよ。いま調合中で……」
「悪い」
ロッドは家主の言葉を遮り、身体を半身ずらした。後ろにいた人物に黒髪の青年は目を見開いた。レヴィンはフードを取った。
「おまえに会いたいっていうから連れてきた」
ロッドは言いながら振り返り、フードを外したレヴィンを見て、小さく口を開けた。
黒髪の青年クオンもレヴィンを見たが、こちらは盛大なため息だった。
「うまく撒いたのに、まさかおまえが連れて来るとは」
クオンは恨めしそうな目で友人を見た。
「え、なに? もう会ってたのか?」
ロッドは目を丸くして、二人を交互に指さした。
「黙っていてすまない。どうしても、もう一度会いたかったんだ」
レヴィンの真剣な表情にクオンは顔をしかめた。
「あんたの知り合いじゃないってば」
レヴィンがキュッと下唇を噛むと「話ぐらい聞いてやれよ」とロッドが間に入った。
クオンは友人を軽くにらみ、諦めたように家に入るよう促した。
玄関扉を入ってすぐにテーブルがあったが、椅子は二つしかない。クオンは当然のように座り、ロッドは玄関脇の壁にもたれかかった。レヴィンに譲ってくれたようだ。
家主の許可なく座れずに立ったままでいると「早く座れ」と急かされた。黒髪の青年は不機嫌な顔を隠そうともしない。
椅子に腰を下ろすと、黒い瞳がまっすぐに見てきた。射貫かれるようだった。
レヴィンはつけまわした非礼を詫びて、子供の頃の友人について語った。
ロッドに話したことと概ね変わらないが、リウは庭師の手伝いをしていて植物に詳しかったことも付け加えた。
話を聞き終わったクオンは一旦目を閉じて、ゆっくり開けた。
「事情はわかった。けど、俺はその子に似ているというだけだ。わかったら帰ってくれ」
クオンがつれなく言うと、ロッドは壁から背を離した。だがレヴィンは席を立たなかった。懐かしい面影を追いながら言った。
「今日は帰るが、また来てもいいだろうか」
意味がわからないといわんばかりに、クオンは眉根を寄せた。
「あんたの捜し人じゃないのに、来てどうするんだよ」
レヴィンは大真面目をして、
「友人になりたい」
と言ったら、クオンの口が開いた。大の大人が何を言っているのかとでも思っているのだろう。
レヴィンはコートのポケットを探り、茶葉の入った包みを取り出した。
「きみの作ったお茶がとてもおいしかったんだ。今日もこれを買いに行って、そこの彼に会った」
紙包みを開いて見せる。クオンは目を落としたが、肯定も否定もしなかった。何も言わなかったが、自分の作ったものくらいわかるはずだ。
「きみがリウじゃないことはわかった。だから新しい関係を築きたい」
レヴィンは香草茶を見ている黒い瞳を見つめた。
クオンが戸惑った表情を浮かべていると、ロッドが吹き出した。
「ははは!」
笑いながらクオンのそばに寄り、肩を叩いた。
「これは逃げらんねえな。友達になってやれよ」
クオンは不服そうに友人を見上げた。
ロッドがクオンの背中を軽く叩くと、彼は諦めたように、ため息をついた。
「わかった。好きなときに来ればいい」
渋々という感じだったが、それでもレヴィンはうれしくて顔を綻ばせたのだった。
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