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第61話『キラキラの服』
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一週間後、クオンは服の採寸をするため、レヴィンの屋敷を訪れていた。
ここに来るのは二度目だが、一度目と同様ずいぶん場違いなところに来たと、クオンは思っていた。絨毯、絵画、陶器や壁にかかっている燭台。何もかもが豪華だった。
居心地は悪かったが、レヴィンもモーリスも歓迎してくれるので、顔には出さないように気をつける。
以前通された応接間は一階だったが、今日は二階の一室に通された。そこに仕立て屋がおり、採寸する前に服の生地の色を選んだ。
自分で選んでいいとのことだったので、藍色にした。
そのとき、モーリスに押し切られる形でレヴィンも一着作ることになった。
「俺の分は必要ないだろう。園遊会に出るわけじゃないんだ」
レヴィンは断ったが、モーリスは強い口調で反論した。
「いいえ! 品評会にはご婦人方が来られるのでしょう⁉ 華やかなレヴィン様をご覧になれば、ことあるごとに皆様参加されるに違いありません!」
つまり見た目で釣って、次につなげろ、ということか。
クオンは笑いながらモーリスに言った。
「レヴィンは客寄せってことですね」
「身も蓋もなく言えば、そういうことです」
モーリスは澄ました顔をした。彼も王子殿下に対してずいぶんな口を叩く。それが許されるのはレヴィンの人となりによるところが大きいのだろう。たまに王族だということを忘れてしまう。
モーリスの勢いに負けて、レヴィンは面倒そうに承諾した。
「わかった。任せるから、好きなように作れ」
かくして二か月の制作期間を経て、品評会の直前に二人の服が仕上がった。
季節は春になっていた。
品評会当日、レヴィンの屋敷でその服を着てみた。腕を通したとき、生地の肌触りに驚いた。さらさらしていて、しかも動きやすい。自分の身体に合わせて作られているせいか、着心地は抜群だった。
「よくお似合いです」
隣でにこにこ笑っているモーリスに、クオンは申し訳なく言った。
「こんなに良いものを本当にいただいていいんですか」
「当家からの贈り物です。ささやかではありますが……今後ともレヴィン様をよろしくお願いいたします」
主人のいないところで家令が頭を下げた。クオンは服の礼を言いつつ、戸惑っていると、自室で着替えていたレヴィンが部屋に入ってきた。
藍色の服を着たクオンを見て、レヴィンは目を細めた。
「ああ、とても良いな。似合っている」
だが、クオンはレヴィンを見て、目を見張った。
「おまえ、すごいキラッキラだな!」
レヴィンの服は白い生地に金の刺繍が入っていた。朱色の髪と秀麗な顔立ちと相まって、誰の目も惹くこと間違いなしだ。
クオンはレヴィンの着飾った姿を初めて見たが、ここまで映えるとは思わなかった。
王子様の威力に釘付けになっていたが、レヴィンは乾いた笑みを浮かべた。
「今日は客寄せだから」
レヴィンにとってはかなり不本意な服のようだった。
似合いすぎて、見惚れてしまうかっこよさだが、クオンは素直に言えず、遠回しなセリフほ吐いた。
「若い女の子いたら大変だな。一発で落ちるぞ」
「…………」
褒め言葉のつもりだったのだが、お気に召さなかったのか、レヴィンは顔をそらした。
「俺のことはいい。そろそろ出かけよう」
ぶっきらぼうにレヴィンが言うと、モーリスがフード付きの旅装束を持ってきた。このまま外を歩くにはいささか目立ちすぎるからと言った。
外に出てもレヴィンはフードを被らなかった。トレイの村に初めて一緒に行ってから、彼は髪を隠さないようになった。
レヴィンと出会ってからもう一年が過ぎていた。
ここに来るのは二度目だが、一度目と同様ずいぶん場違いなところに来たと、クオンは思っていた。絨毯、絵画、陶器や壁にかかっている燭台。何もかもが豪華だった。
居心地は悪かったが、レヴィンもモーリスも歓迎してくれるので、顔には出さないように気をつける。
以前通された応接間は一階だったが、今日は二階の一室に通された。そこに仕立て屋がおり、採寸する前に服の生地の色を選んだ。
自分で選んでいいとのことだったので、藍色にした。
そのとき、モーリスに押し切られる形でレヴィンも一着作ることになった。
「俺の分は必要ないだろう。園遊会に出るわけじゃないんだ」
レヴィンは断ったが、モーリスは強い口調で反論した。
「いいえ! 品評会にはご婦人方が来られるのでしょう⁉ 華やかなレヴィン様をご覧になれば、ことあるごとに皆様参加されるに違いありません!」
つまり見た目で釣って、次につなげろ、ということか。
クオンは笑いながらモーリスに言った。
「レヴィンは客寄せってことですね」
「身も蓋もなく言えば、そういうことです」
モーリスは澄ました顔をした。彼も王子殿下に対してずいぶんな口を叩く。それが許されるのはレヴィンの人となりによるところが大きいのだろう。たまに王族だということを忘れてしまう。
モーリスの勢いに負けて、レヴィンは面倒そうに承諾した。
「わかった。任せるから、好きなように作れ」
かくして二か月の制作期間を経て、品評会の直前に二人の服が仕上がった。
季節は春になっていた。
品評会当日、レヴィンの屋敷でその服を着てみた。腕を通したとき、生地の肌触りに驚いた。さらさらしていて、しかも動きやすい。自分の身体に合わせて作られているせいか、着心地は抜群だった。
「よくお似合いです」
隣でにこにこ笑っているモーリスに、クオンは申し訳なく言った。
「こんなに良いものを本当にいただいていいんですか」
「当家からの贈り物です。ささやかではありますが……今後ともレヴィン様をよろしくお願いいたします」
主人のいないところで家令が頭を下げた。クオンは服の礼を言いつつ、戸惑っていると、自室で着替えていたレヴィンが部屋に入ってきた。
藍色の服を着たクオンを見て、レヴィンは目を細めた。
「ああ、とても良いな。似合っている」
だが、クオンはレヴィンを見て、目を見張った。
「おまえ、すごいキラッキラだな!」
レヴィンの服は白い生地に金の刺繍が入っていた。朱色の髪と秀麗な顔立ちと相まって、誰の目も惹くこと間違いなしだ。
クオンはレヴィンの着飾った姿を初めて見たが、ここまで映えるとは思わなかった。
王子様の威力に釘付けになっていたが、レヴィンは乾いた笑みを浮かべた。
「今日は客寄せだから」
レヴィンにとってはかなり不本意な服のようだった。
似合いすぎて、見惚れてしまうかっこよさだが、クオンは素直に言えず、遠回しなセリフほ吐いた。
「若い女の子いたら大変だな。一発で落ちるぞ」
「…………」
褒め言葉のつもりだったのだが、お気に召さなかったのか、レヴィンは顔をそらした。
「俺のことはいい。そろそろ出かけよう」
ぶっきらぼうにレヴィンが言うと、モーリスがフード付きの旅装束を持ってきた。このまま外を歩くにはいささか目立ちすぎるからと言った。
外に出てもレヴィンはフードを被らなかった。トレイの村に初めて一緒に行ってから、彼は髪を隠さないようになった。
レヴィンと出会ってからもう一年が過ぎていた。
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