異世界美貌の騎士様は、キスで魔力をもっていく

琉希

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第5章 動乱の王宮⑯『魔法攻撃』

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 思わず身を屈めたくなるような爆音だった。
 
 空を見上げると、竜の頭のまわりに煙が立っている。
 
 竜は面食らったように羽ばたいた。
 
 何事かと言いたげに首を下げた竜に、その巨体めがけて氷塊がぶち当たる。間を置かず、次は火炎球が炸裂した。
 
 そのたびにドカンッドカンッと爆音が響く。
 
 火炎、氷塊と立て続けの攻撃に竜はたまらず咆哮し、大きく羽ばたいて高度を上げた。
 
 しかし、火炎と氷塊はしつこく竜をめがけて放たれ、止んだ頃には竜は水蒸気に包まれていた。

 それはほんのわずかな時間だった。だが、そのわずかな時間にユリウスは再度結界を完成させた。

 とはいえ、祥の力で強化されたものではない。一撃で破られてしまう。
 
 近衛兵に腕を掴まれていた祥に向かって、ユリウスは叫んだ。

「ディーテ! 来い!」

 ユリウスに呼ばれ、祥は震える思いで彼の元に駆け寄った。

 早口で詠唱し、魔力を生む。
 
 そして、ユリウスに抱きついて口づけた。
 
 充分な力を受け取ったユリウスは、王宮の上空に再び強固な結界を張る。

 これでまた多少はしのぐことができると思い、祥は息をついた。
 
 竜は高く飛び上がり、高度を上げたところで、旋回を始めている。

 火炎と氷塊をあれだけ食らって、なんのダメージも受けていないようだ。

 祥は唾を呑んだ。

「あの攻撃は、魔導士たちか?」

 騎士団長がつぶやく。しかし、地上から放たれていた魔法は魔導士たちが向かった方向ではない。

 ユリウスは首を振った。

「あんな魔法の連発など、魔導士たちには無理だ。あれは」

 ユリウスの顔に笑みが広がる。

「弟だ。イリアスが戻ってくれたみたいだな」

 祥の心に光明がさしたと同時に、視界の端で海人が動いた。
 
 ところが突然走り出した海人を近衛兵が正面から止めた。海人の背後から別の近衛兵が腕を回し、捕らえる。

「どこへ行かれますか! 危険です!」
「放せっ!!」

 羽交い絞めにされた海人は力の限り暴れている。

 近くにいた近衛兵が数人がかりで抑えこもうとし、祥は声を張り上げた。

「放してやって!」

 近衛兵たちが顔を上げた。

「海人くん! イルはまだ王宮の外だ、迎えに行って!」

 イリアスの気配はまだしない。だが必ずここに来るはずだ。
 
 祥の言葉に近衛兵たちは拘束を緩め、海人から離れる。

 海人は大きくうなずき、転げそうになりながら、走っていった。
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